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第三章 リベラティオへの旅路
第194話 決戦
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駆け出したトゥナを囲むように、残りのゾンビ達が彼女に群がっていく。
俺はそれを横目に見ながらも、少し遠回りにシンシに向かい走り出した。
「──シンシ、俺がお前を止めて見せる!」
シンシはぶらんっと下げていた剣を構え、俺を光の無い瞳で睨み付ける。
「五月蝿いよ、カナデ兄ちゃん! よくも、よくも、仲間を沢山使い物にならなくしてくれたな!」
シンシが口にした仲間とは、ミイラの事を言ってるのか──ふざけたことを!
「本当の仲間ってのはな、一緒に居て笑い合い、苦難だろうが分かち合える、そんな間柄を言うんだ! お前みたいに物扱いする、そんなもの──仲間でも何でもない!!」
俺はシンシと接触をする。
シンシのロングソードが振るわれるが、無銘で受けるわけにはいかない。
シンシの本体は、あのロングソードの中にいるのだ、無銘で斬りあったら、間違いなく相手の剣を両断してしまう。
それは同時に、シンシの居場所を……存在を奪うことになるかもしれない。
シンシが振る剣を避けながらも、隙を見て抜刀を何度も試みる。
しかし、刃が交わらないよう、注意しながら戦っているためか、ピンポイントで腕を切断するには至らない。
しかもシンシの体を斬りつけても、傷は媒介と呼ばれた肉体の中にある魔力の糸が繋がり、小さい傷であればたちまち縫い付ける様に修復される。──ヤッパリ、確実に切断しないと駄目みたいだな……厄介すぎる。
「避けるな──当たれよカナデ兄ちゃん!」
シンシの剣術も粗が目立つ。そのため俺に当たることはないが……。
それに苛立ちを覚えてるのだろう。攻防中、更にシンシの顔つきは険しいものとなっていく。
「カナデ! なんで邪魔するんだ! あいつらに復讐させてよ!」
ラクリマ村を無きものにした奴等に、復讐するだけなら別に文句はない。寧ろ因果応報だ、それ事態は構わない。
しかし、魔力を欲している正気じゃないシンシは、きっと人を襲うはず。
「そう言いながら無差別に人を殺して、魔力を吸い上げるんだろ? 仲間が間違ったことをしようとしてるんだ。止めるのは当然だ!」
それだけは、絶対に食い止めなければならない。あの村の様な悲劇はもう十分だし、何よりシンシがシンシで無くなってしまう。
「悲願を達成するには犠牲が付き物だ! あいつらだって大罪人ですよね? 僕の様に今後も人を殺すはずだよ!」
剣が当たらないと思ったのだろう。シンシの体からゆっくりと、黒い手が出てきた。──くっ、あれはマズい!
俺は黒い手を見て距離を取り、黒いマジックバックの警戒をした。
相当量の魔力を使うのだろう、距離を取った俺を、すぐに追撃する素振りは見受けられない。
苦しそに顔を歪めながらも、一本、二本と黒い手が小さな体から伸ばされる。
「それでも俺は、シンシにこれ以上人を殺させたくない。そいつらは俺がなんとかする。ギルドに依頼をだすし、この国の王国にも連絡を取る。だから……だから、もう手を汚すな!」
必死の説得を試みるが聞いてくれるほど聞き分けが言い分けないよな?
「そんなの、お前の都合だろ! 僕はもう引き返せないんだよ!」
ヤッパリか……。
『──カナデ、気を付けるカナ! マジックバックが、ピューって来るシ!』
ミコが念話で忠告するように、黒い手が何本も俺に向かって飛んでくる。
「俺のだけじゃない……俺達の都合だ! 聞き入れることが出来ないなら──無理にでもお前に押し付ける!!」
数本の手を側宙で避け、地面に足をつける。着地と同時に、シンシに向かい斜め方向に走り出す。
俺が走り抜けた後に、狙いがそれた黒い手が、次々と地面に黒いモヤを作って行く。
距離を縮めると俺は体を切り返し、シンシに向かい攻撃を避けながら突っ込んでいく。──軌道は……見切った!
黒の手に頼りきったシンシの動きは鈍く、俺は後一歩所まで近づき無銘に手を触れた。
「シンシ──これでおしまいだ!」
俺はそれを横目に見ながらも、少し遠回りにシンシに向かい走り出した。
「──シンシ、俺がお前を止めて見せる!」
シンシはぶらんっと下げていた剣を構え、俺を光の無い瞳で睨み付ける。
「五月蝿いよ、カナデ兄ちゃん! よくも、よくも、仲間を沢山使い物にならなくしてくれたな!」
シンシが口にした仲間とは、ミイラの事を言ってるのか──ふざけたことを!
「本当の仲間ってのはな、一緒に居て笑い合い、苦難だろうが分かち合える、そんな間柄を言うんだ! お前みたいに物扱いする、そんなもの──仲間でも何でもない!!」
俺はシンシと接触をする。
シンシのロングソードが振るわれるが、無銘で受けるわけにはいかない。
シンシの本体は、あのロングソードの中にいるのだ、無銘で斬りあったら、間違いなく相手の剣を両断してしまう。
それは同時に、シンシの居場所を……存在を奪うことになるかもしれない。
シンシが振る剣を避けながらも、隙を見て抜刀を何度も試みる。
しかし、刃が交わらないよう、注意しながら戦っているためか、ピンポイントで腕を切断するには至らない。
しかもシンシの体を斬りつけても、傷は媒介と呼ばれた肉体の中にある魔力の糸が繋がり、小さい傷であればたちまち縫い付ける様に修復される。──ヤッパリ、確実に切断しないと駄目みたいだな……厄介すぎる。
「避けるな──当たれよカナデ兄ちゃん!」
シンシの剣術も粗が目立つ。そのため俺に当たることはないが……。
それに苛立ちを覚えてるのだろう。攻防中、更にシンシの顔つきは険しいものとなっていく。
「カナデ! なんで邪魔するんだ! あいつらに復讐させてよ!」
ラクリマ村を無きものにした奴等に、復讐するだけなら別に文句はない。寧ろ因果応報だ、それ事態は構わない。
しかし、魔力を欲している正気じゃないシンシは、きっと人を襲うはず。
「そう言いながら無差別に人を殺して、魔力を吸い上げるんだろ? 仲間が間違ったことをしようとしてるんだ。止めるのは当然だ!」
それだけは、絶対に食い止めなければならない。あの村の様な悲劇はもう十分だし、何よりシンシがシンシで無くなってしまう。
「悲願を達成するには犠牲が付き物だ! あいつらだって大罪人ですよね? 僕の様に今後も人を殺すはずだよ!」
剣が当たらないと思ったのだろう。シンシの体からゆっくりと、黒い手が出てきた。──くっ、あれはマズい!
俺は黒い手を見て距離を取り、黒いマジックバックの警戒をした。
相当量の魔力を使うのだろう、距離を取った俺を、すぐに追撃する素振りは見受けられない。
苦しそに顔を歪めながらも、一本、二本と黒い手が小さな体から伸ばされる。
「それでも俺は、シンシにこれ以上人を殺させたくない。そいつらは俺がなんとかする。ギルドに依頼をだすし、この国の王国にも連絡を取る。だから……だから、もう手を汚すな!」
必死の説得を試みるが聞いてくれるほど聞き分けが言い分けないよな?
「そんなの、お前の都合だろ! 僕はもう引き返せないんだよ!」
ヤッパリか……。
『──カナデ、気を付けるカナ! マジックバックが、ピューって来るシ!』
ミコが念話で忠告するように、黒い手が何本も俺に向かって飛んでくる。
「俺のだけじゃない……俺達の都合だ! 聞き入れることが出来ないなら──無理にでもお前に押し付ける!!」
数本の手を側宙で避け、地面に足をつける。着地と同時に、シンシに向かい斜め方向に走り出す。
俺が走り抜けた後に、狙いがそれた黒い手が、次々と地面に黒いモヤを作って行く。
距離を縮めると俺は体を切り返し、シンシに向かい攻撃を避けながら突っ込んでいく。──軌道は……見切った!
黒の手に頼りきったシンシの動きは鈍く、俺は後一歩所まで近づき無銘に手を触れた。
「シンシ──これでおしまいだ!」
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