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14話 子供達と薬草採取
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「しかし、ヤスオはホント何も知らねぇな」
(はいキター。初日から呼び捨て)
「知らないじゃない。忘れているだけ」
(ごめん。ホントに知らないんだ)
「そうだよ。おじさんだから仕方ないよ」
(ん?何が言いたい?)
「そうそう。“ボケる”こともあるよ」
「ボケじゃないわぁぁ」
『あははは。ヤスオが怒ったー』 子供達は逃げていった。
ヤスオはアイル先生の授業のもと、採取を行う。一刻ほど経つと、ボンを背負って門まで歩いてきたせいか、疲れてきた。
「ごめん、アイルちゃん。おじさん少し休むよ」
「うん、わかった」
適当に盛り上がった場所を見つけると、そこに腰を下ろす。
「なんだ、もう疲れたのかよ。ヤスオってトイ爺より“じじぃ”だな」
「じじぃ、言うなー」
『あははは。ヤスオが怒ったー』
子供達がはしゃぎ、笑っている。薬草採取より、はしゃいでいる時間の方が多いのではと思ってしまう。
「みんな、元気でよろしい」
そう言うと、トイ爺がヤスオの隣に腰を下ろし、ボンに何やら合図を送る。それを見たボンは「ワン」と返事すると子供達の周囲を歩き始めた。警戒しているようだ。
「かしこいワンちゃんですね」
「あれとは冒険者だった頃からの付き合いでな。すでに老犬なのじゃが、良く働いてくれておる」
「ワン、ワワンワン」「もうボン。邪魔」
ボンは、離れて行く少女の服を引っ張り、戻るよう誘導していた。
「元冒険者ですか」
「これでもB級上位の冒険者じゃ。3年前に怪我をして引退した。それでも、子供達の護衛くらいはできるで、こうして雇われておる」
B級上位?上位とは何だろう?中位、下位とあるのだろうか?では、俺は。G級の何?気にはなったが一番下であることには変わりない。いずれ分かるだろうと思考を止めた。
「わん、わん、わん」「あはは。ボン、こっち、こっち」
少女はいつの間にか、ボンと遊んでいる。ボンも楽しそうだ。
「この辺も、危険なのですか?」
「安全では、ないな。魔物は出ても小鬼程度じゃが、野生動物が結構出るからの」
小鬼?ここでは、鬼がでるのか?話からして、たいして強くはないようだが、ヤスオでも対応できるのか不安になる。それに、野生動物。どんな種類がいるのだろう。
「こらーアンナ。遊ぶな」
「ビル、ごめーん」「ワン、ワワーン」
ボンも反省しているように見える。
「どんな動物が出るのですか」
「リスやウサギのような可愛いものから、猪・熊・虎のような恐いものまで、色々じゃ」
猪は、前世の郊外で何回か見たことがある。熊はテレビのニュースで出たという映像を見た程度。だが、虎は動物園でしか見たことがない。そんなものが目の前に出るのか?心底、恐怖する。
「キャンキャン」「こらーアイル。ボンが可哀想だろう」
アイルがボンの背中に乗ろうとして、ボンは嫌がっていた。
「虎が出るのですか?」
「虎や熊はごく稀じゃ。出てもこの場所なら、すぐに衛兵がきて対応するから問題ない。猪なら、わしとボンで対応できる。そうなれば、子供達の晩御飯は猪肉になり、残った肉や皮などは、わしの収入になる。出てきて欲しいくらいじゃ」
「なるほど。だから、門に近い場所で採取するのですね」
トイ爺さんは野生動物対策だった。ヤスオも明日から何か武器を持ってこようと決意する。
「そういえば、あんたも冒険者だったな。野生動物は金にはなるが、昇級には繋がらない。気をつけなされ」
「ワン、ワン」「あっ。ボン待ってー」
ボンはアイルからの脱出に成功。見事、逃げ延びた。
「昇級?冒険者のランクを上げることですか」
「そうじゃ。野生動物では昇級に必要な点数がつかんということじゃ。魔物を狩れば点数がつく。例えば、小鬼なら一匹あたり2点とかじゃ。小鬼は死ねば魔石に戻るが、小さくてあまり金にはならんがのぉ」
トイ爺は人差し指と親指で、魔石の大きさを表した。その大きさは、魔石より魔片と呼んだ方がよい大きさだった。
「ワン、ワン」「きゃぁ!」「どうした?」
女の子がボンに服を引っ張られて、尻もちをついた。男の子が何事かと歩み寄る。
「つまり、薬草採取だけでは昇級できない、ということですか」
「そういうことじゃ。午後からは、わしも剣術を教えておる。あんたも参加してみるといい」
剣術を学ぶ。前世では学びたくても、どこで教えてくれるか分からない分野だ。この世界では生きるために必要な技術なのだ。そして、その最低限を身に付けていないのを痛感した。
「きゃー」「ウーワンワン。ウゥゥ」「あー!トイ爺。角ウサギが出た」
ボンが女の子の前に出て、角ウサギと睨み合っていた。
「つの、うさぎ?」
「アルミラージ。点数1の魔物じゃ」
「待っていろ。今行く」
トイ爺は手際よく角ウサギを討伐した。角ウサギの血液が周りを汚す。それを見たヤスオは気分が悪くなった。これは剣術以前の話で、慣れなければならないことだ。
「よーし、みんな今夜は兎肉じゃ」
『わーい』
子供達は何も動じず、ウサギ肉に喜んだ。ヤスオは不思議に思った。小鬼は死ねば魔石に戻る。角ウサギは死んでも魔石には戻らない?なにが違う?
その後も薬草採取が、続けられた。ヤスオも採取を始めると、再びアイル先生の授業が始まった。
「よーし、そろそろ帰ろう」
トイ爺のかけ声に子供達は一斉に帰り支度を始める。集めた薬草は、一つにまとめられ籠の中に入れられた。その籠をトイ爺が担ぎ運ぶ。
ヤスオは、アイルの手を握り帰ろうとする。だがアイルは、疲れた顔をして足取りが重かった。見かねたヤスオは、アイルを持ち上げ肩に乗せた。
「いいのー」
「いっぱい教えてくれたお礼だよ」
「わーい」
アイルは生まれて初めての肩車に大喜び。他の子達は羨ましそうして交代の機会を伺っていた。だが、すぐにアイルが寝てしまったので仕方なく諦めた。
孤児院に到着しアイルを下ろすと、他の子達が自分も肩車して欲しいと催促した。だが、ヤスオの頭がビチョビチョに濡れているのを知ると、全員が断念した。
(はいキター。初日から呼び捨て)
「知らないじゃない。忘れているだけ」
(ごめん。ホントに知らないんだ)
「そうだよ。おじさんだから仕方ないよ」
(ん?何が言いたい?)
「そうそう。“ボケる”こともあるよ」
「ボケじゃないわぁぁ」
『あははは。ヤスオが怒ったー』 子供達は逃げていった。
ヤスオはアイル先生の授業のもと、採取を行う。一刻ほど経つと、ボンを背負って門まで歩いてきたせいか、疲れてきた。
「ごめん、アイルちゃん。おじさん少し休むよ」
「うん、わかった」
適当に盛り上がった場所を見つけると、そこに腰を下ろす。
「なんだ、もう疲れたのかよ。ヤスオってトイ爺より“じじぃ”だな」
「じじぃ、言うなー」
『あははは。ヤスオが怒ったー』
子供達がはしゃぎ、笑っている。薬草採取より、はしゃいでいる時間の方が多いのではと思ってしまう。
「みんな、元気でよろしい」
そう言うと、トイ爺がヤスオの隣に腰を下ろし、ボンに何やら合図を送る。それを見たボンは「ワン」と返事すると子供達の周囲を歩き始めた。警戒しているようだ。
「かしこいワンちゃんですね」
「あれとは冒険者だった頃からの付き合いでな。すでに老犬なのじゃが、良く働いてくれておる」
「ワン、ワワンワン」「もうボン。邪魔」
ボンは、離れて行く少女の服を引っ張り、戻るよう誘導していた。
「元冒険者ですか」
「これでもB級上位の冒険者じゃ。3年前に怪我をして引退した。それでも、子供達の護衛くらいはできるで、こうして雇われておる」
B級上位?上位とは何だろう?中位、下位とあるのだろうか?では、俺は。G級の何?気にはなったが一番下であることには変わりない。いずれ分かるだろうと思考を止めた。
「わん、わん、わん」「あはは。ボン、こっち、こっち」
