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第24話 不器用な独占欲
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私がガルディアで「賢女」として知られるようになるにつれて、予想もしなかった出来事が起こり始めた。それは、私に対して、様々な方面から関心が寄せられるようになったということだ。
公爵邸で開かれる小規模な夜会や、他国の使節団を歓迎する晩餐会などに出席する機会も増えたのだが、そんな席で、私に積極的に話しかけてくる貴族や外交官たちが現れ始めたのだ。
彼らは、私のガルディアでの功績を称賛し、私の意見に熱心に耳を傾ける。中には、あからさまに私に取り入ろうとする者や、下心ありげな視線を向けてくる者も、残念ながらいないわけではなかった。
(困ったわ……どう対応すればいいのかしら……)
エスタードでは、私は常に日陰の存在だったから、こんな風に多くの男性から注目を浴びるという経験はほとんどない。戸惑いながらも、当たり障りのないように、そしてガルディアの公爵夫人(まだ正式ではないけれど)としての品位を損なわないように、懸命に対応していた。
そんな私の様子を、ライオネル公爵は、いつも少し離れた場所から、じっと観察しているようだった。そして、私が誰かと親しげに話し込んでいると、彼の周りの空気が、すうっと冷たくなるのを感じるのだ。
ある晩餐会でのこと。隣国の若い王子が、私に非常に熱心に話しかけてきた。彼は、私のガルディアでの活動に深い感銘を受けたと語り、ぜひ自国にも私の知恵を貸してほしいなどと、甘い言葉を囁いてくる。私は、当たり障りのない返事をしながらも、内心では早くこの場を離れたいと思っていた。
その時、不意に、私の肩に大きな手が置かれた。驚いて振り返ると、そこには氷のように冷たい表情をしたライオネル公爵が立っていた。
「アリアナ。少し、こちらへ来てくれ。君に紹介したい人物がいる」
その声は低く、有無を言わせぬ響きがあった。若い王子は、公爵の突然の登場と、その威圧的なオーラに気圧されたのか、慌てて私から離れていった。
「……公爵様?」
公爵は、私を促してバルコニーへと連れ出すと、夜風に当たりながら静かに言った。
「……あの王子は、信用できる男ではない。あまり深入りしない方がいい」
「は、はい……」
「君は、人が良すぎるからな。もっと、警戒心を持つべきだ」
その口調は、どこか不機嫌で、そして……ほんの少しだけ、拗ねているようにも聞こえた。
(もしかして……公爵様、やきもちを……?)
そんな考えが頭をよぎり、私の頬がカッと熱くなるのを感じた。まさか、あの冷徹な公爵が?けれど、最近の彼の行動を思い返してみると、思い当たる節がいくつかあった。
私が他の男性と話していると、必ずと言っていいほど、すぐに話題に入ってきたり、私を別の場所に連れ出したりする。私の日々の予定を、以前よりも細かく把握したがるようになった。そして何よりも、二人きりで執務室や書斎で過ごす時間が、明らかに増えているのだ。
それは、決して計算された行動ではなく、もっと衝動的な、不器用な独占欲の表れのようにも見えた。そして、そのことに気づいた瞬間、私の胸は、戸惑いと同時に、どうしようもないほどの愛しさでいっぱいになった。
もちろん、私自身も、他の女性がライオネル公爵に近づくのを見ると、胸がちくりと痛むのを感じていた。特に、ガルディアの貴族令嬢たちが、公爵に熱い視線を送ったり、媚びるような態度で話しかけたりするのを見ると、穏やかではいられない自分がいる。
(私も……公爵様に、やきもちを焼いているのね……)
お互いに、言葉には出さないけれど、確かに特別な感情が芽生え、それが行動として現れ始めている。その事実は、私たち二人の関係が、もう単なる主君と部下、あるいは政略結婚の相手というだけのものではないことを、明確に示していた。
