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1章 運命の出会い
第1話 転生
しおりを挟む朝起きたら、前世の記憶が蘇っていた。
それでは私の自己紹介を。
サーフィリア・ルナ・アイラック侯爵令嬢
サラサラな銀髪にブルーダイアモンド、サファイアのような深い輝きのある青色の右目とキラキラと輝くような金色の左目のオッドアイ。
瞳は大きく、うっすらピンクに色づいた唇と頬は可愛らしい。肌は透明感のある色白。
まさに絶世の10歳の美少女。
これが今世の私よ。
私は前世でOLをしていたの。
ただ、ブラックな企業に就職してしまって、残業も多かったわ。
ある日、深夜遅くに自宅へ帰っていたら、車に後ろから衝突されてそのまま死んでしまったみたいなの。正直、車にはねられた時に、やっとこれで解放されると思ってしまったわ。
疲労も凄かったし、毎日がいっぱいいっぱいでいつか破綻するってずっと思っていたの。でも、会社を辞めるわけにはいかなかった。
辞めてしまったら、私の居場所が無くなると思い込んでいたから…。
ただ、人に必要とされたかっただけなのよ。
仕事を押しつけられても、その人が頼ってくれた、私は必要とされている、私はいらない人間じゃないって思い込みたかっただけなの。
自分で自己満足に浸って、本当は必要とされているわけではなく、面倒事を押しつけられる、便利なヤツだと思われていることから目を背けていただけ。
自分で自分の価値を下げていたのよね。
今思えば、ということはたくさんあるけれど、転生することができたし、また新しい人生を穏やかに、幸せに過ごすことができれば良いと思っているわ。
……思い出したくは無かったけれど、思い出してしまったならしょうがないわ。
前世の記憶と共に、乙女ゲームのことも思い出したの。
この世界は乙女ゲームの世界、または類似した世界だと思うわ。
『あなたに永遠の愛を誓う』という名前の乙女ゲーム。
主なストーリーは、ヒロインが学園で王太子や騎士見習い、宰相の息子、侯爵令息、グランキール国の留学生達と触れ合って、笑いあり、涙あり、冒険ありの末に運命の人と結ばれるという流れになっているわ。
ちなみに、私が転生してしまったのは悪役令嬢。
何故よりにもよって悪役令嬢なのかしら?
この悪役令嬢、破滅エンドしかないのよ⁉︎
どのルートにいっても必ず断罪されて死ぬんだもの。
ヒロインが選択するルートによって、攻略対象の婚約者だったり幼馴染だったりするわ。
ヒロインを虐めたり、攻略の邪魔をするのよね。今の私はまったくそんなことをしようとは思っていないけれど。
どうぞご自由に、という感じだわ。
普通に寿命で死にたいわね。
ストーリーが進んでいくと必ず邪竜が現れて、その邪竜をヒロインが愛の力(笑)で浄化するの。
設定が壮大過ぎて笑ってしまったわ。
乙女ゲームにありがちなご都合主義よね。
……愛の力で浄化とか意味わからないもの。
そんなことができるなら、始めから邪竜が生まれていないはずよね。
それで、そのヒロインというのが私の異母妹なの。
リーフェ・ローナ・アイラック
ふわふわのローズピンクの髪にエメラルドのような透き通った緑色の目をした可愛らしさを詰め込んだような容姿。儚さもあり、守ってあげたくなる、らしい。
これは乙女ゲームの情報。
成長すれば変わるかもしれないけれど、今のリーフェは思い込みの激しい子よ。
頑固。
本当に頑固だし、儚さはわからないけれど、明るい性格をしているわ。
ポジティブ思考なのよね。
私とリーフェは異母姉妹。
お父様が浮気をしてできたのがリーフェ。
私とリーフェの誕生日は半年しか違わない。
それが意味することは、お父様とお母様が愛し合っていたのと同時期にお父様は他の女性とも愛し合っていたということ。
酷い裏切りよね。
お父様とお母様は恋愛結婚だった筈なのに。
その後、お母様はお父様のことが信じられなくなり、部屋に篭ったわ。10年間、お父様とは会っていないの。
……私にはマナーや教養を教えるために会ってくださっているけれど。
それも、お父様を見返すため。
貴方が浮気してできた子より私の子の方が賢いのよ、って示すため。
お父様はお母様と会うのが気まずくなり、仕事に逃げたわ。
