42 / 68
第六章 孫を追いかけ王都に到着で御座います。
6-2 ルラちゃん、お父様と再会で御座います。
しおりを挟む
「探偵さんよぅ。ばぁばは無事じゃろうか?」
ふとじぃじの声がかすめ、振り返ったり、周りを見回してみましたが、もちろんじぃじの姿はありません。じぃじの は今、探偵さんと雷人の情報集めに回っているところです。それなのにじぃじの声が耳をかすめたと言う事は、これぞまさしく愛の力と言う事で御座います。
「……ばぁばさん。あの緑色の屋根の家が、私の……父さんの家です」
私の、ではなく、父さんのと言い直したルラちゃんで御座います。もしかしたら不安を持っているのかもしれません。
「お父様がいらっしゃるといいですね」
「はい」
「もしいらっしゃらなくても、しばらくお待ち致しましょうね」
ルラちゃんが、示した家の扉をノックしようとした時。
「……もしかして、あの人熊ミックスでは?」
こちらへ向かって来る、人熊さんを、レオンさんが指しました。
「……あっ、父さん」
レオンさんが指した先に目を向け、ルラちゃんも人熊さんに気付いたようです。……あの方がルラちゃんのお父様で御座いますか。随分と顔が赤く、足元もフラついていらっしゃる様子ですが、こんな時間からお酒を飲んでいらっしゃったのでしょうか?
「あのぅ、ルラちゃんのお父様でいらっしゃいますか?」
「ああ、そうだよ。ヒクッ。それがどうした?」
あら? ルラちゃんの姿が目に入っていないのでしょうか? どう言う事でしょうか? と、振り返ると、盾になったレオンさんの後ろに、ルラちゃんが隠れているではありませんか?
「ルラちゃん。どうされましたか? 隠れていないで、出て来てくださいませ」
「えっ? ヒクッ。ルラなのか? 本当にルラなのか?」
お父様は随分と驚いておいでです。ですがルラちゃんも何故か驚いている様子です。
「……父さん、お酒はお医者さんに、止められていたんじゃないの?」
「医者? ヒクッ。あんな奴らの言う事なんか、聞いていられないよ。嫁と娘に逃げられたんだ。酒でも飲まないと、やってられるかよ!」
お酒のせいで御座いましょうか。何だかお父様の態度は不安定です。もちろんお気持ちは察しますが、娘がこうして訪ねて来たんです。……戻って来たんですから、もう少し娘のルラちゃんへの接し方を考えるべきではないでしょうか。
「あのぅ、こうしてルラちゃんが戻って来たんです。父親としての接し方があると思うのですが」
「ん? お前は誰だ?」
「これは申し遅れました。私、荒井光江と申します。ご縁が御座いまして、ペリーヌの町から、ここまでルラちゃんと一緒に旅して参りました」
「ヒクッ。荒井光江だって。どんな縁か知らないけどな。俺は嫁とそいつに逃げられて散々だったんだ。こんなに落ちぶれて、どんな顔で娘に会えばいい? 現に隠れているじゃないか!」
ルラちゃんは、まだレオンさんの後ろに隠れたままで御座います。一度深まった親子の溝を埋めるのは、どうすれば良いのでしょう?
「……ルラちゃん。お父様に会いたかったのでしょ? 隠れていないで、お父様に顔をお見せなさい」
「でも……」
「お母様と団長さんの所へ行くのは、お嫌なんですよね? もちろんサーカス団に戻るのも」
「……ヒクッ。サーカス団って何だ?」
「あの、私、サーカス団に金貨10枚で売られていたの。ばぁばさんがサーカス団から私を救い出してくろたの」
ようやくルラちゃんが、レオンさんの後ろから出てまいりました。
「……ルラ! サーカス団で見せ物になっていたのか?」
お父様にもようやく正気が戻って来たようです。
「……ルラちゃんは、お父様に会いたいと言っておいででした。なのでこうして、お連れしたのです」
あともうひと押し何かがあれば良いのですが、まだルラちゃんと、お父様の間には距離が御座います。
「……少し酒が抜けたようですね」
レオンさんでした。ずっと黙っていらっしゃった、レオンさんが一歩前に出て、お父様に対峙されています。
「あんたの娘はサーカス団で、ろくに飯も与えられず、痩せ細っていたんだ。芸が出来ないから人犬ミックスに腹を蹴られてもいたな。そんな娘がやっと逃げ出し、あんたに会いに来たんだぜ。何故抱きしめてやれないんだ!」
レオンさんの男気です。私、じぃじがいる身で御座いますが、惚れてしまいそうで御座います。……そんなレオンさんの男気にお父様も、絆されたようで御座います。一歩、二歩とルラちゃんに歩み寄っておいでです。
「……ルラ!」
「父さん!」
胸に飛び込んだルラちゃんを、お父様はしっかり抱き止めておいでです。……それにすっかりお酒は抜けたのでしょうか? 今はそれ程、顔も赤く御座いません。
ふとじぃじの声がかすめ、振り返ったり、周りを見回してみましたが、もちろんじぃじの姿はありません。じぃじの は今、探偵さんと雷人の情報集めに回っているところです。それなのにじぃじの声が耳をかすめたと言う事は、これぞまさしく愛の力と言う事で御座います。
「……ばぁばさん。あの緑色の屋根の家が、私の……父さんの家です」
私の、ではなく、父さんのと言い直したルラちゃんで御座います。もしかしたら不安を持っているのかもしれません。
「お父様がいらっしゃるといいですね」
「はい」
「もしいらっしゃらなくても、しばらくお待ち致しましょうね」
ルラちゃんが、示した家の扉をノックしようとした時。
「……もしかして、あの人熊ミックスでは?」
こちらへ向かって来る、人熊さんを、レオンさんが指しました。
「……あっ、父さん」
レオンさんが指した先に目を向け、ルラちゃんも人熊さんに気付いたようです。……あの方がルラちゃんのお父様で御座いますか。随分と顔が赤く、足元もフラついていらっしゃる様子ですが、こんな時間からお酒を飲んでいらっしゃったのでしょうか?
