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序章
第3話 魔法の宿題
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「お待ちしておりました、アレン様」
「ああ、遅くなってすまない」
あの後状況の整理が付いたため、俺はリョカに言われた通り庭に来ていた。
目の前には魔法帽子を被った女性の魔術師がいる。
この人は俺に魔法を教えている教師であり、雇われの身だ。
貴族階級は忘れたが、かなり下だったはず。
正直言ってあまり記憶には残っていない。
モブという扱いだし、あまり出番は無かったからな。
「それでは早速魔法の訓練を開始しましょう。この前出した宿題はしてきましたか?」
(な、まずいぞ。俺はついさっき転生したばかりだから宿題の記憶なんて全くない。これは正直に言うしかないな)
「す、すまない。宿題を忘れていたようだ」
「またですかアレン様……もう明日から魔法大学が始まるのですよ? しっかり予習、復習をしてもらわないと魔法は習得することが出来ません。もう時間が無いので私が手本を見せますね」
「あ、ああ」
俺はビクビクしながらローリン先生の魔法を拝見する。
「前回の宿題は水魔法です、アレン様。《ウォーターソード》」
ローリン先生が呪文を唱えると、指先から青白い光がほとばしり、空中に浮かぶ水の粒となる。
水はまるで生きているかのように形を変え、しなやかな剣へと変形していく。
「これが《ウォーターソード》です。少々魔法のコントロールが必要ですので難しいですが、魔法大学ではごく当たり前のことです。ですからアレン様はきちんと宿題を……」
「これでいいのか? 《ウォーターソード》」
「え!?」
俺はローリン先生と同じ呪文を唱えると、水の粒子が浮かび上がっていき、俺の思い描く剣の形が生成されていく。
確かに魔法のコントロールは必要だが、今の俺にはあまり難しい事ではない。
今さっき《ファイアボール》を手の平に作って遊んでいたからな。
俺が楽々と《ウォーターソード》を作っていると、ローリン先生の目が驚愕に染まり、俺の方に詰め寄って来る。
「い、一体どういうことですか!? なぜそんな簡単に《ウォーターソード》を生成することが出来るんですか!」
「ただ水魔法を唱えて、想像した通りに剣を意識しただけさ。まあ、今までコツが掴めていなかったから習得に時間が掛かっていたんだろうな」
「コ、コツでこんなに早く上達する事が出来るんですか……。流石は公爵家の令息ですね」
「それよりも他の魔法を教えてくれないか? 例えば回復魔法など」
「か、回復魔法ですか? 私はヒーラー専門では無いので分かりません。初級レベルの魔法は教えられるのですが」
教えられる魔法は初級レベルの魔法か……今の俺は恐らく最上級魔法まで扱う事が出来るだろう。
最上級となると、天使レベル、そして魔王と戦える程の魔法レベルだ。
今の俺はローリン先生から学ぶ事は何もないし、適当に魔法で使ってみるか。
「ローリン先生、よろしければ俺が最近覚えた魔法を見てみませんか?」
「ア、アレン様が覚えた魔法! ぜひ見てみたいです!」
「分かりました、少し危ないですので離れていてください」
「あ、危ない?」
「はい、今から光と闇を融合した魔法を使います」
「そ、そんな事が出来るはずが……」
《エクリプスクラス》
俺は3級レベルの魔法、《エクリプスクラス》を唱える。
この魔法は光と闇を融合し、絶大な威力を誇るエネルギー弾を作る事が出来る。
そして魔力を高めていくと周囲の空気がピンと張り詰め、静寂に包まれる。
「う、嘘……な、何でこんな魔法を」
ローリン先生は驚きを隠せないような表情をし、その目は大きく見開かれ、唇は言葉を失っている。
ローリン先生の目線は俺の手元に注がれ、光と闇のエネルギーが渦を巻きながら融合しているのを見つめる。
片手には光魔法の輝き、もう片方には闇の魔法が交錯している。
「ふう、これ以上魔力を大きくすると、いくら俺でもコントロールが効かなくなってしまうな」
俺はコントロールが効くレベルまで魔力を上げ、意を決して空に向けてエネルギー弾を放つ。
「ほい」
片手から放たれた魔法弾はまるで流星のように空高く舞い上がっていく。
そして丁度いい高さまで上がると、俺は手を握りしめる。
次の瞬間、魔法弾は爆発を起こし、眩い光の粒子が四方に飛び散る。
まるで星々が散りばめられたかのように、空が一瞬で色とりどりの光に包まれる。
「どうでしたか、綺麗な花火だったでしょう?」
「ア、アレン様? 一体この魔法をどこで学んだんですか!? い、いえ! そんなことよりも、ここまで魔法を使いこなせるとなりますと、魔法大学を首席で卒業する事が出来ますよ!」
俺の魔法を見たローリン先生は興奮の余り、ずっと俺の周りをウロウロしている。
まあこの人は魔法に関しての興味が凄かったからな。
俺の魔法を見て興奮してしまったんだろう。
「それじゃあ俺は明日に向けて体を休めることにするよ。今日はありがとうございましたローリン先生」
「アレン様! 正直今までのアレン様はやる気もなく、態度も悪かったですが。今日の練習態度、そして何といっても先ほどの魔法を見て感動しました! 本当にアレン様は凄いですね!」
「ローリン先生の教え方が上手いからですよ。また今度お願いします」
俺はそう言ってローリン先生から離れていく。
魔法の感触も良い感じだし、広い庭なだけあって色々試す事が出来た。
やはり強力な魔法ほど外で扱う方が安全だからな。
よく考えたら部屋で《ファイアボール》を使っていたのはやばかったかもしれない。
あの時はアイテムが引き継がれてて俺も興奮してしまっていたからな。
そんな事を考えながら、俺は屋敷から出て街に出かけるのであった。
「ああ、遅くなってすまない」
あの後状況の整理が付いたため、俺はリョカに言われた通り庭に来ていた。
目の前には魔法帽子を被った女性の魔術師がいる。
この人は俺に魔法を教えている教師であり、雇われの身だ。
貴族階級は忘れたが、かなり下だったはず。
正直言ってあまり記憶には残っていない。
モブという扱いだし、あまり出番は無かったからな。
「それでは早速魔法の訓練を開始しましょう。この前出した宿題はしてきましたか?」
(な、まずいぞ。俺はついさっき転生したばかりだから宿題の記憶なんて全くない。これは正直に言うしかないな)
「す、すまない。宿題を忘れていたようだ」
「またですかアレン様……もう明日から魔法大学が始まるのですよ? しっかり予習、復習をしてもらわないと魔法は習得することが出来ません。もう時間が無いので私が手本を見せますね」
「あ、ああ」
俺はビクビクしながらローリン先生の魔法を拝見する。
「前回の宿題は水魔法です、アレン様。《ウォーターソード》」
ローリン先生が呪文を唱えると、指先から青白い光がほとばしり、空中に浮かぶ水の粒となる。
水はまるで生きているかのように形を変え、しなやかな剣へと変形していく。
「これが《ウォーターソード》です。少々魔法のコントロールが必要ですので難しいですが、魔法大学ではごく当たり前のことです。ですからアレン様はきちんと宿題を……」
「これでいいのか? 《ウォーターソード》」
「え!?」
俺はローリン先生と同じ呪文を唱えると、水の粒子が浮かび上がっていき、俺の思い描く剣の形が生成されていく。
確かに魔法のコントロールは必要だが、今の俺にはあまり難しい事ではない。
今さっき《ファイアボール》を手の平に作って遊んでいたからな。
俺が楽々と《ウォーターソード》を作っていると、ローリン先生の目が驚愕に染まり、俺の方に詰め寄って来る。
「い、一体どういうことですか!? なぜそんな簡単に《ウォーターソード》を生成することが出来るんですか!」
「ただ水魔法を唱えて、想像した通りに剣を意識しただけさ。まあ、今までコツが掴めていなかったから習得に時間が掛かっていたんだろうな」
「コ、コツでこんなに早く上達する事が出来るんですか……。流石は公爵家の令息ですね」
「それよりも他の魔法を教えてくれないか? 例えば回復魔法など」
「か、回復魔法ですか? 私はヒーラー専門では無いので分かりません。初級レベルの魔法は教えられるのですが」
教えられる魔法は初級レベルの魔法か……今の俺は恐らく最上級魔法まで扱う事が出来るだろう。
最上級となると、天使レベル、そして魔王と戦える程の魔法レベルだ。
今の俺はローリン先生から学ぶ事は何もないし、適当に魔法で使ってみるか。
「ローリン先生、よろしければ俺が最近覚えた魔法を見てみませんか?」
「ア、アレン様が覚えた魔法! ぜひ見てみたいです!」
「分かりました、少し危ないですので離れていてください」
「あ、危ない?」
「はい、今から光と闇を融合した魔法を使います」
「そ、そんな事が出来るはずが……」
《エクリプスクラス》
俺は3級レベルの魔法、《エクリプスクラス》を唱える。
この魔法は光と闇を融合し、絶大な威力を誇るエネルギー弾を作る事が出来る。
そして魔力を高めていくと周囲の空気がピンと張り詰め、静寂に包まれる。
「う、嘘……な、何でこんな魔法を」
ローリン先生は驚きを隠せないような表情をし、その目は大きく見開かれ、唇は言葉を失っている。
ローリン先生の目線は俺の手元に注がれ、光と闇のエネルギーが渦を巻きながら融合しているのを見つめる。
片手には光魔法の輝き、もう片方には闇の魔法が交錯している。
「ふう、これ以上魔力を大きくすると、いくら俺でもコントロールが効かなくなってしまうな」
俺はコントロールが効くレベルまで魔力を上げ、意を決して空に向けてエネルギー弾を放つ。
「ほい」
片手から放たれた魔法弾はまるで流星のように空高く舞い上がっていく。
そして丁度いい高さまで上がると、俺は手を握りしめる。
次の瞬間、魔法弾は爆発を起こし、眩い光の粒子が四方に飛び散る。
まるで星々が散りばめられたかのように、空が一瞬で色とりどりの光に包まれる。
「どうでしたか、綺麗な花火だったでしょう?」
「ア、アレン様? 一体この魔法をどこで学んだんですか!? い、いえ! そんなことよりも、ここまで魔法を使いこなせるとなりますと、魔法大学を首席で卒業する事が出来ますよ!」
俺の魔法を見たローリン先生は興奮の余り、ずっと俺の周りをウロウロしている。
まあこの人は魔法に関しての興味が凄かったからな。
俺の魔法を見て興奮してしまったんだろう。
「それじゃあ俺は明日に向けて体を休めることにするよ。今日はありがとうございましたローリン先生」
「アレン様! 正直今までのアレン様はやる気もなく、態度も悪かったですが。今日の練習態度、そして何といっても先ほどの魔法を見て感動しました! 本当にアレン様は凄いですね!」
「ローリン先生の教え方が上手いからですよ。また今度お願いします」
俺はそう言ってローリン先生から離れていく。
魔法の感触も良い感じだし、広い庭なだけあって色々試す事が出来た。
やはり強力な魔法ほど外で扱う方が安全だからな。
よく考えたら部屋で《ファイアボール》を使っていたのはやばかったかもしれない。
あの時はアイテムが引き継がれてて俺も興奮してしまっていたからな。
そんな事を考えながら、俺は屋敷から出て街に出かけるのであった。
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