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26話 初魔法に成功
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(その通りよ。収納魔法は、多くの荷物を運搬するのが目的で、盗難防止が目的じゃないから、普通の荷物同様、狙われたら奪われるわ)
「でも、そういう要素があってもいいじゃないですか」
(ダメよ、でないと登録者が死ねば封印されたことになるから、目的とは違う使われ方をされてしまうじゃない。だから、収納袋は他人に渡してはならない、取られてもならない、見せない方がいい、大事に扱ってね)
「なるほど、わかりました。つまり収納袋は俺とアリ姉様の二人だけの秘密なのですね。そういうの、ドキドキしますね」
(いや、わたしの身内はみんな知っているから)
さすがのアリアドネもヤスオのテンションの高さにはひいた。
「それではこの赤玉袋の中身をだします。開放魔法を唱えればいいのですよね」
(そう。特定の物を出す時はそれを想像して唱えるのだけど、今回はすべてを出すから唱えるだけでいいわ)
赤玉袋を右手で握りしめ前へ突き出し、左手は腰に当てる。顔は右手の方へ向け右足を前に出す。
「では、…ちょっと待って下さい。赤玉は換金する物でしたよね。だったら、アリ姉様が討伐した魔物が入っているのではないのですか?」
(ちっ。気づきやがったか。死んでいるから、気にする必要ないでしょ)
「それは、そうですけど。あーもう、びふぁいおん」
──何も起こらない。
「あー。アリ姉様の嘘つき。やっぱり何も起こらないじゃないですか」
頭を抱え両膝を地面に落とし、空を見上げて溢れる涙をこらえる。
(慌てない。何も起こらないのは、元々空だったからでしょう。そういえばシンシアが換金したって言っていたじゃない。じゃぁ、次は青玉を開放して)
気分を持ち直して、立ち上がり青玉袋に持ち替えて、右手を突きだし左手を腰に置き、右足を前に出した。
(さっきからその姿勢は何?いちいち格好をつけなきゃできないの)
「これから魔法を使うんだという気合です。それでは、ビファイオン」
目の前にたくさんの品物が出現した。杖に本にローブや黒い箱。特に、いろんな形をした収納箱が多く、なかには鍵束もあった。
(初魔法、成功おめでとう。ヤスオ、魔法の素質あるかも?さぁ、喜んでいる暇はないよ。さっさと登録して、出した物すべて片付けてちょうだい)
「……」
(どうしたの?)
「やったー。やった、やった、やったー」
飛びまわったり、ぎこちないスキップをしたりと体全体で喜びを表現した。
(おらー。喜んどる暇はないって言ったでしょうがー。雨でも降ったらどうするんじゃー。さっさと登録して、片付けんかいー)
「あ、はい。ただいま」
アリアドネのマジ切れに超萎縮。慌てて、青玉袋を手にそれなりに構えた。
「アメルン」
……何も起こらない。
(登録魔法だからね。何も起こらないのは当然なんだから、いちいち落ち込まないでよ。)
ヤスオは両手、両膝を地面につけ落ち込んでいた。
(さぁ、次は収納魔法よ。収納袋を持ってどれを収納するか決めて、それを指差し想像して呪文を唱える。ん?何この感覚?)
「それが、アリ姉様。なんか、気持ち悪いです」
(はぁ?)
「ホッゲロゲロゲロゲロゲロ」
(きゃぁぁ、やめてー。ヤスオの出している感触がわたしにも伝わってくるぅ。目も閉じてー。そのような物、私に見せないでー。あぁぁぁぁ、やめてぇぇぇぇ)
込み上げてくるものを抑えきれず、そのまま吐き出してしまった。バターロールパンの変わりはてた姿に、アリアドネは奇声に近い悲鳴をあげた。
(はぁはぁはぁ。どう、落ち着いた?)
