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第二章 海上編─オールアウト号─
第116話 実食!
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「この料理の名前は──たんぱく質です!」
「──それじゃぁ、ただの栄養素だろ!」
つい、食いぎみに突っ込みを入れてしまった。
その為、周囲からの視線を集めることに。──は、恥ずかしい……。
「え……ダメですか?」
「ダメとかダメじゃない以前に、栄養素の名称と被ってますよね。もしかして、この世界にはたんぱく質って栄養素の概念がないんですか?」
知らないと言う可能性も十分考えられるか? なんせここは異世界な訳だから。
「いえ、一般的に知られてますよ? たんぱく質」
知ってたのか! もしかして、ティアの名付けのセンスは俺以下なのか?
そんな俺のもの言いに、顎に手を当て彼女は悩み始めた。──こうしてると本当美人なのに……天は二物を与えず、ってことなのだろうか?
「それでは別の言語で、【プロテイン】なんてどうでしょうか?」
え? プロテインってタンパク質って意味なの?
知りたくないまさかの豆知識を、こんな所で知ることのなるとは……。
「──英雄達、そろそろ話を進めていいかな?」
審査の前に待ちきれなかったのだろうか? 俺とティアの間に、小刻みなうさぎ跳で割って入ってくる船長。
彼は立ち上がると、いつにも増して真面目な顔で俺達を見つめた。
「では、味の評価を下す前に一つ確認することがある!」
確認って、お互い料理を出したこのタイミングで、何を確認する必要があるんだ? 負ける気もしないし、構わないか?
「うんうん、いい目だ! 両者とも、勝負を捨ててない自信に溢れた輝きをしている!」
両者とも……だと?
船長の言葉を聞き、相手チームを見た。
確かに二人とも、自信に満ち溢れた顔をしている。──も、もしかして、あの見た目で味は凄く旨いとか?
「──さぁ諸君! 食べてから結果を聞くのと、食べる前に結果を聞くのはどちらがいいかね!?」
ど、どうやら既に勝敗は決しているらしい。
「カ、カナデさん。この料理勝負、非常に斬新なスタイルですね~……」
俺もハーモニーも、開いた口がふさがらない。
確かに元いた世界でも、料理対決で料理を食べず勝敗を決したところは見たことがない……。──斬新っと、言うべきなのだろうか?
「船長様──その理由は教えてもらえるんですよね!」
船長のあまりの発言に、対決の発案者であるティアが、我先に質問をした。
それに答えるように胸筋をピクンッピクンッ! っと震わせる船長。
恐らくだが肯定の意味なのだろう。
この時俺は、彼の行動の意味を分かってしまって、少し落ち込んだ。
「どちらが美味しい食べ物を作るか……それがテーマなんだろ? しかし、それは飲みものじゃないのかね?」
彼はそれだけ言うと、片手で力こぶを作り、もう片手で力強く、グラスを指差したのだ。
「そ、そんな……私達の敗北ですね……」
ティアはその場に膝をついた。
一生懸命に作ったのに、食べられずに勝敗がついたのだ。──あ、あわれだ……。
仕方がない、少しだけ敵に塩を送るのも悪くはないか?
「船長。勝敗は今は置いておいて、食べて貰えませんか? みんな、折角一生懸命に作ったわけですし」
ただし、勝ちは勝ちだ! その事実だけは無かったことにはさせないぞ?
「戦友、良いこと言うではないかぁ! そうだよな、テーマの違いなど些細なことだよな? 勝負は味で……ってことだな。いいねぇいいねぇ!」
「い、いや。そこは勝ちは、勝ちってことで……」
彼の一言を聞き、観客の筋肉達が立ち上がり拍手が巻き起こる。──う、うわ~! 誰も聞いてねぇ!
雨の様な拍手を浴び、流石に違うとは言い出せなくなってしまった。
彼等の期待に応えるべく、 俺は仕方なく観客達に手を振る事になったわけだ……。
満足そうに頷く船長は、瞳から涙を流し「それでは、審査に移るぞ~!」と、その場の雰囲気を盛り上げる。
「カナデさん……やらかしましたね?」
はい……やらかしてしまいました。
でも仕方ないだろ? こんな展開、俺も不本意だったんだよ!
「それではまず、こちらから頂こうか?」
テーブルの上にあるグラスを船長が手にする。
得たいのわからない謎の液体なのに、まるで飲むことを躊躇してないようだ。
その姿は、流石としか言いようがない。
彼はゆっくりと、グラスを顔に近づけた。
グラス越しに中を覗き込み、色を楽しんだ後、鼻に近づけ香りを確認している。
目を閉じ、口に含む。
すぐには飲み込まず舌の上で転がすようにしているように見えるのだが……。
その後喉を鳴らし、プロテインを飲み込む船長が──急に振り返りワンポーズ【サイド・トライセップス】を行った。
「筋肉が……筋肉が喜んでいるぞぉぉぉぉぉ!」
船長の叫び声で船が揺れたのか、将又何かしらの魔法だったのかもしれない。
揺れないはずの水面が突如、大きな波となり船を打ち付けたのだ。
「い、いったいどう言うことなんだ? まったく意味が分からないぞ!」
「──それじゃぁ、ただの栄養素だろ!」
つい、食いぎみに突っ込みを入れてしまった。
その為、周囲からの視線を集めることに。──は、恥ずかしい……。
「え……ダメですか?」
「ダメとかダメじゃない以前に、栄養素の名称と被ってますよね。もしかして、この世界にはたんぱく質って栄養素の概念がないんですか?」
知らないと言う可能性も十分考えられるか? なんせここは異世界な訳だから。
「いえ、一般的に知られてますよ? たんぱく質」
知ってたのか! もしかして、ティアの名付けのセンスは俺以下なのか?
そんな俺のもの言いに、顎に手を当て彼女は悩み始めた。──こうしてると本当美人なのに……天は二物を与えず、ってことなのだろうか?
「それでは別の言語で、【プロテイン】なんてどうでしょうか?」
え? プロテインってタンパク質って意味なの?
知りたくないまさかの豆知識を、こんな所で知ることのなるとは……。
「──英雄達、そろそろ話を進めていいかな?」
審査の前に待ちきれなかったのだろうか? 俺とティアの間に、小刻みなうさぎ跳で割って入ってくる船長。
彼は立ち上がると、いつにも増して真面目な顔で俺達を見つめた。
「では、味の評価を下す前に一つ確認することがある!」
確認って、お互い料理を出したこのタイミングで、何を確認する必要があるんだ? 負ける気もしないし、構わないか?
「うんうん、いい目だ! 両者とも、勝負を捨ててない自信に溢れた輝きをしている!」
両者とも……だと?
船長の言葉を聞き、相手チームを見た。
確かに二人とも、自信に満ち溢れた顔をしている。──も、もしかして、あの見た目で味は凄く旨いとか?
「──さぁ諸君! 食べてから結果を聞くのと、食べる前に結果を聞くのはどちらがいいかね!?」
ど、どうやら既に勝敗は決しているらしい。
「カ、カナデさん。この料理勝負、非常に斬新なスタイルですね~……」
俺もハーモニーも、開いた口がふさがらない。
確かに元いた世界でも、料理対決で料理を食べず勝敗を決したところは見たことがない……。──斬新っと、言うべきなのだろうか?
「船長様──その理由は教えてもらえるんですよね!」
船長のあまりの発言に、対決の発案者であるティアが、我先に質問をした。
それに答えるように胸筋をピクンッピクンッ! っと震わせる船長。
恐らくだが肯定の意味なのだろう。
この時俺は、彼の行動の意味を分かってしまって、少し落ち込んだ。
「どちらが美味しい食べ物を作るか……それがテーマなんだろ? しかし、それは飲みものじゃないのかね?」
彼はそれだけ言うと、片手で力こぶを作り、もう片手で力強く、グラスを指差したのだ。
「そ、そんな……私達の敗北ですね……」
ティアはその場に膝をついた。
一生懸命に作ったのに、食べられずに勝敗がついたのだ。──あ、あわれだ……。
仕方がない、少しだけ敵に塩を送るのも悪くはないか?
「船長。勝敗は今は置いておいて、食べて貰えませんか? みんな、折角一生懸命に作ったわけですし」
ただし、勝ちは勝ちだ! その事実だけは無かったことにはさせないぞ?
「戦友、良いこと言うではないかぁ! そうだよな、テーマの違いなど些細なことだよな? 勝負は味で……ってことだな。いいねぇいいねぇ!」
「い、いや。そこは勝ちは、勝ちってことで……」
彼の一言を聞き、観客の筋肉達が立ち上がり拍手が巻き起こる。──う、うわ~! 誰も聞いてねぇ!
雨の様な拍手を浴び、流石に違うとは言い出せなくなってしまった。
彼等の期待に応えるべく、 俺は仕方なく観客達に手を振る事になったわけだ……。
満足そうに頷く船長は、瞳から涙を流し「それでは、審査に移るぞ~!」と、その場の雰囲気を盛り上げる。
「カナデさん……やらかしましたね?」
はい……やらかしてしまいました。
でも仕方ないだろ? こんな展開、俺も不本意だったんだよ!
「それではまず、こちらから頂こうか?」
テーブルの上にあるグラスを船長が手にする。
得たいのわからない謎の液体なのに、まるで飲むことを躊躇してないようだ。
その姿は、流石としか言いようがない。
彼はゆっくりと、グラスを顔に近づけた。
グラス越しに中を覗き込み、色を楽しんだ後、鼻に近づけ香りを確認している。
目を閉じ、口に含む。
すぐには飲み込まず舌の上で転がすようにしているように見えるのだが……。
その後喉を鳴らし、プロテインを飲み込む船長が──急に振り返りワンポーズ【サイド・トライセップス】を行った。
「筋肉が……筋肉が喜んでいるぞぉぉぉぉぉ!」
船長の叫び声で船が揺れたのか、将又何かしらの魔法だったのかもしれない。
揺れないはずの水面が突如、大きな波となり船を打ち付けたのだ。
「い、いったいどう言うことなんだ? まったく意味が分からないぞ!」
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