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1章
第56話 戦姫・ルーキス到着
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「カ、カーメン殿! アルバラン王国からの援軍です!」
城壁に上っていた兵士がそう叫ぶ。
俺はすぐに城壁を上り、外を見る。
するとそこには1000人の軍の姿があった。
その軍は華陽に向かってゆっくりと進んできており、軍の中央にはアルバラン王国の国旗が掲げられている。
「急ぎ門を開門! 軍を中に入れろ!」
キシさんはそう叫び、すぐに門を開けるとその軍は華陽の城壁内に入っていく。
俺たちはその軍の中からゆっくりとこちらに向かってくる1人の女性に視線を向ける。
その女性は俺の前まで歩いてくると、口を開いた。
「私の名前はルーキス・ルド・アルバランだ。アルバラン王国の第一王女である」
「な、なに!?」
俺は思わずそう叫ぶ。ルーキス・ルド・アルバラン、この女性はアルバラン王国の第一王女、ルーキスだ。
ルーキスという名前を聞いただけで近くにいた兵士はざわめきだす。
すると奥にいた城主は頭を下げて口を開いた。
「ルーキス殿下! 援軍ありがとうございます!!」
「華陽の城主よ、よくぞ耐えたな。華陽の将校と兵は休養をとると良い。兵は1000人しかいないが、精鋭を連れてきた」
ルーキスはそう言うと、城の中に入っていく。
他の将校達も後に続き、城の中に入っていった。
まさかこんなに早く来てくれるとは。
おそらくアルバラン王国に残っていた兵を総動員したのだろう。
だがこれで王都の軍は手薄になる。
もし華陽が落ちてしまったら、王都は魔王軍の手に落ちるかもしれない。
「よし、俺たちもルーキスの軍議に参加するぞ」
俺がそう言うと、エトラとキシさんは頷く。
俺たちはルーキスの軍に案内されるまま城の中に入っていくのだった。
★
今俺たちは城にあった会議室にいる。
円卓の席が向き合う形で並んでおり、俺の向かいの席にはルーキスが腰掛けていた。
「君たちが華陽を引っ張ってくれた冒険者か。私はルーキス・ルド・アルバランだ。よろしく頼む」
「ああ、俺の名前はカーメン。こっちの女性がエトラ、そしてこちらの男性がキシさんだ」
俺がそう言って自己紹介すると、エトラとキシさんはルーキスに向けて頭を軽く下げる。
するとルーキスは口を開いた。
「では本題に入ろう。先ほど華陽の兵士から魔王軍の幹部と接触、そして竜と戦闘になったと聞いた。それは本当かい?」
「ああ本当だ。俺は中央軍を指揮していたんだが、その時に魔王軍の幹部ロゼッタと対峙した」
俺がそう言うと、ルーキスは目を細める。
「そのロゼッタとやらはどれぐらい強かった?」
俺は少し考え込んだあと、口を開く。
「おそらくSS級の魔物と思っていい。もしくはそれ以上の力がある気がする」
俺がそう言うとルーキスは目を大きく見開いた。
ロゼッタはSS級の魔物ぐらいの力はあったと見て間違いないだろう。
俺が今まで戦ってきた魔物の中でも断トツに強かった。
それに竜を使役しているのも気になる。
するとルーキスは顎に手を置きながら口を開く。
「実は王都にて他の城塞都市から情報が入ってきてな、どうやら魔王軍には幹部が2人いるらしい」
「ロゼッタともう一人……詳しくは分かりますか?」
「いや、そいつと対峙した兵たちは皆殺されていて、詳しくは分からないんだ」
つまり誰も生き延びていないのか。
くそっ、もしかしてそいつもSS級の魔物なんだろうか。
「明日はその2人の幹部がおそらく出てくるだろう。正直、魔王軍の幹部を倒せるのはSS級冒険者以上の戦力しかない」
ルーキスはため息混じりでそう言う。
その意見には同感だ。
ロゼッタの鎌での一撃は、兵たちの体を簡単に両断していた。
その一撃をくらったら、もうお終いだろう。
「だが、その2人を倒せる可能性はある」
ルーキスがそう言うと、興味深そうに俺の目を見てきた。
「カーメン君と私で、幹部をそれぞれ倒す」
ルーキスがそう言った瞬間、他の2人は目を見開き驚いた顔をする。
だがルーキスの真剣な眼差しは冗談とは思えない。
俺はそんなルーキスの目をしっかりと見て口を開く。