「はい。今の、何だったのでしょうか?」
(あれは、もうすぐ魔力がなくなりますよーの警告よ。ヤスオ、早すぎるわ。あれじゃ、魔力量は20もないよ)
「ちなみに一般的な人はどのくらいですか?」
(100前後よ。300くらいの人もいるわよ。わたしは、測定不能だったけど)
「休んでいれば、回復しますか」
(ええ。魔力が低い分、回復も早いはずよ。早速、収納魔法をやって見せて)
「はい。では早速」
青玉袋を両手で握り、右人差し指で杖を指し、その杖を睨みつけた。
「クレネラッゴン」
指し示した杖が消えた。
(成功ね。さぁこの調子で、休憩を挟みながら、出した物すべて収納するわよ。さらに赤玉袋も登録して、籠ごと収納して今日は終わりましょう)
こうして、途中何度も吐きながら夕方までにすべてを収納した。
「お腹、空きましたね。お昼に食べた物はすべていい感じの肥料になっちゃったから、特に」
(思い出すからやめて)
「じゃ、帰りますね。結局、昼からは魔法の練習で終わったから、たいした収入はないですね」
ヤスオが門に向かって歩き始めると、前方の3人の男がこちらの様子を伺っている。
「見つけた。お前、G級ヤスオだな?」
「違いますよ。わたしは通りすがりの商人です。では、失礼します」
「待て、嘘をつくな。どこの世界にレザーアーマーを着た商人がいるのだよ」
「ここに、いるじゃないですか」
「だったら、身分証を見せろ」
嫌な予感がしたので、とっさに嘘をついたのだが、うまくいかなかった。男達は、普通ではない雰囲気でヤスオを取り囲んだ。
(ヤスオ、もう少しうまい嘘をついてよ)
「くそ、それで、俺に何の用だ?」
「かたき討ちだよ」
そう言うと、男はヤスオの顔面に向けて、力のこもった拳を突き出した。
「ほげー」
とっさに後に下がったので大きく飛ばされたが、それほどのダメージはなかった。
「おい、ヘーカー。ここでは門番に見られる。もっと奥にいくぞ」
二人の男が、横たわるヤスオの両脇を抱えて走り出した。
「くそ、離せ」
必死に抵抗したが二人の男の力にはかなわず、されるがまま引きずられた。向かった先には大きな谷があり、谷底には河が流れていた。その谷には、吊り橋が架けられており、先に進む事ができた。
ヤスオは谷の手前まで引きずられ放り出された。
「お前達は何なのだ。なぜ、俺を狙う」
谷を背に立ち上がり、盾をかまえる。男達はヤスオの前に立ちふさがり、ニヤニヤと笑っていた。
「俺の名は、ヘーカー。アリアドネ様を殺したお前を殺して、ヒーローになる男だ」
ヘーカーは、気持ちの悪い笑みを浮かべ、舌なめずりをして挑発して来る。
「でも、そういう要素があってもいいじゃないですか」
(ダメよ、でないと登録者が死ねば封印されたことになるから、目的とは違う使われ方をされてしまうじゃない。だから、収納袋は他人に渡してはならない、取られてもならない、見せない方がいい、大事に扱ってね)
「なるほど、わかりました。つまり収納袋は俺とアリ姉様の二人だけの秘密なのですね。そういうの、ドキドキしますね」
(いや、わたしの身内はみんな知っているから)
さすがのアリアドネもヤスオのテンションの高さにはひいた。
「それではこの赤玉袋の中身をだします。開放魔法を唱えればいいのですよね」
(そう。特定の物を出す時はそれを想像して唱えるのだけど、今回はすべてを出すから唱えるだけでいいわ)
赤玉袋を右手で握りしめ前へ突き出し、左手は腰に当てる。顔は右手の方へ向け右足を前に出す。
「では、…ちょっと待って下さい。赤玉は換金する物でしたよね。だったら、アリ姉様が討伐した魔物が入っているのではないのですか?」
(ちっ。気づきやがったか。死んでいるから、気にする必要ないでしょ)
「それは、そうですけど。あーもう、びふぁいおん」
──何も起こらない。
「あー。アリ姉様の嘘つき。やっぱり何も起こらないじゃないですか」
頭を抱え両膝を地面に落とし、空を見上げて溢れる涙をこらえる。
(慌てない。何も起こらないのは、元々空だったからでしょう。そういえばシンシアが換金したって言っていたじゃない。じゃぁ、次は青玉を開放して)
気分を持ち直して、立ち上がり青玉袋に持ち替えて、右手を突きだし左手を腰に置き、右足を前に出した。
(さっきからその姿勢は何?いちいち格好をつけなきゃできないの)
「これから魔法を使うんだという気合です。それでは、ビファイオン」
目の前にたくさんの品物が出現した。杖に本にローブや黒い箱。特に、いろんな形をした収納箱が多く、なかには鍵束もあった。
(初魔法、成功おめでとう。ヤスオ、魔法の素質あるかも?さぁ、喜んでいる暇はないよ。さっさと登録して、出した物すべて片付けてちょうだい)
「……」
(どうしたの?)
「やったー。やった、やった、やったー」
飛びまわったり、ぎこちないスキップをしたりと体全体で喜びを表現した。
(おらー。喜んどる暇はないって言ったでしょうがー。雨でも降ったらどうするんじゃー。さっさと登録して、片付けんかいー)
「あ、はい。ただいま」
アリアドネのマジ切れに超萎縮。慌てて、青玉袋を手にそれなりに構えた。
「アメルン」
……何も起こらない。
(登録魔法だからね。何も起こらないのは当然なんだから、いちいち落ち込まないでよ。)
ヤスオは両手、両膝を地面につけ落ち込んでいた。
(さぁ、次は収納魔法よ。収納袋を持ってどれを収納するか決めて、それを指差し想像して呪文を唱える。ん?何この感覚?)
「それが、アリ姉様。なんか、気持ち悪いです」
(はぁ?)
「ホッゲロゲロゲロゲロゲロ」
(きゃぁぁ、やめてー。ヤスオの出している感触がわたしにも伝わってくるぅ。目も閉じてー。そのような物、私に見せないでー。あぁぁぁぁ、やめてぇぇぇぇ)
込み上げてくるものを抑えきれず、そのまま吐き出してしまった。バターロールパンの変わりはてた姿に、アリアドネは奇声に近い悲鳴をあげた。
(はぁはぁはぁ。どう、落ち着いた?)
「はい。今の、何だったのでしょうか?」
(あれは、もうすぐ魔力がなくなりますよーの警告よ。ヤスオ、早すぎるわ。あれじゃ、魔力量は20もないよ)
「ちなみに一般的な人はどのくらいですか?」
(100前後よ。300くらいの人もいるわよ。わたしは、測定不能だったけど)
「休んでいれば、回復しますか」
(ええ。魔力が低い分、回復も早いはずよ。早速、収納魔法をやって見せて)
「はい。では早速」
青玉袋を両手で握り、右人差し指で杖を指し、その杖を睨みつけた。
「クレネラッゴン」
指し示した杖が消えた。
(成功ね。さぁこの調子で、休憩を挟みながら、出した物すべて収納するわよ。さらに赤玉袋も登録して、籠ごと収納して今日は終わりましょう)
こうして、途中何度も吐きながら夕方までにすべてを収納した。
「お腹、空きましたね。お昼に食べた物はすべていい感じの肥料になっちゃったから、特に」
(思い出すからやめて)
「じゃ、帰りますね。結局、昼からは魔法の練習で終わったから、たいした収入はないですね」
ヤスオが門に向かって歩き始めると、前方の3人の男がこちらの様子を伺っている。
「見つけた。お前、G級ヤスオだな?」
「違いますよ。わたしは通りすがりの商人です。では、失礼します」
「待て、嘘をつくな。どこの世界にレザーアーマーを着た商人がいるのだよ」
「ここに、いるじゃないですか」
「だったら、身分証を見せろ」
嫌な予感がしたので、とっさに嘘をついたのだが、うまくいかなかった。男達は、普通ではない雰囲気でヤスオを取り囲んだ。
(ヤスオ、もう少しうまい嘘をついてよ)
「くそ、それで、俺に何の用だ?」
「かたき討ちだよ」
そう言うと、男はヤスオの顔面に向けて、力のこもった拳を突き出した。
「ほげー」
とっさに後に下がったので大きく飛ばされたが、それほどのダメージはなかった。
「おい、ヘーカー。ここでは門番に見られる。もっと奥にいくぞ」
二人の男が、横たわるヤスオの両脇を抱えて走り出した。
「くそ、離せ」
必死に抵抗したが二人の男の力にはかなわず、されるがまま引きずられた。向かった先には大きな谷があり、谷底には河が流れていた。その谷には、吊り橋が架けられており、先に進む事ができた。
ヤスオは谷の手前まで引きずられ放り出された。
「お前達は何なのだ。なぜ、俺を狙う」
谷を背に立ち上がり、盾をかまえる。男達はヤスオの前に立ちふさがり、ニヤニヤと笑っていた。
「俺の名は、ヘーカー。アリアドネ様を殺したお前を殺して、ヒーローになる男だ」
ヘーカーは、気持ちの悪い笑みを浮かべ、舌なめずりをして挑発して来る。
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