3 / 38
第一章 魔法少女の使い魔
第3話 シロルと通学
しおりを挟む
「おい、いったい何処に行ってたんだよ。昨日は大変だったんだぞ!」
俺はまるで、溜まったストレスを吐き出すかの様に文句を口にした。
しかしなにやら、シロルの様子がおかしい。
なんていえばいいか、真っすぐ立たず、千鳥足って感じだ。
「どうした、体調でも悪いのか? あれ、何か変わった匂いがする気が……」
この匂いを嗅ぐと、俺までも視界が揺らぐ。
なんか気持ちいいような、骨抜きにされたような。
「どうにゃら兄さん、ひくっ。猫の姿になって感覚が鋭くなったみたいだにゃ」
「お、おい。本当に大丈夫か、いったい何があったんだよ?」
ベランダと部屋を繋ぐ窓のレールから飛び降り、つまづき倒れてしまうシロル。
そしてふらふらと二本足で立ち上がると、腰に手をあてた。
「大丈夫にゃ~。お姉チャンが沢山居る所で、マタタビキメて来ただけにゃから」
「マタタビって、人が大変な時に何やってんだよ! 心配して損したぞ」
まさか本当に酔っぱらっている様な状態とは……。
でも今は、そんな事より確認しないといけない事が一つ。
「まぁ何も良くはないが、今はその話を置いておこう。それよりシロル、お前知ってただろ? 相澤のストーキング癖を」
「ひくっ。何が不満にゃ、純粋に、一途に兄さんを思う乙女心。少しぐらい変わっている愛情表現には目を瞑るにゃ」
「少しどころじゃないし、相澤のは純粋とは言わない! 不純か、病的か、もしくは狂気と呼ばれるものだ」
この酔っぱらい、他人事だと思って楽しんでるだろ。
他人の不幸は蜜の味と言わんばかりに、不敵な笑みをうかべ、尻尾をピーンと立ていた。
「にゃら、ハッキリ言ってやるかにゃ? 人の姿で自分を好いてる後輩に、俺にまとわりつくにゃって」
「それは……。出来ないけど」
正直、相澤の行動や言動は恐ろしくは感じている。
でも現実の俺に直接被害が出ていない以上、文句の言いようもない……。
なにより異性に好かれている事は悪い気がしないし、好いてくれてる子をなるべくなら傷つけたくはない。
「にゃらその話はここまでにゃ。あの子の願いも一歩近づいて、めでたしめでたしにゃ」
「相澤の……願い?」
シロルは両手で口を塞いだ。
どうやら話してはいけない事らしい。
俺は俺で、これ以上は恐ろしくて聞き返すことは出来ないが。
「それに俺っちの気持ちも考えて欲しいにゃ。毎晩毎晩、好きな男のノロケ話を、何時間も聞かされる俺っちの気持ちを。休みの時ぐらい、マタタビぐらいにゃいとやってられにゃいにゃ……。ひくっ」
先程落ちた窓枠に飛び乗り、シロルは文句を垂れながら外へと出て行く。
「あ、ちょっと何処へ行くんだよ。話はまだ──」
「何処って学校にゃ。兄さん無断欠席する気かにゃ?」
そう言うと、シロルは屋根づたいに歩き出した。
「待ってくれ、俺も行く!」
そして俺もよっらぱいの後に続き、相澤の部屋から外へと飛び出した。
◇
学校へと向かう道中、俺はシロルについていきながらも色々と話を聞いている。
その中でも特に興味がそそられた話に、魔法少女とゾーオの正体についての話があった。
負の感情。知らぬ間に人から溢れ出す、ストレスなどの集合体、それが人類の宿敵であるゾーオの正体。
魔法少女とはそれに対抗すべく、相反する正の感情を多く有するもの。
特にゾーオが苦手とする恋する想いを、魔法に変え戦う存在を指すらしい。
正の感情? あれがか? っとも思わなくも無かったが、話がすすまないので黙っておいた。
「雰囲気だけはなんとなく分かったよ、雰囲気だけは。それはそれとしてずっと疑問だったんだけど、なんでシロルが使い魔を続けないんだよ」
「俺っちもやる事があるにゃよ。いつまでも澪ばっかりに負担はかけられにゃいにゃ」
「シロル……」
酔っ払いが何を言って……。
いい話風に言ってるが、言葉と行動が伴ってないってツッコミを入れるべきなのか?
ただ、横から覗いた顔は真剣そのものだ。
まぁきっと、俺よりシロルの方が相沢の事をよく知っている。
口出しするほうが、野暮と言うものか。
「それにしても、少し想像と違ったな。魔法っててっきり、魔法少女が杖とか使って出すイメージだったけど」
「何も違ってないにゃ、澪が特別なだけにゃから」
「特別?」
「そうにゃ、特別にゃ……。思い出すだけでも酔いが醒めるにゃ」
シロルが足を止め、後ろを歩く俺へと振り返る。
その表情は先程とは違い、とても険しく、どこか怯えても見えた。
「前に飛ばすはずの魔法が、真横に飛んでくる。そんな子に直接魔法を使わせるとか、自殺行為もいいところにゃ」
「アレが……真横に?」
そういえば相澤のやつ、極度の運動音痴だったな。
マネージャーなのに、部活でも歩く度にしょっちゅう転んで……。
「それに杖ってのは、魔法の増幅装置なのにゃ。あの娘にそんなのを持たせたら、町が一晩で焦土とかすにゃよ」
「それはまた……。笑えない話だな」
そう、笑えない。
実際に魔法を見たから分かるが、現代兵器でもあの威力の兵器などそう多くはないだろう。
さらにそれ以上の大規模の破壊魔法なんて……。考えただけでも頭が痛くなりそうだ。
そんなこんなで頭を悩ませている内に、俺達は学校に到着し、柵を潜り容易に中に忍び込む。
「ココにゃ、ついてこいにゃ」
そしてシロルは身をかがめ、ひとっ飛びで校舎の窓に飛び乗った。
「そこは確か……。トイレ?」
二年の教室がある棟、その一階の窓にシロル隣に飛び移る。
「ここでなら元の姿に戻っても誰にもバレないにゃ」
なるほど。確かにここなら鍵もかかる。
万が一にも正体がバレる事はないだろう。
俺もシロルに続き、トイレの窓へと上がった。
「ドアに掛かってる制服、あれってもしかして俺のやつか?」
「今回はサービスで運んでおいたにゃ。変身は元の服装に戻るから、今後はそれを踏まえて変身するにゃよ。変身の魔法は、首輪をしたままメタモルフォーゼと唱えるにゃ 」
伝える事を伝え終わったのだろう。
彼は外へと飛び降り、そのままスタスタと歩いて行く。
「シロル、ありがとう!」
俺のお礼の言葉にシロルからの返事が帰って来る事は無く、ただ立てた尻尾をフリフリと振りその場を去って行ったのだった。
俺はまるで、溜まったストレスを吐き出すかの様に文句を口にした。
しかしなにやら、シロルの様子がおかしい。
なんていえばいいか、真っすぐ立たず、千鳥足って感じだ。
「どうした、体調でも悪いのか? あれ、何か変わった匂いがする気が……」
この匂いを嗅ぐと、俺までも視界が揺らぐ。
なんか気持ちいいような、骨抜きにされたような。
「どうにゃら兄さん、ひくっ。猫の姿になって感覚が鋭くなったみたいだにゃ」
「お、おい。本当に大丈夫か、いったい何があったんだよ?」
ベランダと部屋を繋ぐ窓のレールから飛び降り、つまづき倒れてしまうシロル。
そしてふらふらと二本足で立ち上がると、腰に手をあてた。
「大丈夫にゃ~。お姉チャンが沢山居る所で、マタタビキメて来ただけにゃから」
「マタタビって、人が大変な時に何やってんだよ! 心配して損したぞ」
まさか本当に酔っぱらっている様な状態とは……。
でも今は、そんな事より確認しないといけない事が一つ。
「まぁ何も良くはないが、今はその話を置いておこう。それよりシロル、お前知ってただろ? 相澤のストーキング癖を」
「ひくっ。何が不満にゃ、純粋に、一途に兄さんを思う乙女心。少しぐらい変わっている愛情表現には目を瞑るにゃ」
「少しどころじゃないし、相澤のは純粋とは言わない! 不純か、病的か、もしくは狂気と呼ばれるものだ」
この酔っぱらい、他人事だと思って楽しんでるだろ。
他人の不幸は蜜の味と言わんばかりに、不敵な笑みをうかべ、尻尾をピーンと立ていた。
「にゃら、ハッキリ言ってやるかにゃ? 人の姿で自分を好いてる後輩に、俺にまとわりつくにゃって」
「それは……。出来ないけど」
正直、相澤の行動や言動は恐ろしくは感じている。
でも現実の俺に直接被害が出ていない以上、文句の言いようもない……。
なにより異性に好かれている事は悪い気がしないし、好いてくれてる子をなるべくなら傷つけたくはない。
「にゃらその話はここまでにゃ。あの子の願いも一歩近づいて、めでたしめでたしにゃ」
「相澤の……願い?」
シロルは両手で口を塞いだ。
どうやら話してはいけない事らしい。
俺は俺で、これ以上は恐ろしくて聞き返すことは出来ないが。
「それに俺っちの気持ちも考えて欲しいにゃ。毎晩毎晩、好きな男のノロケ話を、何時間も聞かされる俺っちの気持ちを。休みの時ぐらい、マタタビぐらいにゃいとやってられにゃいにゃ……。ひくっ」
先程落ちた窓枠に飛び乗り、シロルは文句を垂れながら外へと出て行く。
