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第25話 緊張
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「ゴホン、ゴホン……で、では開けるぞ?」
俺は咳払いの後、震える手を伸ばしドアノブに触れた。
「いや確認は良いですから早く入りましょうよ、何か不都合でもあるんですか? 表情が強ばってますよ」
ドアノブを捻りながらも「そ、そんなのあるわけがないだろ!」と、扉を開いた。そして、俺は先に中へと入る。
本音を言うと、緊張でひどく喉が渇いていたのだが……。
「あら、いらっしゃま……」
煤汚れの外装からは想像もできないほど、店内は清潔に保たれていた。
暖色系で揃えられた家具に、丁寧に陳列される武器達……。
武器屋なのに、どこかホッとさせられる。俺は心からそう感じていた。
それはきっと、目の前にいる彼女の存在が大きいのだろう──。
──こちらを見て、微笑む彼女、その笑顔は素敵で、なんとなく安心してしまう……そんな魅力的な女性が俺達を迎えてくれたのだ。
最初のうちは……だが──。
「た、ただいま……」
──精一杯の笑顔で、相手を刺激しないように気遣った。
しかし、何故だろうか……いや、疑問に思うまでも無いのだが、目の前の女性の表情は、俺を見るとすぐさま、険しいものに変わってしまった。
「……帰って、きたのね?」
睨み付ける様な視線が俺に刺さる。ただ、うっすらと浮かべた涙を俺は見逃さなかった。
「あ……あぁ。久しぶりだな」
「そうね、少なく見積もっても三年は会ってないものね!」
……こ、言葉に棘がある。
そんなやり取りを店の亭主である彼女としていると、俺の後ろからサクラがひょっこりと顔を出した。
彼女を見るなり女性の目は、それだけで俺を殺せるほどの厳しいものへと変わる。
「──なに、また新しい女ができたからその自慢にでもきたのかしら?」
「ち、違うそうじゃない! 落ち着け、落ち着いて俺の話を聞いてくれ!!」
女性の手が、不意に陳列棚に伸びる!?
怒らせるのは大変危険だ、何せここは武器屋だ。凶器になりそうなものは、山ほどあるわけだからな!
俺は慌ててサクラに向かいアイコンタクトを取る。
君は護衛だろ? この場をなんとかしてくれと……。
伊達に共に死線を潜り抜けた仲間ではない、それを見てサクラは察し、敬礼をして俺に答えた──。
「──はい、マサムネさん! 今は空気を読んで、彼女じゃありませんよ~っとでも言った方がいいですね!」
「サ、サクラ!? 言い方、その言い方は不味いぞ!?」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あら、なに? あんた、本当にこの人の護衛なの?」
「だから言っただろ……俺の話を聞けって……」
声を出した途端に、目の前の女性の視線が刺さる。
どうやら、俺に発言の権限がないらしい……。
あの後、一悶着あったものの、俺達はなんとか命あるまま客席へと通されたのだが。
「護衛兼、仲間ですかね。それより、お二人こそどんな関係なんですか? とても親しい様に見えるんですが……」
「サクラ、良く見ろ。親しい者同士の再会で、こんな怪我を──痛い!!」
先程、檜木で作られた鈍器で、殴られて出来た瘤を、対面に座る女性がテーブル越しにわざわざ触ってきた。
余計なことを言うなとの、無言の圧力だろう……。
俺は抵抗を諦め、素直に説明する事にした。
「か、彼女は俺の元妻だ。名前をカンナと言う……」
「──そうですか、マサムネさんの元奥さん……」
サクラは、カンナが入れた茶を啜っていると、急に動きを止めた。そして──。
「──えぇー! マサムネさん、結婚なさっていたんですか!!」
っと驚きの声を上げ、自身の服に盛大にそれを溢して濡らしてしまった。
「おい、溢れている、溢れているから!?」
それこそ、大半は溢してるんじゃないのか? サクラの服は、茶でびしゃびしゃに濡れてしまった。
「た、大変! 熱くなかったかしら!? サクラちゃんだったかしら、急いで冷やして……後、着替えを貸してあげるからこちらに来て!」
「え、え!? 大丈夫です。お、お構い無く!」
サクラは若干の遠慮を見せたものの、カンナに手を取られ、奥の部屋へと誘拐……連れ去られてしまった。
俺は出された茶を啜り、懐かしの元我が家を堪能する。
「……サクラ、御愁傷様だな」
茶をテーブルに置き、カウンター横の棚から手拭いを取り出す。
物の配置が変わってない。それだけの事でも、嬉しくなるものなのだな……。
この後テーブルを拭きながらも、彼女に降りかかる不幸を想像しつつ、懐かしさと昔を思い出し、俺は目を細めるのだった。
俺は咳払いの後、震える手を伸ばしドアノブに触れた。
「いや確認は良いですから早く入りましょうよ、何か不都合でもあるんですか? 表情が強ばってますよ」
ドアノブを捻りながらも「そ、そんなのあるわけがないだろ!」と、扉を開いた。そして、俺は先に中へと入る。
本音を言うと、緊張でひどく喉が渇いていたのだが……。
「あら、いらっしゃま……」
煤汚れの外装からは想像もできないほど、店内は清潔に保たれていた。
暖色系で揃えられた家具に、丁寧に陳列される武器達……。
武器屋なのに、どこかホッとさせられる。俺は心からそう感じていた。
それはきっと、目の前にいる彼女の存在が大きいのだろう──。
──こちらを見て、微笑む彼女、その笑顔は素敵で、なんとなく安心してしまう……そんな魅力的な女性が俺達を迎えてくれたのだ。
最初のうちは……だが──。
「た、ただいま……」
──精一杯の笑顔で、相手を刺激しないように気遣った。
しかし、何故だろうか……いや、疑問に思うまでも無いのだが、目の前の女性の表情は、俺を見るとすぐさま、険しいものに変わってしまった。
「……帰って、きたのね?」
睨み付ける様な視線が俺に刺さる。ただ、うっすらと浮かべた涙を俺は見逃さなかった。
「あ……あぁ。久しぶりだな」
「そうね、少なく見積もっても三年は会ってないものね!」
……こ、言葉に棘がある。
そんなやり取りを店の亭主である彼女としていると、俺の後ろからサクラがひょっこりと顔を出した。
彼女を見るなり女性の目は、それだけで俺を殺せるほどの厳しいものへと変わる。
「──なに、また新しい女ができたからその自慢にでもきたのかしら?」
「ち、違うそうじゃない! 落ち着け、落ち着いて俺の話を聞いてくれ!!」
女性の手が、不意に陳列棚に伸びる!?
怒らせるのは大変危険だ、何せここは武器屋だ。凶器になりそうなものは、山ほどあるわけだからな!
俺は慌ててサクラに向かいアイコンタクトを取る。
君は護衛だろ? この場をなんとかしてくれと……。
伊達に共に死線を潜り抜けた仲間ではない、それを見てサクラは察し、敬礼をして俺に答えた──。
「──はい、マサムネさん! 今は空気を読んで、彼女じゃありませんよ~っとでも言った方がいいですね!」
「サ、サクラ!? 言い方、その言い方は不味いぞ!?」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あら、なに? あんた、本当にこの人の護衛なの?」
「だから言っただろ……俺の話を聞けって……」
声を出した途端に、目の前の女性の視線が刺さる。
どうやら、俺に発言の権限がないらしい……。
あの後、一悶着あったものの、俺達はなんとか命あるまま客席へと通されたのだが。
「護衛兼、仲間ですかね。それより、お二人こそどんな関係なんですか? とても親しい様に見えるんですが……」
「サクラ、良く見ろ。親しい者同士の再会で、こんな怪我を──痛い!!」
先程、檜木で作られた鈍器で、殴られて出来た瘤を、対面に座る女性がテーブル越しにわざわざ触ってきた。
余計なことを言うなとの、無言の圧力だろう……。
俺は抵抗を諦め、素直に説明する事にした。
「か、彼女は俺の元妻だ。名前をカンナと言う……」
「──そうですか、マサムネさんの元奥さん……」
サクラは、カンナが入れた茶を啜っていると、急に動きを止めた。そして──。
「──えぇー! マサムネさん、結婚なさっていたんですか!!」
っと驚きの声を上げ、自身の服に盛大にそれを溢して濡らしてしまった。
「おい、溢れている、溢れているから!?」
それこそ、大半は溢してるんじゃないのか? サクラの服は、茶でびしゃびしゃに濡れてしまった。
「た、大変! 熱くなかったかしら!? サクラちゃんだったかしら、急いで冷やして……後、着替えを貸してあげるからこちらに来て!」
「え、え!? 大丈夫です。お、お構い無く!」
サクラは若干の遠慮を見せたものの、カンナに手を取られ、奥の部屋へと誘拐……連れ去られてしまった。
俺は出された茶を啜り、懐かしの元我が家を堪能する。
「……サクラ、御愁傷様だな」
茶をテーブルに置き、カウンター横の棚から手拭いを取り出す。
物の配置が変わってない。それだけの事でも、嬉しくなるものなのだな……。
この後テーブルを拭きながらも、彼女に降りかかる不幸を想像しつつ、懐かしさと昔を思い出し、俺は目を細めるのだった。
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