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16 防犯カメラ
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小林の死体が発見され一か月が経っていた。課長と係長の話から、小林の件は殺人事件だった事をようやく知る事が出来た。九月の空は未だ雨を落としてはいない。青空を覆うものは薄い雲だけだが、そんな空を見上げる余裕もなく、片付けなければならない雑務に追われ、小林の事件に首を突っ込む余裕なんて持てない日々を送っていた。
安原が事件を口にする事はなく、あからさまに蚊帳の外に置かれていた。そんな中で突然、安原が事件を口にしたのだから、戸惑いを隠せるはずがなかった。
「……郵便局の防犯カメラにお前の姿は映っていなかったよ」
肩を叩かれ振り返ると、安原が何故か安堵の表情を作っていた。一瞬何の事だか分からず、目を丸くさせたが、すぐにそれは小林の写真のタレコミの話だと教えられた。写真が送られた消印から郵便局の防犯カメラをチェックしたらしい。
「東新宿の郵便局ですか?」
安原にまだ疑われていた自分に悩まされもするが、安原の表情に少し安心させられる。
「これで俺の容疑は晴れましたかね?」
——本心だった。
小林が恩師であると言う事で、安原に疑いの目を向けられている。例え口に出さなくても、向けられるその目は、全てを信じ切っているものではない。
「ああ、それと三芳貴久。あの小学校の先生の姿もなかったよ。一体誰があの小林の写真を送ってきたんだか」
安原の答えを受け、一つの提案をしたくなった。もしかしたら夏樹か由之が映っているかもしれない。もし映っていなければ、二人を信じる材料にもなる。
「安原さん、俺も捜査に加われないですか?」
「何だ? じゃあ誰がしょうもない案件処理するんだよ」
変わらない安原の口調に大きな安心感を覚えた。安原の中で自分は容疑者ではなかった。そんな安心感が小さな息となって漏れる。
「いや、もちろんそれは今まで通りやりますよ。その辺はちゃんとやるんで、何とかならないですかね?」
珍しく食い下がった事に、安原の目がギロリと光った。何度も見据えられた鮟鱇の目から逸らす事なく、もう一押しと言わんばかりにさらに食い下がる。
「安原さんから何とか課長に頼んでもらえませんか? やっぱり自分の恩師が殺されたのに、黙って見ているだけなのも」
「恩師ね」
心にない言葉だとばれたのか、安原の目に呆れた色が窺えた。
「わかったよ、俺から頼んでやるけど、今まで以上に仕事が増えるんだぞ。それでもやっていけるのか?」
「はい!」
自分でも驚くほど意欲に満ちた返事だった。
「……それでなんですが、三芳貴久以外に最近同級生に会ったんです。俺と同じ小林先生の教え子になります。その同級生も当たった方がいいのかなと。もしかしたら郵便局の防犯カメラに映っているかもしれないんで」
捜査に加われるかもと言う期待からの情報提供だった。だが安原はそんな提案に全く興味を示さない様子で、「ああ」と口を開くだけだった。もし小林の教え子達を容疑者として数えているなら、他の同級生たちに興味を示してもおかしくはない。
「……映っていなかったよ。三春だろ? 三春夏樹」
安原の口から出た夏樹の名前に思考が止まる。どうして安原は夏樹を知っているのだろう。安原と夏樹に接点は見えない。
「安原さん、なんで夏樹を知っているんですか?」
「あ? お前覚えていないのか? 三春を取り調べたのは俺だよ。くだらないクレジット泥棒の件でここに連れて来られただろ。お前と俺で取り調べたよな」
「ああ」
「それに」
「それに、何ですか?」
「お前に言ってなかたっけ? 小林の死体を発見したのは三春だ。ジョギング中に小林の死体を発見して、そして通報してきたんだ。まあ、通報してきた時は三春自身、小林だとは気付いていなかったみたいだけどな。ネカフェで寝泊まりしていた三春がジョギングに出て小林の死体を発見した。まあ、ネカフェの防犯カメラにもあいつの姿が映っていたから、あいつの言っている事は嘘じゃないだろ」
——防犯カメラ。
——ネカフェ。
——ジョギング。
安原が口にした幾つかを浮かべ、数日前の夏樹を思い出す。それは知らない事が多すぎる自分に、それに気付けなかった自分に一層の嫌悪を抱かせていた。
安原の目が見下しているように刺さるのは劣等感からなのだろう。何も知らない自分。何も気付けなかった自分。それ以上言う事がないのか安原は場を離れようとしている。
「……安原さんが知っている小林の教え子は俺と、貴久と夏樹の三人だけですか?」
劣等感を拭いたい訳ではなかったが、安原を繋ぎとめる言葉は上方から放たれたものになっていた。
「ああ、そうだよ。えっ? 何だ、まさか、まだいるのか?」
「はい、もう一人最近会った同級生がいるんです」
自分を嫌悪する気持ちが一層膨らんでいた。友人だと言えるほど親しい訳ではないから、何故か由之を売った気分を味わっていた。
安原に続き明治通りを歩く。さっき味わった感覚が並んで歩く事を控えさせる。気後れが足にも現れている。安原の態度からは何も窺い知る事は出来ない。由之に興味を持ったのか、持っていないのか。安原が由之について尋ねてくる事はなかった。
新宿二丁目で店をやっていて、その店はゲイバーで。由之について知る事なんて限られてはいたが、安原から尋ねられた時の答えは用意していた。だが安原が由之について何かを聞いてくる事はなかった。
明治通り沿いの歩道はそれほど人の行き来がある訳ではなかった、だがコンビニの前には、中国か韓国か、外国人旅行者がたむろしている。
「最近また外国人が増えだしたな。群がりやがって邪魔な!」
たむろする外国人旅行者を目にしたからだろう、安原が振り返りもせずに愚痴を零す。
「そうですね。この辺りツアーバスの乗降所になっているから本当多いですよね」
掻き分けた外国人旅行者に小さな溜息を洩らし、安原に続く。赤信号に一瞬足を止めたが、それはほんの数秒で、青に変わった信号にすぐに足を進める。信号の先の右手、辿り着いた自動ドアを抜ける安原に続く。
「……先日も確認させて頂いたんですが、もう一度防犯カメラの映像を確認させて頂きたいんですが?」
窓口に立つ女性に刑事だと名乗り、奥から呼び出された上司だと思われる男に安原が声を掛けている。
「先日はどうも」
局員の男も安原の事を覚えていたのだろう、猥雑な手続きもなく、奥の部屋へ通される。
「前にもお話しましたが、捜査のためでしたら、防犯カメラのデータをお持ち帰り頂いても構いませんが」
「いえ、まだ関連があるかどうか分らないんですよ。あまり詳しくはお話しできませんが、我々は今、殺人事件の捜査をしていまして、ただこちらの防犯カメラの映像はその殺人事件とは直接関係がない別件でして。その別件は一応解決していますんで、持ち帰らせて頂く手続きが面倒なんですよ。何度も申し訳ないですが」
安原が局員の男に頭を下げる。促された椅子に安原と並び、小さなモニターに目を落とす。消印のあった日付の防犯カメラの映像が八倍速で流されていく。
「……営業時間の九時から十七時までの八時間分です。八倍速ですから一時間で終わりますよ。この速度で大丈夫ですか?」
局員の男の問い掛けに、「はい」と答え、モニターに忙しく動き回る大勢の人間の顔に目を落とし続けた。五分も眺め続ければ慣らされるもので、例え白黒の映像であっても、男なのか女なのか、若者なのか年寄りなのか、容易く判別する事が出来た。
そんなモニターを眺め続け、五十分は経っただろうか。午後になり人の流れが更に忙しくなった頃。何の成果も出ないのかと諦めかけていた頃だ。濃い色のキャップを深めに被り眼鏡を掛けた若い男が自動ドアを抜け、モニターに飛び込んできた。一体何通くらいだろうか。白っぽい封筒の束を男は手にしている。そしてちょうど受付窓口に立った時、カメラが男の横顔を捕えた。
「あっ、少し戻ってこの男の顔が一番はっきりしたところで止めてもらえますか?」
局員の男を振り返る。すると局員の横で退屈に過ごしていた安原が体を乗り出してきた。
「誰か映っていたのか?」
乗り出した安原の息が耳をくすぐる。局員は映像を巻き戻している。後ろ向きに歩きながら出口を後にする女性の横で、さっきの受付窓口に立った男の横顔が拡大されていく。
——由之だ。
深く被られたキャップと眼鏡の縁で顔ははっきりとは分からないが、横顔は見覚えのあるものだ。ただ手にした白っぽい封筒の束に違和感を覚える。タレコミの投函なら一通だったはずだ。それにもし一通ならポストに投函すればいいものを、わざわざ郵便局を訪れるだろうか。
「このキャップの男です。最近会った同級生で、高原由之って言う。多分、由之で間違いないと。ただ封筒の束を手にしているんですよね。もしタレコミの封書だったら一通だけですよね。それにタレコミの封書がポストに投函されていたら、この防犯カメラの映像には映らないのでは?」
「ああ、まあそうだな。だがタレコミの封書は簡易書留で送られて来たらしい。で、この男が同級生の高原ってので間違いないんだな」
「正面からはっきり顔が映っている分けじゃないんで、多分ですけど」
局員の男に、キャップの男の横顔をプリントするよう安原が頼んでいる。タレコミの封書が投函された日に、消印の郵便局に由之の姿があった。偶然と言えば偶然にすぎないが、何の意味を持つのだろうか。小林に会い、夏樹に会い、由之に会い、貴久に会った。二十年以上も経っての再会は本当に偶然なのだろうか。もしそれらが本当に偶然だとするならば、今こうして郵便局の防犯カメラに映り込んだ由之もただの偶然に違いないはずだ。
安原が事件を口にする事はなく、あからさまに蚊帳の外に置かれていた。そんな中で突然、安原が事件を口にしたのだから、戸惑いを隠せるはずがなかった。
「……郵便局の防犯カメラにお前の姿は映っていなかったよ」
肩を叩かれ振り返ると、安原が何故か安堵の表情を作っていた。一瞬何の事だか分からず、目を丸くさせたが、すぐにそれは小林の写真のタレコミの話だと教えられた。写真が送られた消印から郵便局の防犯カメラをチェックしたらしい。
「東新宿の郵便局ですか?」
安原にまだ疑われていた自分に悩まされもするが、安原の表情に少し安心させられる。
「これで俺の容疑は晴れましたかね?」
——本心だった。
小林が恩師であると言う事で、安原に疑いの目を向けられている。例え口に出さなくても、向けられるその目は、全てを信じ切っているものではない。
「ああ、それと三芳貴久。あの小学校の先生の姿もなかったよ。一体誰があの小林の写真を送ってきたんだか」
安原の答えを受け、一つの提案をしたくなった。もしかしたら夏樹か由之が映っているかもしれない。もし映っていなければ、二人を信じる材料にもなる。
「安原さん、俺も捜査に加われないですか?」
「何だ? じゃあ誰がしょうもない案件処理するんだよ」
変わらない安原の口調に大きな安心感を覚えた。安原の中で自分は容疑者ではなかった。そんな安心感が小さな息となって漏れる。
「いや、もちろんそれは今まで通りやりますよ。その辺はちゃんとやるんで、何とかならないですかね?」
珍しく食い下がった事に、安原の目がギロリと光った。何度も見据えられた鮟鱇の目から逸らす事なく、もう一押しと言わんばかりにさらに食い下がる。
「安原さんから何とか課長に頼んでもらえませんか? やっぱり自分の恩師が殺されたのに、黙って見ているだけなのも」
「恩師ね」
心にない言葉だとばれたのか、安原の目に呆れた色が窺えた。
「わかったよ、俺から頼んでやるけど、今まで以上に仕事が増えるんだぞ。それでもやっていけるのか?」
「はい!」
自分でも驚くほど意欲に満ちた返事だった。
「……それでなんですが、三芳貴久以外に最近同級生に会ったんです。俺と同じ小林先生の教え子になります。その同級生も当たった方がいいのかなと。もしかしたら郵便局の防犯カメラに映っているかもしれないんで」
捜査に加われるかもと言う期待からの情報提供だった。だが安原はそんな提案に全く興味を示さない様子で、「ああ」と口を開くだけだった。もし小林の教え子達を容疑者として数えているなら、他の同級生たちに興味を示してもおかしくはない。
「……映っていなかったよ。三春だろ? 三春夏樹」
安原の口から出た夏樹の名前に思考が止まる。どうして安原は夏樹を知っているのだろう。安原と夏樹に接点は見えない。
「安原さん、なんで夏樹を知っているんですか?」
「あ? お前覚えていないのか? 三春を取り調べたのは俺だよ。くだらないクレジット泥棒の件でここに連れて来られただろ。お前と俺で取り調べたよな」
「ああ」
「それに」
「それに、何ですか?」
「お前に言ってなかたっけ? 小林の死体を発見したのは三春だ。ジョギング中に小林の死体を発見して、そして通報してきたんだ。まあ、通報してきた時は三春自身、小林だとは気付いていなかったみたいだけどな。ネカフェで寝泊まりしていた三春がジョギングに出て小林の死体を発見した。まあ、ネカフェの防犯カメラにもあいつの姿が映っていたから、あいつの言っている事は嘘じゃないだろ」
——防犯カメラ。
——ネカフェ。
——ジョギング。
安原が口にした幾つかを浮かべ、数日前の夏樹を思い出す。それは知らない事が多すぎる自分に、それに気付けなかった自分に一層の嫌悪を抱かせていた。
安原の目が見下しているように刺さるのは劣等感からなのだろう。何も知らない自分。何も気付けなかった自分。それ以上言う事がないのか安原は場を離れようとしている。
「……安原さんが知っている小林の教え子は俺と、貴久と夏樹の三人だけですか?」
劣等感を拭いたい訳ではなかったが、安原を繋ぎとめる言葉は上方から放たれたものになっていた。
「ああ、そうだよ。えっ? 何だ、まさか、まだいるのか?」
「はい、もう一人最近会った同級生がいるんです」
自分を嫌悪する気持ちが一層膨らんでいた。友人だと言えるほど親しい訳ではないから、何故か由之を売った気分を味わっていた。
安原に続き明治通りを歩く。さっき味わった感覚が並んで歩く事を控えさせる。気後れが足にも現れている。安原の態度からは何も窺い知る事は出来ない。由之に興味を持ったのか、持っていないのか。安原が由之について尋ねてくる事はなかった。
新宿二丁目で店をやっていて、その店はゲイバーで。由之について知る事なんて限られてはいたが、安原から尋ねられた時の答えは用意していた。だが安原が由之について何かを聞いてくる事はなかった。
明治通り沿いの歩道はそれほど人の行き来がある訳ではなかった、だがコンビニの前には、中国か韓国か、外国人旅行者がたむろしている。
「最近また外国人が増えだしたな。群がりやがって邪魔な!」
たむろする外国人旅行者を目にしたからだろう、安原が振り返りもせずに愚痴を零す。
「そうですね。この辺りツアーバスの乗降所になっているから本当多いですよね」
掻き分けた外国人旅行者に小さな溜息を洩らし、安原に続く。赤信号に一瞬足を止めたが、それはほんの数秒で、青に変わった信号にすぐに足を進める。信号の先の右手、辿り着いた自動ドアを抜ける安原に続く。
「……先日も確認させて頂いたんですが、もう一度防犯カメラの映像を確認させて頂きたいんですが?」
窓口に立つ女性に刑事だと名乗り、奥から呼び出された上司だと思われる男に安原が声を掛けている。
「先日はどうも」
局員の男も安原の事を覚えていたのだろう、猥雑な手続きもなく、奥の部屋へ通される。
「前にもお話しましたが、捜査のためでしたら、防犯カメラのデータをお持ち帰り頂いても構いませんが」
「いえ、まだ関連があるかどうか分らないんですよ。あまり詳しくはお話しできませんが、我々は今、殺人事件の捜査をしていまして、ただこちらの防犯カメラの映像はその殺人事件とは直接関係がない別件でして。その別件は一応解決していますんで、持ち帰らせて頂く手続きが面倒なんですよ。何度も申し訳ないですが」
安原が局員の男に頭を下げる。促された椅子に安原と並び、小さなモニターに目を落とす。消印のあった日付の防犯カメラの映像が八倍速で流されていく。
「……営業時間の九時から十七時までの八時間分です。八倍速ですから一時間で終わりますよ。この速度で大丈夫ですか?」
局員の男の問い掛けに、「はい」と答え、モニターに忙しく動き回る大勢の人間の顔に目を落とし続けた。五分も眺め続ければ慣らされるもので、例え白黒の映像であっても、男なのか女なのか、若者なのか年寄りなのか、容易く判別する事が出来た。
そんなモニターを眺め続け、五十分は経っただろうか。午後になり人の流れが更に忙しくなった頃。何の成果も出ないのかと諦めかけていた頃だ。濃い色のキャップを深めに被り眼鏡を掛けた若い男が自動ドアを抜け、モニターに飛び込んできた。一体何通くらいだろうか。白っぽい封筒の束を男は手にしている。そしてちょうど受付窓口に立った時、カメラが男の横顔を捕えた。
「あっ、少し戻ってこの男の顔が一番はっきりしたところで止めてもらえますか?」
局員の男を振り返る。すると局員の横で退屈に過ごしていた安原が体を乗り出してきた。
「誰か映っていたのか?」
乗り出した安原の息が耳をくすぐる。局員は映像を巻き戻している。後ろ向きに歩きながら出口を後にする女性の横で、さっきの受付窓口に立った男の横顔が拡大されていく。
——由之だ。
深く被られたキャップと眼鏡の縁で顔ははっきりとは分からないが、横顔は見覚えのあるものだ。ただ手にした白っぽい封筒の束に違和感を覚える。タレコミの投函なら一通だったはずだ。それにもし一通ならポストに投函すればいいものを、わざわざ郵便局を訪れるだろうか。
「このキャップの男です。最近会った同級生で、高原由之って言う。多分、由之で間違いないと。ただ封筒の束を手にしているんですよね。もしタレコミの封書だったら一通だけですよね。それにタレコミの封書がポストに投函されていたら、この防犯カメラの映像には映らないのでは?」
「ああ、まあそうだな。だがタレコミの封書は簡易書留で送られて来たらしい。で、この男が同級生の高原ってので間違いないんだな」
「正面からはっきり顔が映っている分けじゃないんで、多分ですけど」
局員の男に、キャップの男の横顔をプリントするよう安原が頼んでいる。タレコミの封書が投函された日に、消印の郵便局に由之の姿があった。偶然と言えば偶然にすぎないが、何の意味を持つのだろうか。小林に会い、夏樹に会い、由之に会い、貴久に会った。二十年以上も経っての再会は本当に偶然なのだろうか。もしそれらが本当に偶然だとするならば、今こうして郵便局の防犯カメラに映り込んだ由之もただの偶然に違いないはずだ。
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