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第三章 リベラティオへの旅路
第181話 解決しない悩み
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和解を済ませた俺とミコは、今後も全員で冒険をしていきたい……そんな願いを皆に伝えた。
勿論、反対するものは誰もいなく、先程の暗い雰囲気が嘘だったかのように、俺達は笑顔で満ち溢れていた。
迷惑掛けた事を謝り、その後改めて馬車は歩みを進めた。
そして俺は、ミコとの約束を守るため荷台に籠り頭を悩ませ続ける。
「う~ん……」
今回、問題点は大きく二つ。
魔物との戦闘による、シンシの怪我や命の心配。
馬車での長距離移動による、シンシへの体に掛かる負担だ。
「戦闘に関しては、なるべく魔物に関わらないか、俺達が強くなるしか無いよな? 馬車移動も、かなり揺れるからな……本格的にサスペンションの採用考えるか?」
何て言うか……雲をつかむような話だな。
どれだけ強くなれば、すべての脅威から皆を守れるだろうか?
馬車の改造にしてもそうだ。
多少なりは効果はあるだろうが、そもそもこの世界は道が悪い。
自動車のような、揺れの少ない乗り物にするのは無理だろうな。
それに、馬車の改造をするとしても、俺とルームだけじゃ、人手も足りないし……。
う~ん。明確に、成功のビジョンが浮かばない。
「なぁ~ルーム? 何か良い案はないか……って、ずっと大人しいけど、何を作ってるんだよ?」
「ん、これかいな? ほら、見ればわかるやろ?」
ルームがそう言いながら得意気に出した物は、金属で出来た二つのリングだった。
その一方には、なにやら紐が掛けられている。──こいつ……ミコ達の面倒全然見てないと思ったら何作ってんだよ。
「指輪……だよな? 新しいマジックアイテムか何かなのか?」
俺の回答に「正解や!」と自慢げに指輪を近づけて見せる。
「まぁ基本は、普通のペアリングや。ただ、伝鳥の技術を応用した、少しだけ普通とは違うリングけどな?」
「ペアリングって……」
一体誰に渡す気なんだよ……。
大きさ的に、誰のためのかは察しがつくけど。
「シンシちゃんとミコちゃんが、もし離ればなれになっても心は繋がるように、この二つの指輪が見えない絆を作り上げるんや。魔力を通すとな? 細~い魔力の糸が、ず~っと繋がり合ってな? 例え切れても……直ぐに繋がるように様に……」
すげぇ……一家にワンセットあれば、迷子の犬も、子供でさえも直ぐに発見できそう。
って、そうじゃない!
「ルーム……」
「どうや? ロマンチックやろ?」
ダメだこの子、自分の作品に完全に酔いしれてる。
俺が頭を悩ませている問題と、真逆の物じゃないか? それ……。
「あのな。別れ離れにならない手段を、今俺達は考えてるんだよ……。話聞いてなかっただろ?」
「そ、そうなんか?」
俺の言葉を聞き、明らかな同様を見せるルーム。──何でうちの奴らは人の話を聞かないかな……。
「で、でもほら! あげても無駄にはなりゃせんやろ?」
確かに無駄にはならないけど。
形ある物が、喜びや思い、絆や繋がりを強くすることもある。俺で言う所の、無銘に当たるものだな……。
「分かった分かった、さっさとあげてこい。そしたら、ちゃんと二人の面倒を見てくれよ? 」
「わ、分かった、あげてくるわ!」
ルームは逃げるように、ハーモニーに任せっきりの二人の元に向かった。──戻って……こないな? やっとルームは面倒を見る気になったか。
本当にアイツは、頼んだ仕事を休んでばかりだな?
揺れない馬車が実現した日には、それこそ作ってばかりで言うこと聞かなくなるんじゃないか?
「それにしても、困ったぞ。結局解決しないままだ。だめだ、少し休憩して落ち着いてから改めて……──そうか、休憩か!」
移動の負担は、休憩回数を増やしてまかなうって手もあるか?
別に急いで移動してるわけでもないし。
ただそうなると、安全面がどうしてもな……。
移動の時間が延びれば、魔物との遭遇率が上がる可能性も考えられる。
それこそ、檻でも作って戦闘時にはシンシを中に入れるか!? って流石にそれは無いな……。
「──皆さん! 次の村が見えてきましたよ~!」
声につられ荷台の外を覗くと、目の前には無数の枯れた木々や枝ににおおわれた、巨大な鳥の巣が現れたのだ。
「あれが……村なのか?」
俺の目には、完全に鳥の巣に見えるんだが……。
他のメンバーの顔を見ると、ハーモニーの発言に誰も疑問を持っていない……この世界では、普通に村として認知されているのだろう。──俺から見ると、違和感しかないけどな?
結局、まだ具体的な対策を思い付かないまま、次の目的地、アラウダ村が見えてきたのだった。
勿論、反対するものは誰もいなく、先程の暗い雰囲気が嘘だったかのように、俺達は笑顔で満ち溢れていた。
迷惑掛けた事を謝り、その後改めて馬車は歩みを進めた。
そして俺は、ミコとの約束を守るため荷台に籠り頭を悩ませ続ける。
「う~ん……」
今回、問題点は大きく二つ。
魔物との戦闘による、シンシの怪我や命の心配。
馬車での長距離移動による、シンシへの体に掛かる負担だ。
「戦闘に関しては、なるべく魔物に関わらないか、俺達が強くなるしか無いよな? 馬車移動も、かなり揺れるからな……本格的にサスペンションの採用考えるか?」
何て言うか……雲をつかむような話だな。
どれだけ強くなれば、すべての脅威から皆を守れるだろうか?
馬車の改造にしてもそうだ。
多少なりは効果はあるだろうが、そもそもこの世界は道が悪い。
自動車のような、揺れの少ない乗り物にするのは無理だろうな。
それに、馬車の改造をするとしても、俺とルームだけじゃ、人手も足りないし……。
う~ん。明確に、成功のビジョンが浮かばない。
「なぁ~ルーム? 何か良い案はないか……って、ずっと大人しいけど、何を作ってるんだよ?」
「ん、これかいな? ほら、見ればわかるやろ?」
ルームがそう言いながら得意気に出した物は、金属で出来た二つのリングだった。
その一方には、なにやら紐が掛けられている。──こいつ……ミコ達の面倒全然見てないと思ったら何作ってんだよ。
「指輪……だよな? 新しいマジックアイテムか何かなのか?」
俺の回答に「正解や!」と自慢げに指輪を近づけて見せる。
「まぁ基本は、普通のペアリングや。ただ、伝鳥の技術を応用した、少しだけ普通とは違うリングけどな?」
「ペアリングって……」
一体誰に渡す気なんだよ……。
大きさ的に、誰のためのかは察しがつくけど。
「シンシちゃんとミコちゃんが、もし離ればなれになっても心は繋がるように、この二つの指輪が見えない絆を作り上げるんや。魔力を通すとな? 細~い魔力の糸が、ず~っと繋がり合ってな? 例え切れても……直ぐに繋がるように様に……」
すげぇ……一家にワンセットあれば、迷子の犬も、子供でさえも直ぐに発見できそう。
って、そうじゃない!
「ルーム……」
「どうや? ロマンチックやろ?」
ダメだこの子、自分の作品に完全に酔いしれてる。
俺が頭を悩ませている問題と、真逆の物じゃないか? それ……。
「あのな。別れ離れにならない手段を、今俺達は考えてるんだよ……。話聞いてなかっただろ?」
「そ、そうなんか?」
俺の言葉を聞き、明らかな同様を見せるルーム。──何でうちの奴らは人の話を聞かないかな……。
「で、でもほら! あげても無駄にはなりゃせんやろ?」
確かに無駄にはならないけど。
形ある物が、喜びや思い、絆や繋がりを強くすることもある。俺で言う所の、無銘に当たるものだな……。
「分かった分かった、さっさとあげてこい。そしたら、ちゃんと二人の面倒を見てくれよ? 」
「わ、分かった、あげてくるわ!」
ルームは逃げるように、ハーモニーに任せっきりの二人の元に向かった。──戻って……こないな? やっとルームは面倒を見る気になったか。
本当にアイツは、頼んだ仕事を休んでばかりだな?
揺れない馬車が実現した日には、それこそ作ってばかりで言うこと聞かなくなるんじゃないか?
「それにしても、困ったぞ。結局解決しないままだ。だめだ、少し休憩して落ち着いてから改めて……──そうか、休憩か!」
移動の負担は、休憩回数を増やしてまかなうって手もあるか?
別に急いで移動してるわけでもないし。
ただそうなると、安全面がどうしてもな……。
移動の時間が延びれば、魔物との遭遇率が上がる可能性も考えられる。
それこそ、檻でも作って戦闘時にはシンシを中に入れるか!? って流石にそれは無いな……。
「──皆さん! 次の村が見えてきましたよ~!」
声につられ荷台の外を覗くと、目の前には無数の枯れた木々や枝ににおおわれた、巨大な鳥の巣が現れたのだ。
「あれが……村なのか?」
俺の目には、完全に鳥の巣に見えるんだが……。
他のメンバーの顔を見ると、ハーモニーの発言に誰も疑問を持っていない……この世界では、普通に村として認知されているのだろう。──俺から見ると、違和感しかないけどな?
結局、まだ具体的な対策を思い付かないまま、次の目的地、アラウダ村が見えてきたのだった。
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