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エリシオン学園編
第127話 七歳の誕生日、入学の朝に
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朝、窓から差し込む陽光が、やわらかなカーテン越しに部屋を包んでいた。
ふんわりとした暖かさに包まれながら、僕はうっすらと瞼を開ける。
「ん……ねむち」
まだ少し重たいまぶたを擦りながら、布団の中でごそごそと身を起こす。
外では鳥のさえずりが聞こえ、自然の邸宅ならではの静かな朝が始まっていた。
寝ぼけまなこをこすりつつ、僕はベッドから下りて、鏡の前に立った。
鏡の中には、あどけなさの残る少年の顔が映っている。
ふと、自分の姿をじっと見つめながら、心の中でつぶやいた。
(僕とうとう、七歳になったんだ)
長いようで短かったような、けれど実際はとても濃密だった七年。
転生してからの毎日は、次から次へと訪れる出来事に翻弄され、けれどその一つひとつが確実に僕の中で何かを育ててくれた。
でも、ここからが本番だ。
原作のゲームでは、今日――この入学式の日から、悪役貴族としての僕の“破滅”が始まってしまう。
父や母、エレノアお姉ちゃんの名誉を汚してしまう、あの忌まわしいルートを回避するために。
僕は、この日のためにずっと準備してきた。
「よし……」
意を決して、僕はクローゼットへと向かい、準備していた服に着替える。
今日は特別な日だから、少しだけ緊張する。
魔法の糸が編み込まれた、式服。
母が心を込めて仕立ててくれた、とっておきだ。
そして、仕上げに――
ティリアから貰った光の首飾りを、そっと手に取る。
この首飾りには何度も救われた。
ブルーヘイブンのあの日、嵐の中で。
オークたちとの戦闘も。
幾度となく、僕を守ってくれた。
「今日も、よろしくね」
そう小さくつぶやきながら、光の首飾りを首にかけた。
そのときだった。
ノックの音が、コツコツと響く。
「リウス様、お目覚めですか?」
聞き慣れた、落ち着いた声だった。
僕が「うん」と返事をすると、ゆっくりと扉が開いて、赤髪のショートヘアを揺らしながら、リリアが微笑んで入ってくる。
「おはようございます、リウス様」
その表情は、まるで本当の家族のように優しくて、僕の心にふわりとした安心感を与えてくれる。
「うん、おはよ、リリア」
僕が返すと、リリアはにこっと微笑んで、「朝食の準備が整っておりますので、ご一緒にどうぞ」と声をかけてくれた。
僕はうなずき、部屋を出る。
外に出ると、廊下ではメイドたちが忙しそうに行き来していた。
誰もがきびきびと動いていて、今日が特別な日だということが、自然と伝わってくる。
その横で、リリアが静かに喋る。
「今日は入学式ですね。私は邸宅でお留守番ですが……リウス様の晴れ姿、とても楽しみにしております」
ふんわりとした暖かさに包まれながら、僕はうっすらと瞼を開ける。
「ん……ねむち」
まだ少し重たいまぶたを擦りながら、布団の中でごそごそと身を起こす。
外では鳥のさえずりが聞こえ、自然の邸宅ならではの静かな朝が始まっていた。
寝ぼけまなこをこすりつつ、僕はベッドから下りて、鏡の前に立った。
鏡の中には、あどけなさの残る少年の顔が映っている。
ふと、自分の姿をじっと見つめながら、心の中でつぶやいた。
(僕とうとう、七歳になったんだ)
長いようで短かったような、けれど実際はとても濃密だった七年。
転生してからの毎日は、次から次へと訪れる出来事に翻弄され、けれどその一つひとつが確実に僕の中で何かを育ててくれた。
でも、ここからが本番だ。
原作のゲームでは、今日――この入学式の日から、悪役貴族としての僕の“破滅”が始まってしまう。
父や母、エレノアお姉ちゃんの名誉を汚してしまう、あの忌まわしいルートを回避するために。
僕は、この日のためにずっと準備してきた。
「よし……」
意を決して、僕はクローゼットへと向かい、準備していた服に着替える。
今日は特別な日だから、少しだけ緊張する。
魔法の糸が編み込まれた、式服。
母が心を込めて仕立ててくれた、とっておきだ。
そして、仕上げに――
ティリアから貰った光の首飾りを、そっと手に取る。
この首飾りには何度も救われた。
ブルーヘイブンのあの日、嵐の中で。
オークたちとの戦闘も。
幾度となく、僕を守ってくれた。
「今日も、よろしくね」
そう小さくつぶやきながら、光の首飾りを首にかけた。
そのときだった。
ノックの音が、コツコツと響く。
「リウス様、お目覚めですか?」
聞き慣れた、落ち着いた声だった。
僕が「うん」と返事をすると、ゆっくりと扉が開いて、赤髪のショートヘアを揺らしながら、リリアが微笑んで入ってくる。
「おはようございます、リウス様」
その表情は、まるで本当の家族のように優しくて、僕の心にふわりとした安心感を与えてくれる。
「うん、おはよ、リリア」
僕が返すと、リリアはにこっと微笑んで、「朝食の準備が整っておりますので、ご一緒にどうぞ」と声をかけてくれた。
僕はうなずき、部屋を出る。
外に出ると、廊下ではメイドたちが忙しそうに行き来していた。
誰もがきびきびと動いていて、今日が特別な日だということが、自然と伝わってくる。
その横で、リリアが静かに喋る。
「今日は入学式ですね。私は邸宅でお留守番ですが……リウス様の晴れ姿、とても楽しみにしております」
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