18 / 39
聖獣とバトル?
しおりを挟む
「光魔法と同じ魔力が・・・やはり聖獣なのか」
イリークは存在すら定かでなかった聖なる獣に感動したように声を震わせた。
アリスも我に返って、どうしようというようにイリークを見た。
なぜこの国に聖獣がいるのか。聖獣は神の国にしか存在しないはずだ。
しかもこの国ではわざと存在が隠されてきたとしか思えない。
歴史書にも、建国物語にも伝説にもないのだから。
今となっては一部のものしか読めない古文書の一説にみられるのみ。
金のような白銀のような光を身にまとわせた鳥が、羽をふわっと広げた。
アリスがえっ?と思う間もなく聖獣はアリスの肩に飛び乗った。
「いっ!いたい、いたい・・・やだっ!」
11歳のアリスの肩にとまるには少し大きすぎる鳥が器用にその肩にとまると、アリスの腕を鋭いくちばしで思い切りつつきだしたのだ。
まさか攻撃を受けるとは思わなかったアリスとイリークは無防備でいたことを後悔した。
「魔獣か!!」
イリークが風魔法で攻撃しようと手を振り上げたとき、アリスが大きな声でそれを止めた。
「師匠!待って、待ってください!この子敵じゃない!」
アリスは腕から血をだらだら流し、敵じゃないといいながら肩にとまる鳥を思い切り殴りつけた。
「くう~」っと、うめき声を出して鳥は肩から地面へ落ちた。
「大丈夫か!?」
「はい、痛いですけど!」
アリスは鳥をにらみつけた。
『いや、儀式をだね。しようとね、思ったの。』
「やり方ってものがあるでしょうが!」
イリークは突如言い合いになった二人を呆然と見つめた。
アリスはともかく片方はきゅんきゅうんと鳴声にしか聞こえない。
(アリスはなぜ普通にしゃべってるの?)
「・・・師匠、どうやら聖獣で間違いないようです。勝手に契約させられてなんか意識にいろいろ入ってきて腹立たしい限りですが」
『いやだから・・・』
「黙っててください。聖獣様。師匠に説明しているところですから。」
『・・・はい、なの。』
聖獣が腕をつつき、流れ出た血を舐めることでアリスとの契約がなされたらしい。そして契約で縁を結べたアリスとは意思の疎通が可能となった。なぜアリスを選んだのかは言えないが、ずっとアリスに会えるの待っていたこと。そして目の前にアリスが現れてうれしすぎて契約の血を得るために勢い余って許可も得ずつついてしまったこと。
そしてこれからは一緒にいると。
「・・・とまあ、血をなめられた瞬間にこんなことが頭に飛び込んできました」
イリークに治癒魔法をかけてもらい、疲れたようにアリスは言った。
「聖獣様がアリスを待っていたって?いったいどういう・・・いやもうわからないことだらけでまいったな。」
「はい。もう訳が分かりませんよ。ちょっと頭を冷やしたいです。湖のところまで戻りませんか?」
「ああ、お茶が飲みたい気分だ。転移で移動しよう」
二人で移動するため、アリスの腕に触れると置いて行かれてはたまらないとばかり聖獣はばさりと飛び上がりアリスの頭の上に飛び乗った。
「い!こら、こいつ」
と言いながら3人仲良く先ほどくつろいでいた即席サロンにたどり着いた。
到着時アリスは聖獣の両足をがしっとつかみ、ぶら下げていた。
『ちょっとちょっと!僕、正真正銘の聖獣だよ!敬うとかひれ伏すとか可愛がるとかしてくれていいんだよ!?』
アリスは黙って、軽食やお菓子を詰めてきた籠に聖獣を詰めた。
「よし!」
アリスはカップにお茶を注ぎ、魔法で少し温めてイリークの前に置いた。
「ありがとう」
籠から、必死で頭を出そうとする聖獣を何とも言えない思いで見ながらイリークは熱い紅茶を口に含んだ。香りとほんの少しの苦みが心を落ち着けてくれる。
アリスは甘いお菓子を食べることで気持ちを落ち着けているようだ。
「どういうことでしょうか。どうしたら・・・」
「聖獣様にお伺いするしかないね。教会や王家にもお知らせしないといけないだろうし」
『それは駄目だよ。僕のことは君たち以外に知らせてはいけない。』
籠から聖獣が言い、イリークにそれを伝える。
『僕のことは気にしないで。アリスのいるところが僕の行くところだから』
「いやいやいや。それ、気にするでしょ!私、飼うなんて言ってませんよ!」
『ちょっとちょっと、ペットじゃないんだから。アリス、僕に冷たくない?』
「出会ってから今まで、優しくする要素どこかにありましたか?」
アリスの目がすわる。
急にイリークが笑いだす。どさくさに紛れて聖獣がぬるっと籠から這い出てくる。威厳も何もない。
「師匠?」
「いや、聖獣様といるとアリスが年相応で飾らず楽しそうでいいなと思って。聖獣様がよろしければうちの屋敷に来ていただいてもてなしをさせていただきたいのですが」
『うんうん。そうだよ、普通はこうなんだよ。よし!こいつにも加護を与えてあげよう』
契約とは違うらしく、くちばしで羽を一本抜き取るとイリークに渡した。
イリークがそれを手にするとふわっと光となってイリークの胸元に消えていった。
『これで、君も僕の言葉わかると思うけど』
「ああ、ありがとうございます。光栄でございます」
加護を与えていただいたことに感謝し、イリークは胸に手を当てて頭を下げ敬意を示した。
聖獣はうんうんと満足そうにうなづいた。
⦅そうだよ、契約したり加護を与えたりなんて希少なことなんだから。その価値にちょっとは気が付いたかな⦆
アリスもちょっとは感謝するんじゃないのっていう期待で聖獣はアリスを見た。
「ちょっと!怪我させないで出来るんなら私も羽が良かったわよ!」
怒られた。
イリークは存在すら定かでなかった聖なる獣に感動したように声を震わせた。
アリスも我に返って、どうしようというようにイリークを見た。
なぜこの国に聖獣がいるのか。聖獣は神の国にしか存在しないはずだ。
しかもこの国ではわざと存在が隠されてきたとしか思えない。
歴史書にも、建国物語にも伝説にもないのだから。
今となっては一部のものしか読めない古文書の一説にみられるのみ。
金のような白銀のような光を身にまとわせた鳥が、羽をふわっと広げた。
アリスがえっ?と思う間もなく聖獣はアリスの肩に飛び乗った。
「いっ!いたい、いたい・・・やだっ!」
11歳のアリスの肩にとまるには少し大きすぎる鳥が器用にその肩にとまると、アリスの腕を鋭いくちばしで思い切りつつきだしたのだ。
まさか攻撃を受けるとは思わなかったアリスとイリークは無防備でいたことを後悔した。
「魔獣か!!」
イリークが風魔法で攻撃しようと手を振り上げたとき、アリスが大きな声でそれを止めた。
「師匠!待って、待ってください!この子敵じゃない!」
アリスは腕から血をだらだら流し、敵じゃないといいながら肩にとまる鳥を思い切り殴りつけた。
「くう~」っと、うめき声を出して鳥は肩から地面へ落ちた。
「大丈夫か!?」
「はい、痛いですけど!」
アリスは鳥をにらみつけた。
『いや、儀式をだね。しようとね、思ったの。』
「やり方ってものがあるでしょうが!」
イリークは突如言い合いになった二人を呆然と見つめた。
アリスはともかく片方はきゅんきゅうんと鳴声にしか聞こえない。
(アリスはなぜ普通にしゃべってるの?)
「・・・師匠、どうやら聖獣で間違いないようです。勝手に契約させられてなんか意識にいろいろ入ってきて腹立たしい限りですが」
『いやだから・・・』
「黙っててください。聖獣様。師匠に説明しているところですから。」
『・・・はい、なの。』
聖獣が腕をつつき、流れ出た血を舐めることでアリスとの契約がなされたらしい。そして契約で縁を結べたアリスとは意思の疎通が可能となった。なぜアリスを選んだのかは言えないが、ずっとアリスに会えるの待っていたこと。そして目の前にアリスが現れてうれしすぎて契約の血を得るために勢い余って許可も得ずつついてしまったこと。
そしてこれからは一緒にいると。
「・・・とまあ、血をなめられた瞬間にこんなことが頭に飛び込んできました」
イリークに治癒魔法をかけてもらい、疲れたようにアリスは言った。
「聖獣様がアリスを待っていたって?いったいどういう・・・いやもうわからないことだらけでまいったな。」
「はい。もう訳が分かりませんよ。ちょっと頭を冷やしたいです。湖のところまで戻りませんか?」
「ああ、お茶が飲みたい気分だ。転移で移動しよう」
二人で移動するため、アリスの腕に触れると置いて行かれてはたまらないとばかり聖獣はばさりと飛び上がりアリスの頭の上に飛び乗った。
「い!こら、こいつ」
と言いながら3人仲良く先ほどくつろいでいた即席サロンにたどり着いた。
到着時アリスは聖獣の両足をがしっとつかみ、ぶら下げていた。
『ちょっとちょっと!僕、正真正銘の聖獣だよ!敬うとかひれ伏すとか可愛がるとかしてくれていいんだよ!?』
アリスは黙って、軽食やお菓子を詰めてきた籠に聖獣を詰めた。
「よし!」
アリスはカップにお茶を注ぎ、魔法で少し温めてイリークの前に置いた。
「ありがとう」
籠から、必死で頭を出そうとする聖獣を何とも言えない思いで見ながらイリークは熱い紅茶を口に含んだ。香りとほんの少しの苦みが心を落ち着けてくれる。
アリスは甘いお菓子を食べることで気持ちを落ち着けているようだ。
「どういうことでしょうか。どうしたら・・・」
「聖獣様にお伺いするしかないね。教会や王家にもお知らせしないといけないだろうし」
『それは駄目だよ。僕のことは君たち以外に知らせてはいけない。』
籠から聖獣が言い、イリークにそれを伝える。
『僕のことは気にしないで。アリスのいるところが僕の行くところだから』
「いやいやいや。それ、気にするでしょ!私、飼うなんて言ってませんよ!」
『ちょっとちょっと、ペットじゃないんだから。アリス、僕に冷たくない?』
「出会ってから今まで、優しくする要素どこかにありましたか?」
アリスの目がすわる。
急にイリークが笑いだす。どさくさに紛れて聖獣がぬるっと籠から這い出てくる。威厳も何もない。
「師匠?」
「いや、聖獣様といるとアリスが年相応で飾らず楽しそうでいいなと思って。聖獣様がよろしければうちの屋敷に来ていただいてもてなしをさせていただきたいのですが」
『うんうん。そうだよ、普通はこうなんだよ。よし!こいつにも加護を与えてあげよう』
契約とは違うらしく、くちばしで羽を一本抜き取るとイリークに渡した。
イリークがそれを手にするとふわっと光となってイリークの胸元に消えていった。
『これで、君も僕の言葉わかると思うけど』
「ああ、ありがとうございます。光栄でございます」
加護を与えていただいたことに感謝し、イリークは胸に手を当てて頭を下げ敬意を示した。
聖獣はうんうんと満足そうにうなづいた。
⦅そうだよ、契約したり加護を与えたりなんて希少なことなんだから。その価値にちょっとは気が付いたかな⦆
アリスもちょっとは感謝するんじゃないのっていう期待で聖獣はアリスを見た。
「ちょっと!怪我させないで出来るんなら私も羽が良かったわよ!」
怒られた。
90
あなたにおすすめの小説
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
虐げられた令嬢は、姉の代わりに王子へ嫁ぐ――たとえお飾りの妃だとしても
千堂みくま
恋愛
「この卑しい娘め、おまえはただの身代わりだろうが!」 ケルホーン伯爵家に生まれたシーナは、ある理由から義理の家族に虐げられていた。シーナは姉のルターナと瓜二つの顔を持ち、背格好もよく似ている。姉は病弱なため、義父はシーナに「ルターナの代わりに、婚約者のレクオン王子と面会しろ」と強要してきた。二人はなんとか支えあって生きてきたが、とうとうある冬の日にルターナは帰らぬ人となってしまう。「このお金を持って、逃げて――」ルターナは最後の力で屋敷から妹を逃がし、シーナは名前を捨てて別人として暮らしはじめたが、レクオン王子が迎えにやってきて……。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。
【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
【完結】王太子は元婚約者から逃走する
みけの
ファンタジー
かつて、王太子アレン・リオ・アズライドは、婚約者であるセレナ・スタン公爵令嬢に婚約破棄を告げた。
『私は真実の愛を見つけたのだ!』と、ある男爵令嬢を抱き寄せて。
しかし男爵令嬢の不義により、騙されていたと嘆く王太子。
再びセレナと寄りを戻そうとするが、再三訴えても拒絶されてしまう。
ようやく逢える事になり、王太子は舞い上がるが……?
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
悪女として処刑されたはずが、処刑前に戻っていたので処刑を回避するために頑張ります!
ゆずこしょう
恋愛
「フランチェスカ。お前を処刑する。精々あの世で悔いるが良い。」
特に何かした記憶は無いのにいつの間にか悪女としてのレッテルを貼られ処刑されたフランチェスカ・アマレッティ侯爵令嬢(18)
最後に見た光景は自分の婚約者であったはずのオルテンシア・パネットーネ王太子(23)と親友だったはずのカルミア・パンナコッタ(19)が寄り添っている姿だった。
そしてカルミアの口が動く。
「サヨナラ。かわいそうなフランチェスカ。」
オルテンシア王太子に見えないように笑った顔はまさしく悪女のようだった。
「生まれ変わるなら、自由気ままな猫になりたいわ。」
この物語は猫になりたいと願ったフランチェスカが本当に猫になって戻ってきてしまった物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる