悪役貴族に転生した俺、前世のスキルが残っているため、勇者よりも強くなってしまう

空月そらら

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序章

第2話 スキルを確認する

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 俺は一人、部屋をウロウロしながら考えを巡らせる。

 まず、能力の確認をしたい、何故なら俺はこの世界だと破滅してしまう運命にあるからだ。

 だが、もしそれを凌駕する程の能力を持ち合わせていれば、この危機的な運命を回避する事が出来るかもしれない。
 
「まずはステータスオープンだな。《オープン!!!》」
 
 俺は自身の能力を確認する為に、ある呪文を唱える。

 ゲームの設定通りなら《オープン》と言うと自分が今持っている持ち物、そして能力を確認する事が出来る。
 
「ふむふむ、名前と体重もアレンで異常なしだな……ん?」
 
 俺はステータスを少しずつ確認していると、俺の能力欄にある違和感を覚える。
 
「の、能力が、賢王だと!?」
 
 賢王、それは俺が転生する前にプレイヤーとして使用していた最強のスキルだ。

 このスキルは終盤に入手することができ、難易度の高いステージをクリアするには必須の能力だ。

 だがこんな序盤で賢王のスキルは普通入手する事は出来ない。
 
「もしかして前世でプレイしたスキルが引き継がれてるのか? てことは最終戦で入手した剣、そして装備も……」
 
 俺は恐る恐るアイテム欄のボタンをポチっと押してみる。

 すると大量のアイテム欄が俺の目の前に表示される。
 
「おいおいまじかよ! 今までプレイしてきたアイテムが全部引き継がれているのか!」
 
 前世でプレイしたアイテムが引き継がれている。

 これは今の絶望的状況を打破する吉報だ。

 今俺が持っているアイテムは最強レベルの品だ。

 この「ブラックソード」は最終戦で黒重兵を倒したときにドロップした品物だし、その横にある装備品は今まで倒してきた魔物のドロップ品を合成して作り上げた最強の装備。
 
「す、すげぇ。あ、だけど経験値は引き継がれてるのか?」
 
 どんなに良い装備を持っていても、それらを使いこなせなくては意味が無い。

 前世のゲーム設定だと魔物を倒していくことでEXPを獲得することができ、レベルアップすることで剣や魔法を使いこなす事が出来ていたのだ。
 
「レベルも全部引き継がれてる……最高じゃないか」
 
 俺は喜びの余り、嬉しすぎて踊ってしまいそうだ。

 レベルも引き継がれているということは最強の武器も扱うことが出来る。

 それどころか魔法も1級まで使うことが出来る為、ガチの最強だ。
 
「よし、ちょっと魔法でも試してみるか」
 
 俺は片手を挙げ、魔法を発動するのに必要な呪文を唱える。
 
「ちょっと威力を抑えめで第五級魔法……《ファイアーボール》
 
 呪文を唱えると、俺の手の平から莫大な魔力を持った炎の塊が出て来る。
 
 俺は《ファイアボール》を自由自在に動かし、空中に浮かせて遊んでみる。
 
「すげえ、魔法を使うってこんな感じなのか」
 
 モニター越しでしか魔法を見た事が無いため、実際に魔法をこうやって操るのは不思議な感覚だ。

 手の平は全く熱くないし、ただ塊を自分の行かせたい方向に動かしてるだけ。
 
「そんで、魔力を解除する時は」
 
 俺は手の平に集めている魔力を完全に消す。

 すると先ほどまで動いていた《ファイアボール》が完全に消滅した。
 
「これで、魔力の解除も出来た。これなら俺に迫って来る最悪な運命も回避できるな」
 
 最初は転生先がアレンで終わったと思っていたが、俺のアイテムが全部引き継がれているのなら話は別だ。

 この最強ステータスがあればほとんど無双する事が出来るだろう。
 
「せっかく転生出来たんだし、ゆっくり生活するか」
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