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第Ⅰ章
旅に備えて<上>
しおりを挟む「おーーい零清くーん!」
「ん?」
誰かが零清と呼んでいる呼んでいる。零清というのは俺の名前だ。如月 零清[きさらぎ れいせい]
それが親から授かった名前だ。
そして呼んでる主を探してみた。
よく見てみると、見慣れた女性が走りながらこっちに向かっているのが見えた。
「やっと見つけた!」
「透子さん、こんにちは」
この女性は三木透子さん。
見てみれば分かるが、この女性はとても美人で、この街ではそれなりに有名だ。彼女の笑顔を見た男どもはたちまち惚れるほどの美貌の持ち主で、性格も優しく抱擁感
もあり、多くの人々から慕われる存在だ。そしてなぜそんな彼女が俺のことを呼んだかと言うと.....
「もう!こんにちは。じゃないよ、どのくらい探したと思ってるの?」
「どれくらいですか?」
「20分以上だよっ!?」
「そんなに探してたんですか?
だったら、通石[つうせき]使っ
て呼べば良かったのに」
通石とは略しで、本来の名前は
通信遠距離魔石[つうしんえんきょりませき]という名前がやたらと長いから通石。この石には、テレポート、そして音波を同時に封じていて、この石に話したい人の事を思い浮かべながら話すと、その相手に届くという、よく分からない仕組みだ。
「で、なんで使わなかったん
です?」
「だってー心配だったんだもん」
「零清くんが嘘ついてどっかに
行ったら嫌だし、だったら
探しに行った方が安心するし」
「大丈夫ですよ、勝手に透子さん
から離れませんよ」
「そっか!じゃあ安心だね!」
安心か......
やっと安心と言ってくれた。
俺はあの惨劇の生き残りとして、
この世界を彷徨い、そして彼女によって俺は救われた。もし俺は
この人に会ってなければ、今頃どうなっていただろうか、いやそんなの分かりきっている。確実に死んでいた。家も家族も、そしてあの子すらも失った俺は死んだも同然だった。だが、そんな俺を包み込んでくれたのが彼女、透子さんだ。彼女には感謝も仕切れないほどの、それこそ一生を使っても足りないぐらいだ。それぐらい感謝もしてるし、救われた。
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