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異端児達の集結
狂騒乱舞のダークサイド⑤前編
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ピンポーン──玄関のチャイムが鳴り響いた。
「どうぞー」
ドアが開き、二人の男女の顔が見える。
「よう」
「お邪魔しまーす」
上がったのは零弥とユミだ。
「いらっしゃい、まぁ、僕の部屋でも行っててよ」
二人はすがすがと流雅の部屋に入り、ユミはカーペットが敷かれた床に、零弥はゲーミングチェアに座り、机の上にノートパソコンを置き、有線で繋ぎ、立ち上げた。
その後、流雅が後を追うように入室し、零弥の隣のもう一つのゲーミングチェアに座り、パソコンを立ち上げた。
二人はあるウィンドウを開ける。そこには、プログラムらしきものが書き込まれていた。
「この調子だと、依頼もきっちり達成できそうだね」
「少し期日には早すぎるが、それに越したことはないだろ」
「今回の報酬も弾んでるみたいだし、やっぱりモチベーションが上がってくるよ」
零弥と流雅がプログラムを高速で打ちながら話をする。
それに置いてけぼりにされているような劣等感を感じたユミは、不機嫌そうに話しかけた。
「そんなに高度なプログラムを開発出来るなら、特許とか、色々申請すればいいのに、わざわざ回りくどいことしなくてもいいでしょ?」
「特許は申請の際に実名が公開される上に、今の稼ぎ方でも十分だろ。そのために、名前を売ってるんだから」
零弥と流雅が立ち上げたフリーのプログラミング事業(正確には若干異なるが)は、今回も依頼を元に動いている。また、そのアカウント名はRaumtiteと言う。
「よし、これで完成っと……零弥くん、念のため、一通り見てくれないかな?」
「……問題は無さそうだな」
「OK!なら送り返すよ」
流雅は新たにウィンドウを開けると、いくつかのコマンド行使とコメントを打ち込むと、すぐに送り返した。
「さすがは世界に轟くプログラマーね。私なんか全っ然わかんない」
ユミが拗ねている。その証拠に、そっぽ向きながら頬を膨らませていた。
「あなたたち、また新しいプログラム作ったんでしょ?その……何ちゃらコードってやつ」
「リブート・コードな。そんなに覚えにくい名前じゃないだろ」
零弥が間髪を入れずに訂正する。
「みんな簡単そうに言うけど、あれけっこう大変だったんだよ?」
横槍を入れるように流雅が入る。
「できるだけ簡単な構造にするために何度も何度も誤作動の可能性を潰していったんだから」
「それは……想像したくない重労働ね」
「でしょ?しかも、あれ欠点もあるし……」
かなり重要なはずの事柄がユミはかすかに聞こえた気がした。迷わず聞いてみる。
「欠点?それ、大丈夫なの?」
「あぁ、むしろそうなるように作ってる」
「そうなるように?必要性があるの?」
「大ありだよ」
流雅が代わりに解説する。
「まず、リブート・コードについて解説するよ」
流雅が立ち上がり、電子スクリーンまで歩く。ラウムツァイトとしての収入は絶大であり、これぐらいの物を購入するのは苦ではなく、むしろ一般的に普及し始めている。
「リブート・コードは、処理の途中に異常が発生した場合、任意の場所からやり直せるプログラム。つまり、何らかの障害を感知すれば即座にやり直すということだね」
「……うん」
思わず返答するが、いまいち理解していない。焦らず説明を聞く。
「本来、処理には誤作動は無くなることはないよ。処理の不具合や応答無し、そしてウイルスなど、理由は様々。処理の途中でフリーズする理由はここにあるんだ」
「処理をコンピュータが諦めないからだな」
零弥が補足する。
「逆に言えば、そこで処理を実行できる可能性だってある。原因が単に通信速度やスペックの違いによるものであれば尚更だ。ここまで言えばわかるな?」
ユミに回答を促す。
「えーっと……処理を即座に止めるってことは……実行できる可能性がある処理をいつまでもいつまでも戻り続けるかもしれない……っていうこと?」
「正解。だからこそ、そこからのアレンジは各々に任せてる」
流雅がニヤリと微笑む。
「……でも、何でわざわざ?」
流雅は一呼吸置いて答える。
「……全てに完璧なものなんて、あってはならないんだ」
「……え?」
ユミが遅れて返事をする。
「もし、原因が判断できれば、それはそれは優秀なハッキングコードに成り代わるな」
零弥が続く。
「ましてや無限に創造できるプログラム、こんなものが完璧であってはならないよね」
「だから……って、欠陥付きのものを公開して、特許とか、色々信用に問題ないの?」
「あれは無料公開だ」
「あっ……」
ユミが息を詰まらせる。どうやら、ようやく理解したようだ。
「プログラムの内容が公開されているなら、どんな欠陥かが理解できるプログラマーなんて、そこらじゅうにいるだろうね」
流雅が結論付けに入る。
「この前、AI実験が成功したよね。いや、正確には成功したと報じられた……」
「どこまでが成功なのか、それは人それぞれ……」
このセリフはユミのものだ。
「そう。結局は、完璧なものを人の手で作っちゃダメなんだよ」
「へー……」
ユミがあっけにとられている。
「……長くなっちゃったけど、今日は何で集合したの?」
流雅が零弥の方を向く。
「あぁ……それなんだが……」
「どうぞー」
ドアが開き、二人の男女の顔が見える。
「よう」
「お邪魔しまーす」
上がったのは零弥とユミだ。
「いらっしゃい、まぁ、僕の部屋でも行っててよ」
二人はすがすがと流雅の部屋に入り、ユミはカーペットが敷かれた床に、零弥はゲーミングチェアに座り、机の上にノートパソコンを置き、有線で繋ぎ、立ち上げた。
その後、流雅が後を追うように入室し、零弥の隣のもう一つのゲーミングチェアに座り、パソコンを立ち上げた。
二人はあるウィンドウを開ける。そこには、プログラムらしきものが書き込まれていた。
「この調子だと、依頼もきっちり達成できそうだね」
「少し期日には早すぎるが、それに越したことはないだろ」
「今回の報酬も弾んでるみたいだし、やっぱりモチベーションが上がってくるよ」
零弥と流雅がプログラムを高速で打ちながら話をする。
それに置いてけぼりにされているような劣等感を感じたユミは、不機嫌そうに話しかけた。
「そんなに高度なプログラムを開発出来るなら、特許とか、色々申請すればいいのに、わざわざ回りくどいことしなくてもいいでしょ?」
「特許は申請の際に実名が公開される上に、今の稼ぎ方でも十分だろ。そのために、名前を売ってるんだから」
零弥と流雅が立ち上げたフリーのプログラミング事業(正確には若干異なるが)は、今回も依頼を元に動いている。また、そのアカウント名はRaumtiteと言う。
「よし、これで完成っと……零弥くん、念のため、一通り見てくれないかな?」
「……問題は無さそうだな」
「OK!なら送り返すよ」
流雅は新たにウィンドウを開けると、いくつかのコマンド行使とコメントを打ち込むと、すぐに送り返した。
「さすがは世界に轟くプログラマーね。私なんか全っ然わかんない」
ユミが拗ねている。その証拠に、そっぽ向きながら頬を膨らませていた。
「あなたたち、また新しいプログラム作ったんでしょ?その……何ちゃらコードってやつ」
「リブート・コードな。そんなに覚えにくい名前じゃないだろ」
零弥が間髪を入れずに訂正する。
「みんな簡単そうに言うけど、あれけっこう大変だったんだよ?」
横槍を入れるように流雅が入る。
「できるだけ簡単な構造にするために何度も何度も誤作動の可能性を潰していったんだから」
「それは……想像したくない重労働ね」
「でしょ?しかも、あれ欠点もあるし……」
かなり重要なはずの事柄がユミはかすかに聞こえた気がした。迷わず聞いてみる。
「欠点?それ、大丈夫なの?」
「あぁ、むしろそうなるように作ってる」
「そうなるように?必要性があるの?」
「大ありだよ」
流雅が代わりに解説する。
「まず、リブート・コードについて解説するよ」
流雅が立ち上がり、電子スクリーンまで歩く。ラウムツァイトとしての収入は絶大であり、これぐらいの物を購入するのは苦ではなく、むしろ一般的に普及し始めている。
「リブート・コードは、処理の途中に異常が発生した場合、任意の場所からやり直せるプログラム。つまり、何らかの障害を感知すれば即座にやり直すということだね」
「……うん」
思わず返答するが、いまいち理解していない。焦らず説明を聞く。
「本来、処理には誤作動は無くなることはないよ。処理の不具合や応答無し、そしてウイルスなど、理由は様々。処理の途中でフリーズする理由はここにあるんだ」
「処理をコンピュータが諦めないからだな」
零弥が補足する。
「逆に言えば、そこで処理を実行できる可能性だってある。原因が単に通信速度やスペックの違いによるものであれば尚更だ。ここまで言えばわかるな?」
ユミに回答を促す。
「えーっと……処理を即座に止めるってことは……実行できる可能性がある処理をいつまでもいつまでも戻り続けるかもしれない……っていうこと?」
「正解。だからこそ、そこからのアレンジは各々に任せてる」
流雅がニヤリと微笑む。
「……でも、何でわざわざ?」
流雅は一呼吸置いて答える。
「……全てに完璧なものなんて、あってはならないんだ」
「……え?」
ユミが遅れて返事をする。
「もし、原因が判断できれば、それはそれは優秀なハッキングコードに成り代わるな」
零弥が続く。
「ましてや無限に創造できるプログラム、こんなものが完璧であってはならないよね」
「だから……って、欠陥付きのものを公開して、特許とか、色々信用に問題ないの?」
「あれは無料公開だ」
「あっ……」
ユミが息を詰まらせる。どうやら、ようやく理解したようだ。
「プログラムの内容が公開されているなら、どんな欠陥かが理解できるプログラマーなんて、そこらじゅうにいるだろうね」
流雅が結論付けに入る。
「この前、AI実験が成功したよね。いや、正確には成功したと報じられた……」
「どこまでが成功なのか、それは人それぞれ……」
このセリフはユミのものだ。
「そう。結局は、完璧なものを人の手で作っちゃダメなんだよ」
「へー……」
ユミがあっけにとられている。
「……長くなっちゃったけど、今日は何で集合したの?」
流雅が零弥の方を向く。
「あぁ……それなんだが……」
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