バルコニーの夜風は少し肌寒かったけれど、私の心は、彼の不器用な独占欲に触れて、ぽかぽかと温かくなっていた。この人の隣が、私の本当の居場所なのだと、改めて強く感じた夜だった。
公爵邸で開かれる小規模な夜会や、他国の使節団を歓迎する晩餐会などに出席する機会も増えたのだが、そんな席で、私に積極的に話しかけてくる貴族や外交官たちが現れ始めたのだ。
彼らは、私のガルディアでの功績を称賛し、私の意見に熱心に耳を傾ける。中には、あからさまに私に取り入ろうとする者や、下心ありげな視線を向けてくる者も、残念ながらいないわけではなかった。
(困ったわ……どう対応すればいいのかしら……)
エスタードでは、私は常に日陰の存在だったから、こんな風に多くの男性から注目を浴びるという経験はほとんどない。戸惑いながらも、当たり障りのないように、そしてガルディアの公爵夫人(まだ正式ではないけれど)としての品位を損なわないように、懸命に対応していた。
そんな私の様子を、ライオネル公爵は、いつも少し離れた場所から、じっと観察しているようだった。そして、私が誰かと親しげに話し込んでいると、彼の周りの空気が、すうっと冷たくなるのを感じるのだ。
ある晩餐会でのこと。隣国の若い王子が、私に非常に熱心に話しかけてきた。彼は、私のガルディアでの活動に深い感銘を受けたと語り、ぜひ自国にも私の知恵を貸してほしいなどと、甘い言葉を囁いてくる。私は、当たり障りのない返事をしながらも、内心では早くこの場を離れたいと思っていた。
その時、不意に、私の肩に大きな手が置かれた。驚いて振り返ると、そこには氷のように冷たい表情をしたライオネル公爵が立っていた。
「アリアナ。少し、こちらへ来てくれ。君に紹介したい人物がいる」
その声は低く、有無を言わせぬ響きがあった。若い王子は、公爵の突然の登場と、その威圧的なオーラに気圧されたのか、慌てて私から離れていった。
「……公爵様?」
公爵は、私を促してバルコニーへと連れ出すと、夜風に当たりながら静かに言った。
「……あの王子は、信用できる男ではない。あまり深入りしない方がいい」
「は、はい……」
「君は、人が良すぎるからな。もっと、警戒心を持つべきだ」
その口調は、どこか不機嫌で、そして……ほんの少しだけ、拗ねているようにも聞こえた。
(もしかして……公爵様、やきもちを……?)
そんな考えが頭をよぎり、私の頬がカッと熱くなるのを感じた。まさか、あの冷徹な公爵が?けれど、最近の彼の行動を思い返してみると、思い当たる節がいくつかあった。
私が他の男性と話していると、必ずと言っていいほど、すぐに話題に入ってきたり、私を別の場所に連れ出したりする。私の日々の予定を、以前よりも細かく把握したがるようになった。そして何よりも、二人きりで執務室や書斎で過ごす時間が、明らかに増えているのだ。
それは、決して計算された行動ではなく、もっと衝動的な、不器用な独占欲の表れのようにも見えた。そして、そのことに気づいた瞬間、私の胸は、戸惑いと同時に、どうしようもないほどの愛しさでいっぱいになった。
もちろん、私自身も、他の女性がライオネル公爵に近づくのを見ると、胸がちくりと痛むのを感じていた。特に、ガルディアの貴族令嬢たちが、公爵に熱い視線を送ったり、媚びるような態度で話しかけたりするのを見ると、穏やかではいられない自分がいる。
(私も……公爵様に、やきもちを焼いているのね……)
お互いに、言葉には出さないけれど、確かに特別な感情が芽生え、それが行動として現れ始めている。その事実は、私たち二人の関係が、もう単なる主君と部下、あるいは政略結婚の相手というだけのものではないことを、明確に示していた。
バルコニーの夜風は少し肌寒かったけれど、私の心は、彼の不器用な独占欲に触れて、ぽかぽかと温かくなっていた。この人の隣が、私の本当の居場所なのだと、改めて強く感じた夜だった。
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