6 / 26
第一章
山城ノ根城ニテ
しおりを挟む
「いったいなぁー・・・・・」
「そりゃあんな馬鹿力に本気でやられたらなぁ」
ほれ、と室内の長椅子に腰掛け、真っ赤に腫れた左頬を押さえて悶える山城へ濡れた手拭いを差し出した。
素直に受け取ったそれで頬の熱を冷ます妹へ、男は深くため息を吐いた。
「お互い、恐ろしい女じゃのお。流石にやりすぎとちゃうか?パープーさんやないんじゃけえ」
「あまりにも生意気で無礼なもんだったからね、私もついカッとなって・・・・扶桑兄さんも、あんまりあいつを甘やかさないでよ」
「それはよう分かっとるけんど・・・・」
言いながら、扶桑と呼ばれた風采のよさげな男はカツカツと小綺麗な靴を鳴らして、少し離れた水場の方へ向かった。
台には開けたばかりの白い湿布が用意されており、それを鋏で器用に小さく切っていく。
丁度、腫れた頬を覆えるくらいの大きさになったところで、それを持って再び山城の元へ戻った。
変わらず彼女はむすっと眉間へ皺を寄せている。扶桑は構わず山城の左頬へ、調整の済んだ湿布をはっつけた。
「いちんき厳しいばっかりなんも、良うないけぇ。褒める時は褒めちゃらんと」
「・・・・・わかってるわよ」
やはりむくれたまま、山城は小さく答えた。
「というか、てっきり兄さんは怒ってるかと思ったのに」
「なしてえ?」
「だって、仮にも可愛い妹の顔をこんなにしたんだから」
「ばかたれ、それはお互い様じゃろ。どっちもどっち」
ぴしゃりとそう叩きつける扶桑、その反応があまり好かないのか、山城はぶすーっと腫れた頬をさらに膨らませた。
「兄弟でもいたらあいつも少しは変わるのかしら・・・・・・」
「山城」
何気ないぼやきの一つだったのだが、一瞬、見えない亀裂が走った様な気がした。その短い言葉の中に、恐ろしい程の冷たさを詰め込んでいる様だった。扶桑は変わらず、手当ての道具を片付けている。
「・・・・・ごめん、わかってるわ。もう言わない約束だものね」
先程までの強気な姿勢は鳴りを潜め、山城はそれきり黙り込んでしまった。
「そりゃあんな馬鹿力に本気でやられたらなぁ」
ほれ、と室内の長椅子に腰掛け、真っ赤に腫れた左頬を押さえて悶える山城へ濡れた手拭いを差し出した。
素直に受け取ったそれで頬の熱を冷ます妹へ、男は深くため息を吐いた。
「お互い、恐ろしい女じゃのお。流石にやりすぎとちゃうか?パープーさんやないんじゃけえ」
「あまりにも生意気で無礼なもんだったからね、私もついカッとなって・・・・扶桑兄さんも、あんまりあいつを甘やかさないでよ」
「それはよう分かっとるけんど・・・・」
言いながら、扶桑と呼ばれた風采のよさげな男はカツカツと小綺麗な靴を鳴らして、少し離れた水場の方へ向かった。
台には開けたばかりの白い湿布が用意されており、それを鋏で器用に小さく切っていく。
丁度、腫れた頬を覆えるくらいの大きさになったところで、それを持って再び山城の元へ戻った。
変わらず彼女はむすっと眉間へ皺を寄せている。扶桑は構わず山城の左頬へ、調整の済んだ湿布をはっつけた。
「いちんき厳しいばっかりなんも、良うないけぇ。褒める時は褒めちゃらんと」
「・・・・・わかってるわよ」
やはりむくれたまま、山城は小さく答えた。
「というか、てっきり兄さんは怒ってるかと思ったのに」
「なしてえ?」
「だって、仮にも可愛い妹の顔をこんなにしたんだから」
「ばかたれ、それはお互い様じゃろ。どっちもどっち」
ぴしゃりとそう叩きつける扶桑、その反応があまり好かないのか、山城はぶすーっと腫れた頬をさらに膨らませた。
「兄弟でもいたらあいつも少しは変わるのかしら・・・・・・」
「山城」
何気ないぼやきの一つだったのだが、一瞬、見えない亀裂が走った様な気がした。その短い言葉の中に、恐ろしい程の冷たさを詰め込んでいる様だった。扶桑は変わらず、手当ての道具を片付けている。
「・・・・・ごめん、わかってるわ。もう言わない約束だものね」
先程までの強気な姿勢は鳴りを潜め、山城はそれきり黙り込んでしまった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる