プレイヤーズゲーム 〜生徒たちの挑戦〜

モンモン

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第15話 憧れの先にある光

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1. 慟哭のサブトラック

サブトラックの片隅、機材倉庫の影で、涼賀は膝をついたまま動けずにいた。

「……何やってんだ、俺は……」

目から溢れる涙を止めることができない。憧れの浅井遥希と同じ組、隣のレーン。一生に一度あるかないかのチャンスを、自分の身勝手な焦りですべて台無しにしてしまった。
情けなくて、惨めで、応援に来てくれた由嗣や大夢、萌歌たちの顔をまともに見ることなんてできない。

「終わった。全部終わったんだ……」 

涼賀が嗚咽を漏らしながら地面を叩いた、その時だった。

「——まだ、終わってないだろう」 


2. 英雄からの言葉

低く、落ち着いた声に、涼賀はハッとして顔を上げた。
そこには、準決勝を圧倒的なタイムで1着通過してきたばかりの、浅井遥希が立っていた。

「浅井……さん……」

驚きのあまり、涙が止まる。浅井は涼賀の前にしゃがみ込み、真っ直ぐにその瞳を見つめた。

「フライングなんて、誰にでもある。俺も何回かやらかしている。
君の反応、機械の判定は0.01秒のフライングで終わったけど、あの瞬間の君の迫力は、隣にいた俺にまで伝わってきたよ。
あの構え、すごく集中してた。あれを次で出せば、もっと速くなる。
これも経験だ。川瀬くん。」

涼賀は驚きで声が出なかった。

憧れの人が、自分の名前を呼び、自分の走ろうとした意志を肯定してくれている。

「……俺、でも……チャンス、だったのに……」

浅井は無言で首を横に振る。

「チャンスは、一回じゃない。
君みたいな目をしてる人は、
何度でも可能性がある。」

浅井はそう言い残すと、爽やかな笑顔で立ち去っていった。

3. 再起の咆哮

涼賀はその場に立ち尽くし、浅井の背中をいつまでも見つめていた。
乾きかけていた心に、再び烈しい火が灯る。

「……っ、ありがとうございます!!」

涼賀は消え入りそうな声で、確かな決意を込めて呟いた。
顔を上げると、遠くのスタンドの出口付近で、拓海がこちらをじっと見ているのに気づいた。拓海は涼賀が立ち上がったのを確認すると、一言も発さず、ただ静かに背を向けて歩き出した。

(見てろよ、拓海。俺はまだまだ、折れちゃいねぇ)

4. 仲間たちの元へ

涼賀がスタンドに戻ると、そこには不安そうな表情の萌歌や沙玖ら部員、そして何も言わずに待っていた由嗣と大夢がいた。

「涼賀……」 

萌歌が駆け寄ろうとするのを、涼賀は制した。

「ごめん、みんな。心配かけた」

その瞳からは、直前まであった絶望は消えていた。

「浅井さんに言われたんだ。チャンスは一回だけじゃない。何度でも可能性はあるって。……だから、インターハイまで死ぬ気で練習して結果を残す。もう二度と、あんな無謀な姿は見せない」

「……それでこそ、涼賀だ」

大夢が眼鏡を直し、誇らしげに笑った。由嗣も「大会終わったら飯行くか。肉でもなんでも食おう」と、力強く涼賀の背中を叩いた。

絶望的な失格から、最高のリスタートへ。
涼賀の夏は、あまりにも残酷な傷跡を刻んだ。しかし、その傷こそが、インターハイという真の頂を目指し、かつてない熱量で再燃し始めた。


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