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第四章 新天地
第391話 戦争
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「あれがグローリア大陸なのか? 前はあんなもの無かったのに……」
あんな印象深い物が空に浮いてれば、忘れられるはずもない。
この異様な天気の影響かなにかだろうか?
『余りにも、多くの生物が死にすぎた。世界に還元しきれない魔力が空に満ちておる』
あのオーロラは、死んだ人の魔力なのか!?
「つまり……あれは命の光?」
『……この光景も久方振りだ。食べるために命を奪うだけならこうはならぬのに、愚かな話だ』
神様が言うと、否応なく説得力がある。
大勢に死。あそこの何処かでは、今も争いが……いや、戦争が行われているんだ。
そこにはきっとトゥナも……。
地球でもそうだが、なぜ人類は互いに傷つけ合うのだろうか?
種族が違うと言うだけで、なぜ争う必要があるんだ?
そもそもなぜ、魔王は……。
「ククルカン。魔王はどうして二百年も経ち、休戦した今となっても人類に対し争いを仕掛けているんだ?」
『……憎悪、っとでも言うべきか。魔族の神が与えた魔石は、強い感情により力を増す。その矛先が人類なら、魔石を手にしている人物は余程の恨み事があるのだろうな』
「恨んでって……相手を殺して、心が晴れるものなのか」
『神である我が、人類の感情など知り得るはずも無かろう。それより陸が見えてきたぞ』
本当だ、大陸が見えてきた。
何週間もかかった船路を、ものの数日で……。まるで飛行機だな。
それにしてもまさか、またこの国に戻ってくることになるとは──。
「確かあの入り江は、イードル港? よかった、無事みたいだ」
ここはまだ魔王の手が届いていないのか、船はほとんど居ないものの当時立ち寄った時のままだ。
ただ、港には人影は見えない。単純に、皆逃げ出しているのかもしれないな。
「ククルカン。すまないが、このままフィーデスに向かってくれないか?」
『わっぱ、我を乗り物か何かと勘違いしておるだろ……?』
そうだ、考えてもみろ。彼は俺に魔王討伐をさせたいと言う思惑があるとは言え、俺はその事に同意をしていない。
もしかしたら、こちらにだけ都合の良いだけの結果になるかもしれないんだ。
なのにこちらが都合良く扱うのは、そもそもが間違っているだろ?
そんなご都合主義──仲間じゃない。
「そうだよな、ワガママ言ってすまない。ずっと頼んでばかりだし……」
申し訳なく思い、俺はついばつの悪そうな表情を浮かべる。
すると、人の良い龍神様は『まぁ良い、どちらにせよ通り道だ』っと、飛ぶ方角を少しだけ北に向けた。
「ククルカン……ありがとう!」
感謝しても、感謝しきれないな……。
しばらくの間は空から見ても、相も変わらずのどかな景色だ。
森や山、川や平野が、次々と流れていく──早すぎて、景観が目まぐるしく移り変わっているのだ。
しかしそれも、長くは続かなかった。
「──なっ!? 」
木々は倒され、所々には人と魔物の死骸が転がっている。
行きに通った整備されていた道は血痕により赤く染まり、各所には焼け焦げた跡が残っていた。
この辺りで、大きな争いがあった証拠だ。
「これが……戦争……」
目を伏せたくなる状況だ。
例え見ずとも、不快なにおいが鼻を突く。
「──カナデ、町の周りに沢山沢山魔物がいるカナ!」
なんだって!
遠目には、フィーデスの町がうっすらと見え始めた……。
それは近づくと共に鮮明になり、ミコの言葉の意味を理解する事に。
「……あんなの、どうしろって言うんだよ」
町を横切る二本の川沿い。そこには魔物がびっしりと犇めきあい、それらは川を横断していく。
低めの外壁は所々で崩れ、町に入ろうとしている魔物を人々がなんとか阻止している様だ。
『地形に助けられているが。しかしそれも時間の問題の様だな……』
ククルカンの言ったことは間違いないだろう。
フィーデスの町を囲んでいる魔物の総数は、優に五百を超えているのだから……。
あんな印象深い物が空に浮いてれば、忘れられるはずもない。
この異様な天気の影響かなにかだろうか?
『余りにも、多くの生物が死にすぎた。世界に還元しきれない魔力が空に満ちておる』
あのオーロラは、死んだ人の魔力なのか!?
「つまり……あれは命の光?」
『……この光景も久方振りだ。食べるために命を奪うだけならこうはならぬのに、愚かな話だ』
神様が言うと、否応なく説得力がある。
大勢に死。あそこの何処かでは、今も争いが……いや、戦争が行われているんだ。
そこにはきっとトゥナも……。
地球でもそうだが、なぜ人類は互いに傷つけ合うのだろうか?
種族が違うと言うだけで、なぜ争う必要があるんだ?
そもそもなぜ、魔王は……。
「ククルカン。魔王はどうして二百年も経ち、休戦した今となっても人類に対し争いを仕掛けているんだ?」
『……憎悪、っとでも言うべきか。魔族の神が与えた魔石は、強い感情により力を増す。その矛先が人類なら、魔石を手にしている人物は余程の恨み事があるのだろうな』
「恨んでって……相手を殺して、心が晴れるものなのか」
『神である我が、人類の感情など知り得るはずも無かろう。それより陸が見えてきたぞ』
本当だ、大陸が見えてきた。
何週間もかかった船路を、ものの数日で……。まるで飛行機だな。
それにしてもまさか、またこの国に戻ってくることになるとは──。
「確かあの入り江は、イードル港? よかった、無事みたいだ」
ここはまだ魔王の手が届いていないのか、船はほとんど居ないものの当時立ち寄った時のままだ。
ただ、港には人影は見えない。単純に、皆逃げ出しているのかもしれないな。
「ククルカン。すまないが、このままフィーデスに向かってくれないか?」
『わっぱ、我を乗り物か何かと勘違いしておるだろ……?』
そうだ、考えてもみろ。彼は俺に魔王討伐をさせたいと言う思惑があるとは言え、俺はその事に同意をしていない。
もしかしたら、こちらにだけ都合の良いだけの結果になるかもしれないんだ。
なのにこちらが都合良く扱うのは、そもそもが間違っているだろ?
そんなご都合主義──仲間じゃない。
「そうだよな、ワガママ言ってすまない。ずっと頼んでばかりだし……」
申し訳なく思い、俺はついばつの悪そうな表情を浮かべる。
すると、人の良い龍神様は『まぁ良い、どちらにせよ通り道だ』っと、飛ぶ方角を少しだけ北に向けた。
「ククルカン……ありがとう!」
感謝しても、感謝しきれないな……。
しばらくの間は空から見ても、相も変わらずのどかな景色だ。
森や山、川や平野が、次々と流れていく──早すぎて、景観が目まぐるしく移り変わっているのだ。
しかしそれも、長くは続かなかった。
「──なっ!? 」
木々は倒され、所々には人と魔物の死骸が転がっている。
行きに通った整備されていた道は血痕により赤く染まり、各所には焼け焦げた跡が残っていた。
この辺りで、大きな争いがあった証拠だ。
「これが……戦争……」
目を伏せたくなる状況だ。
例え見ずとも、不快なにおいが鼻を突く。
「──カナデ、町の周りに沢山沢山魔物がいるカナ!」
なんだって!
遠目には、フィーデスの町がうっすらと見え始めた……。
それは近づくと共に鮮明になり、ミコの言葉の意味を理解する事に。
「……あんなの、どうしろって言うんだよ」
町を横切る二本の川沿い。そこには魔物がびっしりと犇めきあい、それらは川を横断していく。
低めの外壁は所々で崩れ、町に入ろうとしている魔物を人々がなんとか阻止している様だ。
『地形に助けられているが。しかしそれも時間の問題の様だな……』
ククルカンの言ったことは間違いないだろう。
フィーデスの町を囲んでいる魔物の総数は、優に五百を超えているのだから……。
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