ひとりの獣人と精霊

わんコロ餅

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追憶

歩み

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整地された道をゆったりと歩くひとりの獣人と小さな猫の姿があった

「ぎんたさん、この先で合ってますか?」

花萌葱はなもえぎのような緑色をベースにしたチュニックに着た黒い体毛で柴犬の獣人女性は小さな猫に話しかける

「エメレッタ大丈夫にゃ!このまま真っ直ぐ行けば着くはずにゃ!」

ぎんたと呼ばれた猫はとても小さくの浅黒い体毛に少し変わった柄と胸元の白い毛で宝石のように美しい琥珀色の瞳をしている

2人はどこかに向かっているようで、整地された道をひたすら歩いていく

「それにしても、ぎんたは嬉しいにゃ」

ぎんたは嬉しそうに歩きながら、エメレッタへ話しかける

「ん?どうしたんですか?」

キョトンとするエメレッタ

「サイズは小さくにゃっちゃったけど、ようやくこの世界に来れてぎんたは嬉しいのにゃ」

嬉しそうに尻尾を左右に揺らし語るぎんた

「うぅっ・・・すいません。私が不甲斐ないため、呼び出すので精一杯で・・・」

しょぼんとするエメレッタ

「・・・別に気にしていないにゃ!元のサイズで呼べる奴なんてラクシス様くらいにゃ!」

慌ててエメレッタを気に留めるぎんた

「エメレッタは修行も頑張ってたにゃ!」

「そ、そうですよね!?私、頑張りましたよね・・・?あの人ラビリンスエッタさんは本当に容赦ないんですから!!」

「で、でもそのおかげでぎんたを呼べたからよかったんにゃ!」

エメレッタをまぁまぁとなだめるぎんた

「ありがとう!ぎんたさん!よしっ!これでこれからも私、大丈夫です!!」

グッと拳を作り納得するエメレッタ

「それよりも、そろそろ城下の入り口に着くにゃ!」

ぎんたの前足を突き出した先には立派な石で出来た凱旋門のような入り口と左右に広がる巨大な城壁が見える

「ん?お、おぉー!あれがぎんたさんの言っていたアーサット王国なんですね!!」

耳をピーンとさせつつも目を見開き興奮するエメレッタ

「そ、そうにゃ!ちょっと前と比べて立派ににゃってるけど、あそこがそうにゃ!」

「では、さっそくぎんたさん行きましょう!」

興奮収まらないまま駆け足で入り口へと向かおうとするエメレッタをぎんたが「待つにゃ!」と抑止する

「えぇ~?どうしたんですか?ぎんたさん」

唐突に抑止され不満を漏らすエメレッタ

「分かってるにゃか??身分証がまだないから門兵に話さないといけにゃい!ってこと」

エメレッタの腕を小さな前足で掴み話すぎんた

「えっ!?ゴソゴソッ身分証なら・・・ほら!」

エメレッタは懐からゴソゴソと取り出しぎんたに見せる

「それは・・・獣人村で発行している奴にゃ・・・」

ボロボロの布切れへ適当に描いた身分証を堂々と見せるエメレッタ、それを見て呆れるぎんた

「ま、まぁ・・・門兵に話して新しく発行してもらえばいいにゃ」

軽いため息をついて先に歩くぎんた

「えっ?あっはい(これで行けると思うんだけどな・・・)」

何がいけないの?と言いたげなエメレッタもぎんたの後へついて行く


「お、おっきいですね・・・」

門へ近づいたエメレッタは改めてその大きさに圧倒される

「大きさよりも・・・前来た時より人が多くなってる事が凄いにゃ・・・」

入場門から2つ続く長蛇の列は圧巻に一言で様々な種族がまだかまだかと待ち続ける

「ほら、ここに並ぶにゃ」

「あっはい」

ぎんたに促され慌てて並ぶエメレッタ


このアーサット王国は治安も良く、巨大な門から並ぶ2つの列は左右で門兵たちが簡易的な身分確認を行っている

だんだん列も進み、ぎんたたちの順番に差し掛かろうとしたとき「あれ?もしかして・・・あのラクシス様と一緒に居たぎんた様じゃないっすか!?」と周りの兵士と少し違う鎧を着た1人の兵士に声を掛けられる

「・・・にゃ?」「えっ?」

全く見覚えのないという表情をするぎんたと驚くエメレッタ

「あれ??ぎんた様っすよね??結構小さくなってますけど、ぎんた様っすよね??」

自身の顔を指さし「俺!俺っすよ!」とアピールする兵士

「にゃ?にゃ~!あっその失礼にゃ態度をする兵士ってあのグラム大臣に仕えてた奴かにゃ!?」

兵士に前足を突き出し目を見開き思い出した表情をするぎんた

「そ、そうっす!!俺っす!いや~懐かしいっすね!実は言伝がありまして・・・ま、まぁこっちでちょっと話ましょう!」

兵士はぎんたとエメレッタを連れ奥の部屋へと案内する

「にゃ?」「えっ?あっはい」

2人は言われるがまま、奥へと入っていった

奥の部屋へ案内する道中、すれ違った他の兵たちは敬礼し「副隊長お疲れ様です。」と案内する兵士に挨拶をする

「にゃ・・・お前えらくなったにゃ・・・」

「ん?俺っすか?全然そんなことないっすよ」

ぎんたの前を歩きながらチラッとこちらを向き手を左右に振り否定する副隊長

「ささ、お待たせしたっす!」

ガチャッ

「まぁ男臭いとこっすけど、入って下さいっす!」

案内されるがまま、中へと入る2人

目に映ったのは様々な書類や鎧に剣などが無造作に置かれている部屋だった

「まっ奥の椅子に座って下さいっす!」

副団長に促され座るぎんたとエメレッタ

2人が座ったのを確認し、自身も座る副隊長

「ふぅ~今日はたまたま門に居てよかったすよ!」

手を顔付近でパタパタと動かし仰ぐ副隊長

「で、何の用だにゃ?」

少しめんどくさそうな表情をするぎんた

「何っすか?そのめんどくさそうな感じ!ひどいっすよ!久々の再会じゃないっすか!?」

両手を前に出し感情に訴える副隊長

「にゃ・・・だってあんまりかかわってにゃいし・・・そもそも名前なんだったかにゃ?」

気まずそうに話すぎんた

「えっ?」

「えぇえええ~!?ひどいっすよぉおおお!」



当時、新兵だった彼は鍛錬の末、副隊長となったにも関わらず名前すら憶えられていなかった・・・・
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