「あのぅ、ルラちゃんのお父様でいらっしゃいますか?」
「ああ、そうだよ。ヒクッ。それがどうした?」
あら? ルラちゃんの姿が目に入っていないのでしょうか? どう言う事でしょうか? と、振り返ると、盾になったレオンさんの後ろに、ルラちゃんが隠れているではありませんか?
「ルラちゃん。どうされましたか? 隠れていないで、出て来てくださいませ」
「えっ? ヒクッ。ルラなのか? 本当にルラなのか?」
お父様は随分と驚いておいでです。ですがルラちゃんも何故か驚いている様子です。
「……父さん、お酒はお医者さんに、止められていたんじゃないの?」
「医者? ヒクッ。あんな奴らの言う事なんか、聞いていられないよ。嫁と娘に逃げられたんだ。酒でも飲まないと、やってられるかよ!」
お酒のせいで御座いましょうか。何だかお父様の態度は不安定です。もちろんお気持ちは察しますが、娘がこうして訪ねて来たんです。……戻って来たんですから、もう少し娘のルラちゃんへの接し方を考えるべきではないでしょうか。
「あのぅ、こうしてルラちゃんが戻って来たんです。父親としての接し方があると思うのですが」
「ん? お前は誰だ?」
「これは申し遅れました。私、荒井光江と申します。ご縁が御座いまして、ペリーヌの町から、ここまでルラちゃんと一緒に旅して参りました」
「ヒクッ。荒井光江だって。どんな縁か知らないけどな。俺は嫁とそいつに逃げられて散々だったんだ。こんなに落ちぶれて、どんな顔で娘に会えばいい? 現に隠れているじゃないか!」
ルラちゃんは、まだレオンさんの後ろに隠れたままで御座います。一度深まった親子の溝を埋めるのは、どうすれば良いのでしょう?
「……ルラちゃん。お父様に会いたかったのでしょ? 隠れていないで、お父様に顔をお見せなさい」
「でも……」
「お母様と団長さんの所へ行くのは、お嫌なんですよね? もちろんサーカス団に戻るのも」
「……ヒクッ。サーカス団って何だ?」
「あの、私、サーカス団に金貨10枚で売られていたの。ばぁばさんがサーカス団から私を救い出してくろたの」
ようやくルラちゃんが、レオンさんの後ろから出てまいりました。
「……ルラ! サーカス団で見せ物になっていたのか?」
お父様にもようやく正気が戻って来たようです。
「……ルラちゃんは、お父様に会いたいと言っておいででした。なのでこうして、お連れしたのです」
あともうひと押し何かがあれば良いのですが、まだルラちゃんと、お父様の間には距離が御座います。
「……少し酒が抜けたようですね」
レオンさんでした。ずっと黙っていらっしゃった、レオンさんが一歩前に出て、お父様に対峙されています。
「あんたの娘はサーカス団で、ろくに飯も与えられず、痩せ細っていたんだ。芸が出来ないから人犬ミックスに腹を蹴られてもいたな。そんな娘がやっと逃げ出し、あんたに会いに来たんだぜ。何故抱きしめてやれないんだ!」
レオンさんの男気です。私、じぃじがいる身で御座いますが、惚れてしまいそうで御座います。……そんなレオンさんの男気にお父様も、絆されたようで御座います。一歩、二歩とルラちゃんに歩み寄っておいでです。
「……ルラ!」
「父さん!」
胸に飛び込んだルラちゃんを、お父様はしっかり抱き止めておいでです。……それにすっかりお酒は抜けたのでしょうか? 今はそれ程、顔も赤く御座いません。
40
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
きっと幸せな異世界生活
スノウ
ファンタジー
神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。
そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。
時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。
女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?
毎日12時頃に投稿します。
─────────────────
いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~
九頭七尾
ファンタジー
子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。
女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。
「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」
「その願い叶えて差し上げましょう!」
「えっ、いいの?」
転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。
「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」
思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる