異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル

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第四章 新天地

第328話 ドラゴンと同格

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「こ、これは驚いた。まったく、運が良いのか悪いのか……」

 鑑定の結果、ミコか見つけた謎の物体。
 なんとそれは、俺達が探しに来たあのミスリルスライムだったのだ……。

「まさか、ミスリルスライムが地面に埋まっているものだったとは……」

 ティアの話では、そんな情報は無かったんだけど。
 希少らしいし、生態系までハッキリとしてないのかもな。

「あ、波に飲まれた」

 ミスリルスライムが埋まっている場所は浜辺でも海より。
 時折、波の満ち引きに飲まれているのだ……。

「カナデ。アレ、どんどん埋もれてないカナ?」

 ミコの言う通り、先程まで飛び出ていた先っちょは、いつしか辛うじて見える程になっていた。

「あぁ、埋まるか流されるかする前に、さっさと引っこ抜くか」

 まさか、ミスリルスライムを収穫することになるとは……。
 俺は、辛うじて飛び出ている辺りの砂を掻き分け、掴み力任せに引っ張った。
 すると「ピキィィ!!」の叫び声と共に、その玉ねぎボディーが姿を表したのだ。

 もしかして、これが正しい持ち方なのか?
 ミスリルスライムは魔物のくせに、これと言った抵抗は見せない。

 触れている感じ、質感はまんま金属。
 ただただ、つぶらな瞳と目が合い、口は嬉しそうに三日月を横にしたように開かれていた。

『ありがとう、助かったスラ!!』

 俺はつい条件反射で下ろし、そのまま砂辺に押し付け、埋めようとした。

『──何するスラ! 止めるスラ』

 今、声が聞こえたようだが?
 周囲には俺とミコの二人っきり、俺は話してないし、もちろん彼女も……。

 あぁそうか、きっと先程不時着して転倒したときに頭を打ったんだろう、そうに違いない。

「なぁミコ。俺、コイツの声が聞こえる気がしたんだけど……」

 さぁミコ、先程みたいに「何を言ってるカナ」って、俺を笑い飛ばしてくれ!!

「ん~長生きしている魔物は、会話できるのも居るんじゃないカナ。ボクも昔会ったことがあるシ、なんとかドラゴンだったカナ?」

「えぇ……こいつ、ドラゴンと扱いが一緒なのか?」

 でも、創作物なんかに出てくるスライムは割りと話すか?
 いや深く考えるな、こう考えろ。

 もしかしたら退治しなくてもミスリル鉱石が手に入るかもしれないと……切り替えは大事だ、うん。

『──失礼な人間だスラ!』

 本当に聞こえている……。
 確かに言葉が通じる以上、名乗りもしないってのも失礼だな。

「あ~……すまない。俺はカナデって言うんだ、怪しいものじゃない」

 少なくとも、敵対する意思はない。
 まずそこは相手に伝えねば──。

『分かったスラ。もちろんこちらにも、敵対の意思はないスラ』

 ──って、思っていることが筒抜け!?

 なるほど、口を動かしていないとこを見る限り、このミスリルスライムは念話を駆使してるのか?

「余程聡明そうめいだとお見受けする。良かったら、君の名前を教えてくれないか?」
 
 念話なら、こちらの意図は筒抜けだろう。
 それならば、少しでも打ち解ける事が出来、相手を知ることが出来れば……。

『中々に話が分かる人間みたいスラ。僕は、訳あって群れからはぐれたメタル族のスライムだスラ……名前は無いから、はぐれメタ…』

 ──ドスン!!

は、最後まで台詞を言い終える前に地面に潜る事となった……】

 要するに──謎の危険を感じた俺は、咄嗟にもう一度浜辺に、自称はぐれたスライムを押し付け、埋めたのであった。
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