ひとりの獣人と精霊

わんコロ餅

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生命との狭間

海辺の街

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2人はケンホースに揺られて呪いの元を辿っていく

呪いが向かった方向は剣聖が拠点としている街で海が近く貿易が盛んな鮮魚の美味しい事で知られているウホーツク街という

「見えて来たにゃ!」

「わぁ!本当ですね!!」

逆光でキラキラと白く光る海鳥と眩い水面が2人の気持ちを昂らせる

「あれが、噂の海ですかー!」

育った環境で海を知らないエメレッタ

「そうにゃ!あの水溜りがそうにゃ!」

海を目掛け指で示し教えるぎんた

「おぉ、やっぱりそうですかぁ!改めて不思議なものですね!」

子どものように目を輝かせ興奮するエメレッタは続ける

「それに建物の色が全部青いですね!?何でですかね!?」

ぎんたの背をぺちぺちと軽く手で触りアピールする

「ふぅ~、エメレッタ落ち着くにゃ。あれは温度を上げ難くするためにゃ。」

明らか様にジト目でため息をついて質問に答える

「何ですかぁ!?ぎんたさんのその反応わぁ~」

ぎんたに文句を言いつつも上機嫌で気にする様子もない

「はぁ、もうそろそろ着くからケンホースを帰すにゃよ?」

そんなエメレッタに再びため息を吐きケンホースから降りるように促した

「はい!分かりました。」

返事もよく素直に下馬するエメレッタ

「ケンホース・・・すまにゃいけど、街に入れにゃいから精霊界に帰るにゃ。」

申し訳なさそうに手を振りぎんたは別れを告げる

それに「ヒヒィン」と返答して消えたケンホースは精霊界へと帰った

「さて、ぎんたさん!参りましょう!」

上機嫌でぎんたの袖をグイグイと引っ張りながら前進するエメレッタ

「分かったにゃ。分かったから離すにゃ!」

引っ張られている袖と違うもう片方の手で振り切るぎんた

振り切られた袖を気にする事なく上機嫌なまま鼻歌混じりで進む

「はぁ・・・本当に目的を分かってるかにゃ??」

「ぎんたさん!早く行きますよ!」

トボトボと後を追っていたらエメレッタから催促される

「はいにゃ。分かったにゃ。」

エルフの里に比べ緑が少なくなった砂混じりの地面を小走りについて行くぎんた

「いやー良い日差しですね!こんなにギラギラと暑そうなのに暑くないって素晴らしいですね!!」

清々しい笑顔でぎんたに話しかける

「そりゃそうにゃ。不死鳥様の眷属ににゃったのだから暑さに耐性があって当たり前にゃ。」

淡々と答える

「ぎんたさんには分からないと思いますが、本当に暑かったんですよ!モワァって空気がこもっていて大変何ですって!」

感情に任せてぎんたに訴える

「はいはい。分からにゃいけど、分かったにゃ。」

それを適当にあしらう

「ひどいっ!・・・まぁ、いいですよ。今はそんな事、気にしなくて良くなりましたから。」

ぎんたの冷たい態度に理解を求めても無駄だと察して今、自身を突き動かす感情をそのまま素直に行動して

「ほら、街の入り口ですよ!」

門を指差しぎんたに催促する

「分かったにゃ。分かったにゃ。」

エメレッタの態度にめんどくさそうについて行く

「あれ?ここには門番さん居ないんですね??」

疑問を覚える

「そりゃそうにゃ。ポセイラスが拠点にしている街で悪さをしでかすバカは居にゃいにゃ。だから、基本自由に出入りはできるにゃ。」

当然のように答えてさらに続ける

「それにこの街は守護神リヴァイアサンの加護下にあると言い伝えられていて下手な魔物にゃんか来にゃいからこんにゃに栄えてるにゃ。」

自慢げに説明するぎんた

「分かったかにゃ・・・にゃ??」

振り返ったぎんたは驚く

「ぎんたさーん。何ひとりで話してるんですか???こっちですよ。早く!!」

少し離れた所でぎんたを呼ぶ

「にゃ!?エメレッタ!!ちょっと調子乗りすぎだにゃ!!」

プリプリと怒りを露わにするぎんたをよそ目に宿を探すエメレッタに「もう、何にゃ!エメレッタは何にゃ!!」とブツクサ独り言を漏らす

「ありましたよぉ!ぎんたさん!」

目を輝かせ意気揚々と宿を見つけてさらにはしゃぎ始める

「はぁ・・・今行くからうるさいにゃ。」

明らかな嫌気とがっかりした態度でエメレッタの方へ向かう

「早くぅ!」

ぴょんぴょんと少し跳ねて催促するエメレッタに気にしないようにトボトボと歩き続ける

バタバタッ

「もぉ!何してるんですか!!」

足早にぎんたの元へ近づき手を引っ張り、ズリズリと不満気になるぎんたを気にする事もなく宿の中へと引きずる

ガチャッと開いたドアの上部に固定された陶器のような物からチリリンッ♪と宿内に鳴り響いて知らせる

「いらっしゃ・・い?」

宿泊客が来た店員は招き入れる挨拶をしようと言葉が途中で突っ掛かる

それもそのはず、目の前に居たのは珍しい純獣人を引きずった獣人なのだから

「・・・離すにゃ。」

ポツリとぎんたの漏らした一言が、活気のある宿屋で
静寂をもたらす

「あっそうでした。とりあえず、一部屋一泊をよろしくお願いします!」

引きずったままのぎんたに気づき、手放したエメレッタは気にすることなく店員に話す

「へ?あっはい。」

何事もなかったかのうに放たれた堂々した言葉に思わず、返答してしまう店員

「一泊ですね・・・では、この部屋を・・・」

戸惑いつつも奇妙な珍客を招き入れる形となった宿屋だった


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