少女はいつの間にか、ボンと遊んでいる。ボンも楽しそうだ。
「この辺も、危険なのですか?」
「安全では、ないな。魔物は出ても小鬼程度じゃが、野生動物が結構出るからの」
小鬼?ここでは、鬼がでるのか?話からして、たいして強くはないようだが、ヤスオでも対応できるのか不安になる。それに、野生動物。どんな種類がいるのだろう。
「こらーアンナ。遊ぶな」
「ビル、ごめーん」「ワン、ワワーン」
ボンも反省しているように見える。
「どんな動物が出るのですか」
「リスやウサギのような可愛いものから、猪・熊・虎のような恐いものまで、色々じゃ」
猪は、前世の郊外で何回か見たことがある。熊はテレビのニュースで出たという映像を見た程度。だが、虎は動物園でしか見たことがない。そんなものが目の前に出るのか?心底、恐怖する。
「キャンキャン」「こらーアイル。ボンが可哀想だろう」
アイルがボンの背中に乗ろうとして、ボンは嫌がっていた。
「虎が出るのですか?」
「虎や熊はごく稀じゃ。出てもこの場所なら、すぐに衛兵がきて対応するから問題ない。猪なら、わしとボンで対応できる。そうなれば、子供達の晩御飯は猪肉になり、残った肉や皮などは、わしの収入になる。出てきて欲しいくらいじゃ」
「なるほど。だから、門に近い場所で採取するのですね」
トイ爺さんは野生動物対策だった。ヤスオも明日から何か武器を持ってこようと決意する。
「そういえば、あんたも冒険者だったな。野生動物は金にはなるが、昇級には繋がらない。気をつけなされ」
「ワン、ワン」「あっ。ボン待ってー」
ボンはアイルからの脱出に成功。見事、逃げ延びた。
「昇級?冒険者のランクを上げることですか」
「そうじゃ。野生動物では昇級に必要な点数がつかんということじゃ。魔物を狩れば点数がつく。例えば、小鬼なら一匹あたり2点とかじゃ。小鬼は死ねば魔石に戻るが、小さくてあまり金にはならんがのぉ」
トイ爺は人差し指と親指で、魔石の大きさを表した。その大きさは、魔石より魔片と呼んだ方がよい大きさだった。
「ワン、ワン」「きゃぁ!」「どうした?」
女の子がボンに服を引っ張られて、尻もちをついた。男の子が何事かと歩み寄る。
「つまり、薬草採取だけでは昇級できない、ということですか」
「そういうことじゃ。午後からは、わしも剣術を教えておる。あんたも参加してみるといい」
剣術を学ぶ。前世では学びたくても、どこで教えてくれるか分からない分野だ。この世界では生きるために必要な技術なのだ。そして、その最低限を身に付けていないのを痛感した。
「きゃー」「ウーワンワン。ウゥゥ」「あー!トイ爺。角ウサギが出た」
ボンが女の子の前に出て、角ウサギと睨み合っていた。
「つの、うさぎ?」
「アルミラージ。点数1の魔物じゃ」
「待っていろ。今行く」
トイ爺は手際よく角ウサギを討伐した。角ウサギの血液が周りを汚す。それを見たヤスオは気分が悪くなった。これは剣術以前の話で、慣れなければならないことだ。
「よーし、みんな今夜は兎肉じゃ」
『わーい』
子供達は何も動じず、ウサギ肉に喜んだ。ヤスオは不思議に思った。小鬼は死ねば魔石に戻る。角ウサギは死んでも魔石には戻らない?なにが違う?
その後も薬草採取が、続けられた。ヤスオも採取を始めると、再びアイル先生の授業が始まった。
「よーし、そろそろ帰ろう」
トイ爺のかけ声に子供達は一斉に帰り支度を始める。集めた薬草は、一つにまとめられ籠の中に入れられた。その籠をトイ爺が担ぎ運ぶ。
ヤスオは、アイルの手を握り帰ろうとする。だがアイルは、疲れた顔をして足取りが重かった。見かねたヤスオは、アイルを持ち上げ肩に乗せた。
「いいのー」
「いっぱい教えてくれたお礼だよ」
「わーい」
アイルは生まれて初めての肩車に大喜び。他の子達は羨ましそうして交代の機会を伺っていた。だが、すぐにアイルが寝てしまったので仕方なく諦めた。
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