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第三章 リベラティオへの旅路
第251話 街頭販売 口上2
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客視線は、先ほど共に演武をしたトゥナに集まった。彼女はその中も、堂々たる面持ちで俺に近づき鞘事剣を差し出した。
扇子を長机に置いた俺は、それを両手で受け取った。
そして、勢いよく──引き抜く!
「ご覧のとおり、抜けば玉散る氷の刃だ! さぁさぁさぁ、お立ちあい!」
俺は懐から一枚の拭い紙出し、客に広げて見せた。
「目の前に出したこの白紙、一枚切ってお目にかけよう。白紙一枚切れる時は、人間の甘皮が切れるというらしいよ? さあ──一枚の紙が二枚に切れた!」
そう言いながら、剣で拭い紙を真二つに両断して見せた。
「二枚が四枚、四枚が八枚、八枚が十六枚、十六枚が三十二枚! 三十二枚が六十四枚!」
客達は、食い入る様にその光景を見ている。中にはこう思う人も出てきているだろう。
──この兄ちゃんは、先ほど本当に斬られてたのか? っと……。
そしてなにより、この演出がやりたかったんだ──ミコ頼んだぞ!
『──ガッテンしょうちカナ!』
「舞うは落花のかたち! 降るは雪降りのかたちだ、 お立ち会い~!」
剣を扇子に持ち変え、先ほど斬った拭い紙を仰ぎ風で飛ばした。
空を舞う拭い紙にミコが眩い光を、魔法で光映写する。
すると、本当の桜や雪顔負けの、輝く紙吹雪となり宙を舞ってみせたのだ。
「「「──おぉぉぉ!」」」
よし! イイ反応だ。もしかしたら、これなら行けるかもな──?
「──さぁさぁ、この薬。本来1200Gの代物だ! しかし、今日のお客様はノリがイイ! 嬉しいから、奮発して二個買っていただいた方は、セット価格って事で2000Gにしちゃうよ! 数量限定だ。どうだ、買っていかないか?」
価格を聞いた客は、非常に興味を持ってくれているように見える……。
中には「どうしようかな?」っと悩む声まで聞こえるほどだ。
もう一つの売り文句が言えれば……でも昨晩却下されたんだよな。そうだ!
「実はこの薬、切傷を治すだけが使用用途ではない!」
俺は客の中から、若い女性に向かい閉じた扇子を向けた。
「そこの綺麗なあなた、いやぁ~本当にお綺麗だね!」
そして、次々と女性に扇子を向け「あなたも、あなたも! いや~この町にはべっぴんさんが多いね! 皆さんもそう思うでしょ?」と、声を掛けた。
すると男共は「兄ちゃん口が上手いね!」と茶化し、会場が笑いに包まれたのだ。
場が温まった今がチャンスと、さらに別の売り文句を話した。
「──実はこの薬、もう一つの効果があるんです! 綺麗なお姉さん方も、水洗いや、寒いシーズン。剣なんか握った日には、あかぎれを起こす。そんな経験、ありませんか?」
俺は薬入れ物を開け、一すくいして手に塗って見せた。
「そんな時この薬……。寝る前にこんな感じで塗り、手袋をしておくことであら不思議! あかぎれの悩みもおさらばよ! 髪は女の命、手は女の顔! 男も他人事じゃない、これを女性にプレゼントしたら、あなたの評判は上がること間違いなし!」
状況が一変した。先ほどまで、買うか買わないかで悩んでいた客だけではなく。野次馬をしていた男達の目の色が変わったのが分かる。
しかし、モテたい願望を表に出すのが恥ずかしいのか? 中々買うと言葉にする者が出てこないのだ。
せめて一人でも買ってくれれば、他の客も購入しやすいと思うんだけど……。
「どうだいどうだい? 欲しい人はいないかい?」
くそ……失敗だったか。そう思われた──その時! 会場の中から手を上げる勇気ある者が現れたのだ。そいつは、人の群れをかき分け次第に前に出てきた。
「宿敵よ! その薬五セット頂こう!」
「──って、お前かよ!!」
突然の登場に、商売を忘れて突っ込みを入れてしまったのだった。
扇子を長机に置いた俺は、それを両手で受け取った。
そして、勢いよく──引き抜く!
「ご覧のとおり、抜けば玉散る氷の刃だ! さぁさぁさぁ、お立ちあい!」
俺は懐から一枚の拭い紙出し、客に広げて見せた。
「目の前に出したこの白紙、一枚切ってお目にかけよう。白紙一枚切れる時は、人間の甘皮が切れるというらしいよ? さあ──一枚の紙が二枚に切れた!」
そう言いながら、剣で拭い紙を真二つに両断して見せた。
「二枚が四枚、四枚が八枚、八枚が十六枚、十六枚が三十二枚! 三十二枚が六十四枚!」
客達は、食い入る様にその光景を見ている。中にはこう思う人も出てきているだろう。
──この兄ちゃんは、先ほど本当に斬られてたのか? っと……。
そしてなにより、この演出がやりたかったんだ──ミコ頼んだぞ!
『──ガッテンしょうちカナ!』
「舞うは落花のかたち! 降るは雪降りのかたちだ、 お立ち会い~!」
剣を扇子に持ち変え、先ほど斬った拭い紙を仰ぎ風で飛ばした。
空を舞う拭い紙にミコが眩い光を、魔法で光映写する。
すると、本当の桜や雪顔負けの、輝く紙吹雪となり宙を舞ってみせたのだ。
「「「──おぉぉぉ!」」」
よし! イイ反応だ。もしかしたら、これなら行けるかもな──?
「──さぁさぁ、この薬。本来1200Gの代物だ! しかし、今日のお客様はノリがイイ! 嬉しいから、奮発して二個買っていただいた方は、セット価格って事で2000Gにしちゃうよ! 数量限定だ。どうだ、買っていかないか?」
価格を聞いた客は、非常に興味を持ってくれているように見える……。
中には「どうしようかな?」っと悩む声まで聞こえるほどだ。
もう一つの売り文句が言えれば……でも昨晩却下されたんだよな。そうだ!
「実はこの薬、切傷を治すだけが使用用途ではない!」
俺は客の中から、若い女性に向かい閉じた扇子を向けた。
「そこの綺麗なあなた、いやぁ~本当にお綺麗だね!」
そして、次々と女性に扇子を向け「あなたも、あなたも! いや~この町にはべっぴんさんが多いね! 皆さんもそう思うでしょ?」と、声を掛けた。
すると男共は「兄ちゃん口が上手いね!」と茶化し、会場が笑いに包まれたのだ。
場が温まった今がチャンスと、さらに別の売り文句を話した。
「──実はこの薬、もう一つの効果があるんです! 綺麗なお姉さん方も、水洗いや、寒いシーズン。剣なんか握った日には、あかぎれを起こす。そんな経験、ありませんか?」
俺は薬入れ物を開け、一すくいして手に塗って見せた。
「そんな時この薬……。寝る前にこんな感じで塗り、手袋をしておくことであら不思議! あかぎれの悩みもおさらばよ! 髪は女の命、手は女の顔! 男も他人事じゃない、これを女性にプレゼントしたら、あなたの評判は上がること間違いなし!」
状況が一変した。先ほどまで、買うか買わないかで悩んでいた客だけではなく。野次馬をしていた男達の目の色が変わったのが分かる。
しかし、モテたい願望を表に出すのが恥ずかしいのか? 中々買うと言葉にする者が出てこないのだ。
せめて一人でも買ってくれれば、他の客も購入しやすいと思うんだけど……。
「どうだいどうだい? 欲しい人はいないかい?」
くそ……失敗だったか。そう思われた──その時! 会場の中から手を上げる勇気ある者が現れたのだ。そいつは、人の群れをかき分け次第に前に出てきた。
「宿敵よ! その薬五セット頂こう!」
「──って、お前かよ!!」
突然の登場に、商売を忘れて突っ込みを入れてしまったのだった。
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