世界最強の弟が主人公ごときに殺されるのは解釈違いなのでシナリオ改変します

サミカルキ

文字の大きさ
1 / 4

プロローグ

しおりを挟む



とある大国に、この国唯一の公爵家に長子として誕生した男の子が居ました。

その名もアデン=チャイルス。彼は魔法士の家系として由緒正しいチャイルス家の中でもずば抜けた魔力量を持ち、3つになる頃には上級魔法すら操れるようになっておりました。

そんな彼の才能は彼が4つになる頃には王国中に響き渡り、神の子として拝められるようになりました。

そうしてアデン=チャイルスは齢4つにして富、名声、力…この世のすべてを手に入れたのです。

これは王国中の誰もが認めている事実でありました。勿論、アデン本人でさえも。寧ろアデンが一番自分がNo.1であると信じて疑いませんでしたし、それが当たり前でした。


………あの時までは。


その日は丁度、アデンの5歳の誕生日でした。
神の子である彼の誕生は国を挙げて祝われ、豪華な豪華なパーティーが開かれました。

4歳を境に驚くほど大きな規模になったお誕生日会は、生まれた時から表情の変化が無に等しい彼が唯一瞳を輝かせるものでした。

でも今回は、アデンへの賞賛の声で満ちているいつものパーティーと違い、臨月を迎えた彼の母とそのお腹の子の話がたくさん聞こえていました。

アデンはこれを不快に思いましたが、どうせ自分よりも劣って生まれてくるであろう弟の話題などすぐに消え去るだろうとあまり気に留めませんでした。

その日の夜。

豪勢なパーティーも終わり、眠りについていたアデンは、大きな叫び声が聞こえてはたと目が覚めました。

絶えず響き渡る女の叫び声は、どうやら母の寝室から聞こえてくるようです。

そういえば母は今臨月で、いつお腹の子が産まれてもおかしくない状態だったはず。ならばこれは母が出産に苦しんでいる声か。

そう考えついたアデンは、今までさして興味もなかった弟の誕生が急に見てみたくなりました。というより、ただ単純に気になっただけなのです。

普段、淑女然とした姿勢を崩さず、大声などあげたこともない母の獣のような叫びを初めて聞いたものだから。

生命の誕生というこの世で一番不可思議な現象を、この目で見てみたいと好奇心が疼いたものだから。

彼は一目散に母の寝室へと駆けました。そうして開け放った部屋で彼の、アデン=チャイルスの人生を一変させる光景を見ました。

そこには一際大きな叫び声を上げる母の大きな大きなお腹を突き破り、今にも出んとする小さな赤子の姿がありました。

常軌を逸する赤子に、部屋で出産に立ち会っていた父上や産婆たちは皆叫び、逃げ惑いましたが、腹から這いずり出た赤子の特濃の魔力が乗せられた産声によってばったりと倒れてしまいました。

唯一意識を保てていたアデンさえ、ぴくりとも体を動かせず赤子から目を逸らせずにいました。

赤子が泣きつかれて眠るまで、ずうっと。

そうしてようやっと体の自由が利くようになった頃。彼は膝から崩れ落ち

「…………勝てない」

初めての涙を一筋流して、自らが玉座から転げ落ちたことを知りました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~

マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。 王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。 というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。 この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

泥酔している間に愛人契約されていたんだが

暮田呉子
BL
泥酔していた夜、目を覚ましたら――【愛人契約書】にサインしていた。 黒髪の青年公爵レナード・フォン・ディアセント。 かつて嫡外子として疎まれ、戦場に送られた彼は、己の命を救った傭兵グレイを「女避けの盾」として雇う。 だが、片腕を失ったその男こそ、レナードの心を動かした唯一の存在だった。 元部下の冷徹な公爵と、酒に溺れる片腕の傭兵。 交わした契約の中で、二人の距離は少しずつ近づいていくが――。

従者は知らない間に外堀を埋められていた

SEKISUI
BL
新作ゲーム胸にルンルン気分で家に帰る途中事故にあってそのゲームの中転生してしまったOL 転生先は悪役令息の従者でした でも内容は宣伝で流れたプロモーション程度しか知りません だから知らんけど精神で人生歩みます

【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。

キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、 ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。 国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚―― だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。 顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。 過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、 気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。 「それでも俺は、あなたがいいんです」 だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。 切なさとすれ違い、 それでも惹かれ合う二人の、 優しくて不器用な恋の物語。 全8話。

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。

とうふ
BL
題名そのままです。 クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

処理中です...