「そうだな、それしかない」
俺がそう答えるとルーキスは満足そうな笑みを浮かべた。
「では軍の配置についてなんだが、今日の軍配置に加えて1000人の兵を分けようと思う。今回のポジションで一番被害が大きかったのは右翼と左翼だったはずだ。そこに精鋭の兵、そして将を配置する」
ルーキスがそう口にすると、キシさんは少し不安そうな顔をする。
「確かに左翼は被害が大きかったですし、右翼も被害が大きかった。ですが明日の中央軍も危険だと思います」
「いや、問題ない。中央には私が行く」
ルーキスはそう口にする。
確かに戦闘経験のあるルーキスがいてくれれば、俺の負担も減る。
「確かにルーキスが中央に入ってくれるのはありがたい」
俺がそう言うと、キシさんも納得したような表情をする。
「分かりました、その作戦でいきましょう」
キシさんがそう口にすると、ルーキスは頷く。
そして軍議は終わり、解散となった。
キシさんとエトラは先に会議室を出ていく。
俺もすぐに部屋を出て行こうとするとルーキスから声がかかる。
「カーメン君、ちょっと待ちなよ」
ルーキスは真剣な声音でそう口にした。
俺は少し驚いたが、頷いて席に戻る。
するとルーキスは口を開いた。
「その仮面、外してもらえないか?」
「ルーキスさん、それは出来ないな」
「なぜだい? 見せられない理由でもあるのか?」
ルーキスは少し顔を近づけてそう問いかけてくる。
ルーキスの黒髪が微かに揺れ、その威圧的な瞳に思わず顔を背けた。
俺はなんて返答するべきか逡巡してしまう。
だが正体をばらして混乱を招きたくはないな。
俺は返答に困ってしまう。
するとルーキスは口端を少しだけ上げ、口を開いた。
これは何か悪戯でも思いついたような顔だ。
「ではこの戦に勝ったら顔でも見せてもらおうかな」
ルーキスはそう口にすると、席から立ち上がった。
そして会議室の出口まで歩いていく。
そしてドアに手をかけると俺に向かって口を開いた。
「明日の戦楽しみにしているよ」
そう言い残しルーキスは会議室から出ていく。
俺はそんなルーキスの背中をじっと眺めてしまった。
そしてコホンと1つ咳払いをする。
「あービックリした、明日辺りフードを被って出ようかな」
俺はそう考えながらその場を立ち上がり、会議室から出るのだった。
城壁に上っていた兵士がそう叫ぶ。
俺はすぐに城壁を上り、外を見る。
するとそこには1000人の軍の姿があった。
その軍は華陽に向かってゆっくりと進んできており、軍の中央にはアルバラン王国の国旗が掲げられている。
「急ぎ門を開門! 軍を中に入れろ!」
キシさんはそう叫び、すぐに門を開けるとその軍は華陽の城壁内に入っていく。
俺たちはその軍の中からゆっくりとこちらに向かってくる1人の女性に視線を向ける。
その女性は俺の前まで歩いてくると、口を開いた。
「私の名前はルーキス・ルド・アルバランだ。アルバラン王国の第一王女である」
「な、なに!?」
俺は思わずそう叫ぶ。ルーキス・ルド・アルバラン、この女性はアルバラン王国の第一王女、ルーキスだ。
ルーキスという名前を聞いただけで近くにいた兵士はざわめきだす。
すると奥にいた城主は頭を下げて口を開いた。
「ルーキス殿下! 援軍ありがとうございます!!」
「華陽の城主よ、よくぞ耐えたな。華陽の将校と兵は休養をとると良い。兵は1000人しかいないが、精鋭を連れてきた」
ルーキスはそう言うと、城の中に入っていく。
他の将校達も後に続き、城の中に入っていった。
まさかこんなに早く来てくれるとは。
おそらくアルバラン王国に残っていた兵を総動員したのだろう。
だがこれで王都の軍は手薄になる。
もし華陽が落ちてしまったら、王都は魔王軍の手に落ちるかもしれない。
「よし、俺たちもルーキスの軍議に参加するぞ」
俺がそう言うと、エトラとキシさんは頷く。
俺たちはルーキスの軍に案内されるまま城の中に入っていくのだった。
★
今俺たちは城にあった会議室にいる。
円卓の席が向き合う形で並んでおり、俺の向かいの席にはルーキスが腰掛けていた。
「君たちが華陽を引っ張ってくれた冒険者か。私はルーキス・ルド・アルバランだ。よろしく頼む」
「ああ、俺の名前はカーメン。こっちの女性がエトラ、そしてこちらの男性がキシさんだ」
俺がそう言って自己紹介すると、エトラとキシさんはルーキスに向けて頭を軽く下げる。
するとルーキスは口を開いた。
「では本題に入ろう。先ほど華陽の兵士から魔王軍の幹部と接触、そして竜と戦闘になったと聞いた。それは本当かい?」
「ああ本当だ。俺は中央軍を指揮していたんだが、その時に魔王軍の幹部ロゼッタと対峙した」
俺がそう言うと、ルーキスは目を細める。
「そのロゼッタとやらはどれぐらい強かった?」
俺は少し考え込んだあと、口を開く。
「おそらくSS級の魔物と思っていい。もしくはそれ以上の力がある気がする」
俺がそう言うとルーキスは目を大きく見開いた。
ロゼッタはSS級の魔物ぐらいの力はあったと見て間違いないだろう。
俺が今まで戦ってきた魔物の中でも断トツに強かった。
それに竜を使役しているのも気になる。
するとルーキスは顎に手を置きながら口を開く。
「実は王都にて他の城塞都市から情報が入ってきてな、どうやら魔王軍には幹部が2人いるらしい」
「ロゼッタともう一人……詳しくは分かりますか?」
「いや、そいつと対峙した兵たちは皆殺されていて、詳しくは分からないんだ」
つまり誰も生き延びていないのか。
くそっ、もしかしてそいつもSS級の魔物なんだろうか。
「明日はその2人の幹部がおそらく出てくるだろう。正直、魔王軍の幹部を倒せるのはSS級冒険者以上の戦力しかない」
ルーキスはため息混じりでそう言う。
その意見には同感だ。
ロゼッタの鎌での一撃は、兵たちの体を簡単に両断していた。
その一撃をくらったら、もうお終いだろう。
「だが、その2人を倒せる可能性はある」
ルーキスがそう言うと、興味深そうに俺の目を見てきた。
「カーメン君と私で、幹部をそれぞれ倒す」
ルーキスがそう言った瞬間、他の2人は目を見開き驚いた顔をする。
だがルーキスの真剣な眼差しは冗談とは思えない。
俺はそんなルーキスの目をしっかりと見て口を開く。
「そうだな、それしかない」
俺がそう答えるとルーキスは満足そうな笑みを浮かべた。
「では軍の配置についてなんだが、今日の軍配置に加えて1000人の兵を分けようと思う。今回のポジションで一番被害が大きかったのは右翼と左翼だったはずだ。そこに精鋭の兵、そして将を配置する」
ルーキスがそう口にすると、キシさんは少し不安そうな顔をする。
「確かに左翼は被害が大きかったですし、右翼も被害が大きかった。ですが明日の中央軍も危険だと思います」
「いや、問題ない。中央には私が行く」
ルーキスはそう口にする。
確かに戦闘経験のあるルーキスがいてくれれば、俺の負担も減る。
「確かにルーキスが中央に入ってくれるのはありがたい」
俺がそう言うと、キシさんも納得したような表情をする。
「分かりました、その作戦でいきましょう」
キシさんがそう口にすると、ルーキスは頷く。
そして軍議は終わり、解散となった。
キシさんとエトラは先に会議室を出ていく。
俺もすぐに部屋を出て行こうとするとルーキスから声がかかる。
「カーメン君、ちょっと待ちなよ」
ルーキスは真剣な声音でそう口にした。
俺は少し驚いたが、頷いて席に戻る。
するとルーキスは口を開いた。
「その仮面、外してもらえないか?」
「ルーキスさん、それは出来ないな」
「なぜだい? 見せられない理由でもあるのか?」
ルーキスは少し顔を近づけてそう問いかけてくる。
ルーキスの黒髪が微かに揺れ、その威圧的な瞳に思わず顔を背けた。
俺はなんて返答するべきか逡巡してしまう。
だが正体をばらして混乱を招きたくはないな。
俺は返答に困ってしまう。
するとルーキスは口端を少しだけ上げ、口を開いた。
これは何か悪戯でも思いついたような顔だ。
「ではこの戦に勝ったら顔でも見せてもらおうかな」
ルーキスはそう口にすると、席から立ち上がった。
そして会議室の出口まで歩いていく。
そしてドアに手をかけると俺に向かって口を開いた。
「明日の戦楽しみにしているよ」
そう言い残しルーキスは会議室から出ていく。
俺はそんなルーキスの背中をじっと眺めてしまった。
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