「あ、ちょっと何処へ行くんだよ。話はまだ──」
「何処って学校にゃ。兄さん無断欠席する気かにゃ?」
そう言うと、シロルは屋根づたいに歩き出した。
「待ってくれ、俺も行く!」
そして俺もよっらぱいの後に続き、相澤の部屋から外へと飛び出した。
◇
学校へと向かう道中、俺はシロルについていきながらも色々と話を聞いている。
その中でも特に興味がそそられた話に、魔法少女とゾーオの正体についての話があった。
負の感情。知らぬ間に人から溢れ出す、ストレスなどの集合体、それが人類の宿敵であるゾーオの正体。
魔法少女とはそれに対抗すべく、相反する正の感情を多く有するもの。
特にゾーオが苦手とする恋する想いを、魔法に変え戦う存在を指すらしい。
正の感情? あれがか? っとも思わなくも無かったが、話がすすまないので黙っておいた。
「雰囲気だけはなんとなく分かったよ、雰囲気だけは。それはそれとしてずっと疑問だったんだけど、なんでシロルが使い魔を続けないんだよ」
「俺っちもやる事があるにゃよ。いつまでも澪ばっかりに負担はかけられにゃいにゃ」
「シロル……」
酔っ払いが何を言って……。
いい話風に言ってるが、言葉と行動が伴ってないってツッコミを入れるべきなのか?
ただ、横から覗いた顔は真剣そのものだ。
まぁきっと、俺よりシロルの方が相沢の事をよく知っている。
口出しするほうが、野暮と言うものか。
「それにしても、少し想像と違ったな。魔法っててっきり、魔法少女が杖とか使って出すイメージだったけど」
「何も違ってないにゃ、澪が特別なだけにゃから」
「特別?」
「そうにゃ、特別にゃ……。思い出すだけでも酔いが醒めるにゃ」
シロルが足を止め、後ろを歩く俺へと振り返る。
その表情は先程とは違い、とても険しく、どこか怯えても見えた。
「前に飛ばすはずの魔法が、真横に飛んでくる。そんな子に直接魔法を使わせるとか、自殺行為もいいところにゃ」
「アレが……真横に?」
そういえば相澤のやつ、極度の運動音痴だったな。
マネージャーなのに、部活でも歩く度にしょっちゅう転んで……。
「それに杖ってのは、魔法の増幅装置なのにゃ。あの娘にそんなのを持たせたら、町が一晩で焦土とかすにゃよ」
「それはまた……。笑えない話だな」
そう、笑えない。
実際に魔法を見たから分かるが、現代兵器でもあの威力の兵器などそう多くはないだろう。
さらにそれ以上の大規模の破壊魔法なんて……。考えただけでも頭が痛くなりそうだ。
そんなこんなで頭を悩ませている内に、俺達は学校に到着し、柵を潜り容易に中に忍び込む。
「ココにゃ、ついてこいにゃ」
そしてシロルは身をかがめ、ひとっ飛びで校舎の窓に飛び乗った。
「そこは確か……。トイレ?」
二年の教室がある棟、その一階の窓にシロル隣に飛び移る。
「ここでなら元の姿に戻っても誰にもバレないにゃ」
なるほど。確かにここなら鍵もかかる。
万が一にも正体がバレる事はないだろう。
俺もシロルに続き、トイレの窓へと上がった。
「ドアに掛かってる制服、あれってもしかして俺のやつか?」
「今回はサービスで運んでおいたにゃ。変身は元の服装に戻るから、今後はそれを踏まえて変身するにゃよ。変身の魔法は、首輪をしたままメタモルフォーゼと唱えるにゃ 」
伝える事を伝え終わったのだろう。
彼は外へと飛び降り、そのままスタスタと歩いて行く。
「シロル、ありがとう!」
俺のお礼の言葉にシロルからの返事が帰って来る事は無く、ただ立てた尻尾をフリフリと振りその場を去って行ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。
そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。
夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。
それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになるのでご安心ください。
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃった件
楠富 つかさ
恋愛
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃうし、なんなら恋人にもなるし、果てには彼女のために職場まで変える。まぁ、愛の力って偉大だよね。
※この物語はフィクションであり実在の地名は登場しますが、人物・団体とは関係ありません。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる