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39.大きな問題が発覚しました
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トータス兄様の背後に、コンカラー兄様が控えている。2人共どうして、ここにいるの。
「兄様達、衛兵団に捕まったの?何をしたの?」
「おい、おい。衛兵団に捕まったのは事実だが、何かをしたからではない。頼まれたからだ」
「…何を、頼まれたの?」
「それは、私から説明しよう」
衛兵団長、いたの。兄様達の影に隠れて、全然見えなかったわ。
チャーフィーは、今回の援助物資隊の中隊長と副中隊長に、臨時で兄様達に依頼していた。無茶苦茶な人事で、不満を呼ぶのではと心配したが、臨時であるのと以前、騎士団の小隊を全滅させ副団長を倒した腕が買われ、納得しているらしい。
「それに、現騎士団長の兄君だし、そこくらいの地位は当然よ」
「では昨日の書状の主は、チャーフィーで、帰って来なかったのは、一晩中準備をしていたから?」
「当然だ」「我々が、家で寝ていたら示しがつかないだろ」
──嘘だぁ。兄様達が仕事で徹夜?
あり得ない。これは、不吉な事が起こる前触れではないか。
「それから、新事実が分かったから、伝えておくわね。」
──ほら、やっぱりぃぃ。
昨夜、衛兵団はラーデンとマガザンの屋敷にも突入し、証拠品等を押収していた。その時、2人の屋敷の地下に多くの牢屋がある事が分かった。その牢には、ラーデンの屋敷には獣人族の女が、マガザンの屋敷には、獣人族の子供が幽閉されていた。証拠品の中に、顧客リストが見つかっており、どうやら、売り払っていたようだ。ここ、レスボンでは、人身売買は禁止されている。獣人族も人なので、その対象に入る。ラーデンとマガザンはそちらでも罰せられる事になる。
この事は、大きな波紋を生みそうだ。まず、大きな問題は門番による、お土産問題だろう。門番が街に入る人に、お土産を要求して、受け取ると荷物の確認を省略する行為だ。ようは賄賂である。門番が要求する時、お土産はないのかと聞く事から、そう呼ばれている。この行為は、いつの時代もどの国でも起こり解決できず慢性的な問題になっていた。なぜなら、この行為は商人たちには、好評だからだ。門番にベタベタと売り物を触られ時間のかかる荷物検査が、わずかの金子で省略されるから喜ばれる。さらに、門の渋滞を緩和し、物流がよくなる副作用もつく。そもそも、門番がそんな商人達の気持ちを察して始めた行為なので、厳しく取り締まるのも気が引けるようだ。そんなわけで、間者や獣人はどうやってレスボンに入ってきたか。それは、普通に門を通って来たに違いない。もちろん、門番も悪人ではないので、荷車に間者や獣人が乗っていると知れば、絶対に通さないだろう。まさか、商人組合の組合長と副組合長の荷車に、そんなものが乗っているとは夢にも思わなかっただろう。だが、今回は街が燃やされ、人身売買まで発覚した。門番達は厳しい粛正を受ける事になるだろう。
──チャーフィーは大変だな。ハゲなきゃいいけど。
次に問題なのが、人身売買を禁じているのが、お館様だという事だ。つまり、首都エヌコートなど、その他の地域では、禁じられていない。顧客リストに載っていたのは、全員レスボン外の貴族や商人で、それらが所属する街では、いずれも禁じられていない。つまり、誰も裁けないし、奴隷を取り返すのも難しい。だが、根気よく交渉してせめて、奴隷を返してもらうしかない。これは、外交官の仕事だな。ん?でも、国内の話だから、衛兵団や騎士団との連携も関わってくるかな。
──やばい、私も、毛が抜けそう。
最後は今、獣人が戦闘に参加しているのが、間違いなくこの件が原因だ。保護した獣人がレスボンにいると分かると、取り返そうと我々に牙を剥くだろう。なんとか、獣人達と交渉の場を作り事情を説明する必要がある。そのためには、一緒に行動している大シン帝国の兵士が邪魔だな。
もう、兄様達、徹夜なんかするから、とんでもない問題が発覚したじゃない。
──八つ当たりだけど。
「それで、保護した獣人達は、どうするのだ?まさか、連れて行けなんて言わないよな」
「そう言いたいのは山々だけど、言わない。実は、保護した獣人のほとんどがこのまま、この街に住みたいと言っているのよ。できれば、里の人達も受け入れて欲しいみたい」
人身売買禁止の街。獣人にとって、とても魅力のある街のようだ。また、保護した後は、とても丁重に扱ってくれたと感動していた。大シン帝国では、獣人の数が増えるのを嫌い定期的に軍が派遣され、多くの獣人がさらわれる。今回も数減らしで参戦させられているようだ。
「それは、獣人族の総意とは判断できないだろう。」
「それが、そうでもないみたい。保護した獣人の中に、なんと族長の息子と付き合っている彼女がいたのよ。パチ、パチ、パチ、パチ」
「………。それ、微妙だろ」
「まあね。でも、説得する自信があるそうよ。だから、援助物資隊に同行する」
「それで、獣人族を全員この街で受け入れるのか?許可はもらったの?」
「お館様の許可は、まだだけど、必ず受けるわ」
人身売買が禁止されている街はとても珍しく、私が知る限りでは、ここレスボンしかない。それは、アリアドネ様が人身売買禁止とすべての種族の受け入れを条件に、この街に定住しているからだ。この街での癒しの魔女様の存在は大きいので、この街を出るとどうなるか想像もつかない。だから、受けるしかないそうだ。
──そもそも、セロースを攻めている獣人の中に族長の息子がいるのか?
獣人族の族長の息子は、兵士隊の隊長で戦闘になれば必ず指揮を執るからいるそうだ。名をマキシマムといい、金棒を巧みに使い、相手の剣諸共粉砕する力がある獣人族最強と言われているとか。嘘が嫌いでプライドが高い性格で、臆病者と言われるのを特に嫌うらしい。なので、一騎打ちを望めば必ず応じる。
「だから、騎士団長が、交渉を条件に一騎打ちを申し込めばいいのよ」
「それで、剣を粉砕する奴に、殺さないでどう勝てばいいのだ」
「勇気と根性と気合を入れて、知恵を使うの」
──つまり、なにも考えていないのだな。はぁ、憂鬱だ。
「兄様達、衛兵団に捕まったの?何をしたの?」
「おい、おい。衛兵団に捕まったのは事実だが、何かをしたからではない。頼まれたからだ」
「…何を、頼まれたの?」
「それは、私から説明しよう」
衛兵団長、いたの。兄様達の影に隠れて、全然見えなかったわ。
チャーフィーは、今回の援助物資隊の中隊長と副中隊長に、臨時で兄様達に依頼していた。無茶苦茶な人事で、不満を呼ぶのではと心配したが、臨時であるのと以前、騎士団の小隊を全滅させ副団長を倒した腕が買われ、納得しているらしい。
「それに、現騎士団長の兄君だし、そこくらいの地位は当然よ」
「では昨日の書状の主は、チャーフィーで、帰って来なかったのは、一晩中準備をしていたから?」
「当然だ」「我々が、家で寝ていたら示しがつかないだろ」
──嘘だぁ。兄様達が仕事で徹夜?
あり得ない。これは、不吉な事が起こる前触れではないか。
「それから、新事実が分かったから、伝えておくわね。」
──ほら、やっぱりぃぃ。
昨夜、衛兵団はラーデンとマガザンの屋敷にも突入し、証拠品等を押収していた。その時、2人の屋敷の地下に多くの牢屋がある事が分かった。その牢には、ラーデンの屋敷には獣人族の女が、マガザンの屋敷には、獣人族の子供が幽閉されていた。証拠品の中に、顧客リストが見つかっており、どうやら、売り払っていたようだ。ここ、レスボンでは、人身売買は禁止されている。獣人族も人なので、その対象に入る。ラーデンとマガザンはそちらでも罰せられる事になる。
この事は、大きな波紋を生みそうだ。まず、大きな問題は門番による、お土産問題だろう。門番が街に入る人に、お土産を要求して、受け取ると荷物の確認を省略する行為だ。ようは賄賂である。門番が要求する時、お土産はないのかと聞く事から、そう呼ばれている。この行為は、いつの時代もどの国でも起こり解決できず慢性的な問題になっていた。なぜなら、この行為は商人たちには、好評だからだ。門番にベタベタと売り物を触られ時間のかかる荷物検査が、わずかの金子で省略されるから喜ばれる。さらに、門の渋滞を緩和し、物流がよくなる副作用もつく。そもそも、門番がそんな商人達の気持ちを察して始めた行為なので、厳しく取り締まるのも気が引けるようだ。そんなわけで、間者や獣人はどうやってレスボンに入ってきたか。それは、普通に門を通って来たに違いない。もちろん、門番も悪人ではないので、荷車に間者や獣人が乗っていると知れば、絶対に通さないだろう。まさか、商人組合の組合長と副組合長の荷車に、そんなものが乗っているとは夢にも思わなかっただろう。だが、今回は街が燃やされ、人身売買まで発覚した。門番達は厳しい粛正を受ける事になるだろう。
──チャーフィーは大変だな。ハゲなきゃいいけど。
次に問題なのが、人身売買を禁じているのが、お館様だという事だ。つまり、首都エヌコートなど、その他の地域では、禁じられていない。顧客リストに載っていたのは、全員レスボン外の貴族や商人で、それらが所属する街では、いずれも禁じられていない。つまり、誰も裁けないし、奴隷を取り返すのも難しい。だが、根気よく交渉してせめて、奴隷を返してもらうしかない。これは、外交官の仕事だな。ん?でも、国内の話だから、衛兵団や騎士団との連携も関わってくるかな。
──やばい、私も、毛が抜けそう。
最後は今、獣人が戦闘に参加しているのが、間違いなくこの件が原因だ。保護した獣人がレスボンにいると分かると、取り返そうと我々に牙を剥くだろう。なんとか、獣人達と交渉の場を作り事情を説明する必要がある。そのためには、一緒に行動している大シン帝国の兵士が邪魔だな。
もう、兄様達、徹夜なんかするから、とんでもない問題が発覚したじゃない。
──八つ当たりだけど。
「それで、保護した獣人達は、どうするのだ?まさか、連れて行けなんて言わないよな」
「そう言いたいのは山々だけど、言わない。実は、保護した獣人のほとんどがこのまま、この街に住みたいと言っているのよ。できれば、里の人達も受け入れて欲しいみたい」
人身売買禁止の街。獣人にとって、とても魅力のある街のようだ。また、保護した後は、とても丁重に扱ってくれたと感動していた。大シン帝国では、獣人の数が増えるのを嫌い定期的に軍が派遣され、多くの獣人がさらわれる。今回も数減らしで参戦させられているようだ。
「それは、獣人族の総意とは判断できないだろう。」
「それが、そうでもないみたい。保護した獣人の中に、なんと族長の息子と付き合っている彼女がいたのよ。パチ、パチ、パチ、パチ」
「………。それ、微妙だろ」
「まあね。でも、説得する自信があるそうよ。だから、援助物資隊に同行する」
「それで、獣人族を全員この街で受け入れるのか?許可はもらったの?」
「お館様の許可は、まだだけど、必ず受けるわ」
人身売買が禁止されている街はとても珍しく、私が知る限りでは、ここレスボンしかない。それは、アリアドネ様が人身売買禁止とすべての種族の受け入れを条件に、この街に定住しているからだ。この街での癒しの魔女様の存在は大きいので、この街を出るとどうなるか想像もつかない。だから、受けるしかないそうだ。
──そもそも、セロースを攻めている獣人の中に族長の息子がいるのか?
獣人族の族長の息子は、兵士隊の隊長で戦闘になれば必ず指揮を執るからいるそうだ。名をマキシマムといい、金棒を巧みに使い、相手の剣諸共粉砕する力がある獣人族最強と言われているとか。嘘が嫌いでプライドが高い性格で、臆病者と言われるのを特に嫌うらしい。なので、一騎打ちを望めば必ず応じる。
「だから、騎士団長が、交渉を条件に一騎打ちを申し込めばいいのよ」
「それで、剣を粉砕する奴に、殺さないでどう勝てばいいのだ」
「勇気と根性と気合を入れて、知恵を使うの」
──つまり、なにも考えていないのだな。はぁ、憂鬱だ。
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