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王都観光編
第61話 親切な女性
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エレノアお姉ちゃんが手をつないでくれるが、僕はどうしても自分の目でどんな野菜か見たい気持ちが強い。
ちょっと離れたところに「黄色くて楕円形の実」らしきものがあるけれど、それが本当にマドルーなのか自信がない。
「それか、先に席を確保してから一緒に回る?」
母が提案するけれど、僕は今すぐ見たいし……悩んでいると、父が「よし、じゃあ俺が肉やスープを取っておくから、エレノアはリウスを連れて野菜を見てきたらどうだ?」と提案。
結果的にエレノアお姉ちゃんが「そうね、リウスも気になるんだろうし」と賛成する。
「じゃあ、行こっか?」
エレノアお姉ちゃんと一緒にサラダコーナーへ向かうが、そこも混雑していて思うように進めない。
大人たちが「どれにしようかな」なんて悩んでいる後ろで、幼児の僕は視界が遮られてどこに何があるのか分からない。
気がつけばエレノアお姉ちゃんが別のコーナーに興味を示していたりして、僕は押し流されそうになる。
「わあ、ばぶ……(見えない……)」
少し孤立する形になり、エレノアお姉ちゃんの姿も人ごみに紛れて消える。
やばい、これは迷子になるか?
少し危険だなと思った矢先、近くにいた優しそうな女性が視線をくれて、僕が戸惑っているのを察したのか、「大丈夫?」と声をかけてくれた。
僕は「は、はい……ばぶ…」と答える。
女性は笑顔で「どうしたの、探し物?」と尋ねてくるので、「マドルー……いう野菜……黄色い…見つかりません……」とぎこちなく説明。
すると、彼女は「ああ、あれね」とすぐ分かったらしく、近くのボウルを指差す。
「それがマドルーよ。黄色い根菜で、甘みがあって栄養もあるの」
その場所を見ると、確かに黄色いゴロッとした野菜が切り分けられて並んでいた。
見た目はカボチャとジャガイモを足して割ったような感じで、トングが届きづらい位置にある。
すると、その女性はトングを持ち、皿を取って僕に渡してくれた。
僕は「ありがとう……ばぶ…(す、すいません…)」とぺこりと頭を下げ、女性が取ってくれた小皿を持つ。
「どういたしまして。誰かと来てるの?」
「う、うん……お父さんとお母さんと…おねえちゃん…」
「それなら安心だわ。気をつけてね、ここは人が多いから」
そう言って女性は去って行った。
僕はホッとして、マドルーが手に入った喜びを噛みしめる。
すると、ちょうどエレノアお姉ちゃんが息を切らしながらやって来て、「リウス、ごめん。目を離しちゃって」と謝っている。
僕は「だ、だいじょぶ…あの、親切な人がマドルー教えてくれたから……」と小皿を見せると、エレノアお姉ちゃんは「そうだったのね」と優しく微笑む。
こうして何とか野菜を確保して、席に戻ると父と母が肉料理やスープ、パンなどをセッティングしてくれていた。
「リウス、おかえり。迷わなかったか?」と父が聞くから、僕は「ちょっと迷子に……でも大丈夫」と答える。
母が「このバイキング、思ったより混んでるものね。怪我しなくてよかったわ」と安心している。
僕も気をつけなくちゃダメだね。
そうして席についてから、ようやく落ち着いて朝食を楽しむ時間が訪れた。
テーブルには美味しそうな物がずらり。エレノアお姉ちゃんが「マドルー、私も食べてみたい」と興味を示すので、僕は小皿を差し出す。
彼女が一口かじって「ほんのり甘くて美味しいね」と嬉しそうだ。
僕も自分でパクっと食べてみたら、本当に控えめな甘味がある。
独特のコクがあって、栄養もたっぷりらしいし最高だ。
「これは俺も食べねば」と父が笑い、母も「ほんと、美味しいわね」と楽しんでいる。
僕はふにゃっと笑みがこぼれた。
知らない野菜に出会えるのがこういうバイキングの醍醐味だ。
そうして、家族で談笑しつつ食事を続ける。
父が「今日は夜祭りのメインは夜だが、まだ日中もいろいろイベントがあるんだ。どうする?」と尋ねると、母は「街を再び散策するつもり。リウスとエレノアが昼間の催しも楽しみたいって話してたし」と返す。
エレノアお姉ちゃんがパンをかじりながら「そうそう、魔法を使った射的ゲームもあるって聞いたわ。リウス、やってみたいんじゃない?」と目を輝かせる。
僕は口いっぱいにマドルーを頬張って「うん、やりたい!」と声を弾ませた。
「なら決まりだな。朝食が終わったら部屋に戻って少し休憩して、それから街へ出るぞ」
僕はそんな父の言葉に嬉しくなる。
他愛ない会話をしながら、僕たちはバイキングを存分に楽しんだ。
パンやスープ、焼き立ての卵料理まで平らげて、腹八分目を超えてしまうくらい満足。
紅茶や果汁ジュースも口にして、お腹が幸せでいっぱいだ。
「ふふ、リウス、食べすぎじゃない? 倒れちゃうわよ?」
母が微笑ましく言うので、僕は「だ、だいじょうぶ……しょこ……(ちょこっとだけ…)」と自信なさげに返す。
エレノアお姉ちゃんが「もう満腹になるまで食べたでしょ? こんな小さい体でどこに入ってるのか不思議」と笑うから、僕もふにゃっと笑い返す。
もしこれだけ食べ歩きして肥満になったら嫌だなとも思うが、今は幼児だから大丈夫。
不安になりながら、父が「さて、そろそろ部屋に戻るか」と声をかけて朝食タイムが終了した。
ちょっと離れたところに「黄色くて楕円形の実」らしきものがあるけれど、それが本当にマドルーなのか自信がない。
「それか、先に席を確保してから一緒に回る?」
母が提案するけれど、僕は今すぐ見たいし……悩んでいると、父が「よし、じゃあ俺が肉やスープを取っておくから、エレノアはリウスを連れて野菜を見てきたらどうだ?」と提案。
結果的にエレノアお姉ちゃんが「そうね、リウスも気になるんだろうし」と賛成する。
「じゃあ、行こっか?」
エレノアお姉ちゃんと一緒にサラダコーナーへ向かうが、そこも混雑していて思うように進めない。
大人たちが「どれにしようかな」なんて悩んでいる後ろで、幼児の僕は視界が遮られてどこに何があるのか分からない。
気がつけばエレノアお姉ちゃんが別のコーナーに興味を示していたりして、僕は押し流されそうになる。
「わあ、ばぶ……(見えない……)」
少し孤立する形になり、エレノアお姉ちゃんの姿も人ごみに紛れて消える。
やばい、これは迷子になるか?
少し危険だなと思った矢先、近くにいた優しそうな女性が視線をくれて、僕が戸惑っているのを察したのか、「大丈夫?」と声をかけてくれた。
僕は「は、はい……ばぶ…」と答える。
女性は笑顔で「どうしたの、探し物?」と尋ねてくるので、「マドルー……いう野菜……黄色い…見つかりません……」とぎこちなく説明。
すると、彼女は「ああ、あれね」とすぐ分かったらしく、近くのボウルを指差す。
「それがマドルーよ。黄色い根菜で、甘みがあって栄養もあるの」
その場所を見ると、確かに黄色いゴロッとした野菜が切り分けられて並んでいた。
見た目はカボチャとジャガイモを足して割ったような感じで、トングが届きづらい位置にある。
すると、その女性はトングを持ち、皿を取って僕に渡してくれた。
僕は「ありがとう……ばぶ…(す、すいません…)」とぺこりと頭を下げ、女性が取ってくれた小皿を持つ。
「どういたしまして。誰かと来てるの?」
「う、うん……お父さんとお母さんと…おねえちゃん…」
「それなら安心だわ。気をつけてね、ここは人が多いから」
そう言って女性は去って行った。
僕はホッとして、マドルーが手に入った喜びを噛みしめる。
すると、ちょうどエレノアお姉ちゃんが息を切らしながらやって来て、「リウス、ごめん。目を離しちゃって」と謝っている。
僕は「だ、だいじょぶ…あの、親切な人がマドルー教えてくれたから……」と小皿を見せると、エレノアお姉ちゃんは「そうだったのね」と優しく微笑む。
こうして何とか野菜を確保して、席に戻ると父と母が肉料理やスープ、パンなどをセッティングしてくれていた。
「リウス、おかえり。迷わなかったか?」と父が聞くから、僕は「ちょっと迷子に……でも大丈夫」と答える。
母が「このバイキング、思ったより混んでるものね。怪我しなくてよかったわ」と安心している。
僕も気をつけなくちゃダメだね。
そうして席についてから、ようやく落ち着いて朝食を楽しむ時間が訪れた。
テーブルには美味しそうな物がずらり。エレノアお姉ちゃんが「マドルー、私も食べてみたい」と興味を示すので、僕は小皿を差し出す。
彼女が一口かじって「ほんのり甘くて美味しいね」と嬉しそうだ。
僕も自分でパクっと食べてみたら、本当に控えめな甘味がある。
独特のコクがあって、栄養もたっぷりらしいし最高だ。
「これは俺も食べねば」と父が笑い、母も「ほんと、美味しいわね」と楽しんでいる。
僕はふにゃっと笑みがこぼれた。
知らない野菜に出会えるのがこういうバイキングの醍醐味だ。
そうして、家族で談笑しつつ食事を続ける。
父が「今日は夜祭りのメインは夜だが、まだ日中もいろいろイベントがあるんだ。どうする?」と尋ねると、母は「街を再び散策するつもり。リウスとエレノアが昼間の催しも楽しみたいって話してたし」と返す。
エレノアお姉ちゃんがパンをかじりながら「そうそう、魔法を使った射的ゲームもあるって聞いたわ。リウス、やってみたいんじゃない?」と目を輝かせる。
僕は口いっぱいにマドルーを頬張って「うん、やりたい!」と声を弾ませた。
「なら決まりだな。朝食が終わったら部屋に戻って少し休憩して、それから街へ出るぞ」
僕はそんな父の言葉に嬉しくなる。
他愛ない会話をしながら、僕たちはバイキングを存分に楽しんだ。
パンやスープ、焼き立ての卵料理まで平らげて、腹八分目を超えてしまうくらい満足。
紅茶や果汁ジュースも口にして、お腹が幸せでいっぱいだ。
「ふふ、リウス、食べすぎじゃない? 倒れちゃうわよ?」
母が微笑ましく言うので、僕は「だ、だいじょうぶ……しょこ……(ちょこっとだけ…)」と自信なさげに返す。
エレノアお姉ちゃんが「もう満腹になるまで食べたでしょ? こんな小さい体でどこに入ってるのか不思議」と笑うから、僕もふにゃっと笑い返す。
もしこれだけ食べ歩きして肥満になったら嫌だなとも思うが、今は幼児だから大丈夫。
不安になりながら、父が「さて、そろそろ部屋に戻るか」と声をかけて朝食タイムが終了した。
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