私と会うのも気まずいのか、お父様とはあまり会わないの。
リーフェが生まれて我が家を訪ねてきたお父様の浮気相手は、第2夫人になったわ。
今は我が家で暮らしているの。
名前は、
ロアナ・ローズ・アイラック
ふわふわのワインレッド色の髪にブラウン色の瞳をしていて、ボンッキュッボンみたいな体型をしているわ。
侯爵家の女主人ではないのに、さも自分が女主人だというような態度でいるわ。
顔を合わせるたびに何か嫌味ったらしく言ってくるし、性格は傲慢でプライドが高く、私が自分の思い通りにならないと私の頬を打ってくるのよ。
……本当に嫌い。
私のお父様の名前は、
ロナウド・ロード・アイラック
ブラウン色の髪にエメラルド色の瞳をしているわ。
10年生きていて、ほとんど会っていないから性格はよくわからないわね。
お父様は竜人と人間のハーフで、お母様は狐族と豹族のハーフ。獣人の血が濃いから私は獣化することができるわ。
私は狐族の血が濃いのか、獣化すると銀の毛色の狐になるの。光に反射してキラキラするからとても綺麗よ。
普通は竜人の血が入っていても竜族の特徴は現れないのだけど、私は先祖返りみたいで、首元に銀色の鱗も生えてくるわ。
竜人なら特徴が出るけど、竜人とのハーフだと特徴が出ないの。
血が薄すぎるのよね。
私はクォーターだからより血が薄い筈なのだけど、先祖返りのおかげで魔力量も多いし、竜族の特徴も出てるの。
と言っても獣化した時は毛が長すぎて鱗は見えないのだけどね。
第2夫人は人間だから、異母妹のリーフェは竜人と人間、人間のハーフよ。人間の血が濃すぎるし、獣人の血が入っているわけでもないから獣化はできないわ。
精霊の愛し子ってわかるかしら?
下級精霊、中級精霊、上級精霊、大精霊、精霊王がいる中で、大精霊以上から祝福を貰っているとそう呼ばれるの。
私は6属性の精霊王から祝福を貰っているわ。
乙女ゲームの中には私が精霊の愛し子だという設定はなかった気がしたのだけど。
やっぱり乙女ゲームの世界ではなくて、類似した世界なのかしら?
………コンコンコン。
「お嬢様、朝食の時間でございます」
そこでハッと我に返る。
今朝急に思い出したことを考えていたら、いつの間にか朝食の時間になっていたようだ。
……早く着替えて朝食を食べにいきましょう。
***
朝食の席に向かえば、お母様以外の全員が揃っていて、すぐに朝食が運ばれてくる。
「おはよう御座います。お父様、ロアナ様、リーフェ」
「ああ、おはよう」
「おはよう御座います!お義姉様!」
「……おはよう御座います。随分と遅い起床でしたのね。一体何をしていたのかしら?」
遅いと言ってもほんの数分遅れただけである。
わざわざ大袈裟にしないで頂きたいわ。
まぁ、言い返せば面倒くさいことになりそうだから何も言わないが。
「……申し訳ありませんわ。ロアナ様」
「……ふん。……これだからあの女の娘は」
最後の言葉は小声で言ったようだが、しっかり周りに聞こえている。
……自分の声量を考えないのだろうか?
それを聞いてお父様は………何も言わないわね。眉をしかめるくらいだわ。
……期待もしていないけれど。いつからか諦めたのよね。もうなんとも思わないわ。
それからは黙々と朝食を食べた。
リーフェは積極的にお父様と第2夫人に話しかけ、和気藹々と朝食を食べている。
私が朝食を食べ終えて部屋に戻ろうと立ち上がりかけたところで……。
「ああ、そういえばサフィー、そろそろ運命の番の匂いがわかるようになる時期だな」
「ええ、そうですわね」
そう、10歳と半年が経つと運命の番の匂いがわかるようになるのだ。
まぁ、ある一定の範囲にいなければわからないのだが。
「いいですね!私も運命の番に会いたいです!」
「そうね。リーフェはつい最近誕生日が来たから、あと半年よね」
「はい!楽しみです!」
相変わらず前向きな思考だが、運命の番に出会える確率はとても低い。
リーフェの話は軽くスルーして、今度こそ自分の部屋へ戻ろうと思ったところで……。
「ああ、サフィー。明日王宮でガーデンパーティーが王太子主催開かれる。それに参加するから準備しておきなさい」
お父様が珍しくいると思ったら、それが理由だったのか。
本当は行きたくない。
だが、しょうがない。行くしかない。
「……わかりました」
「お父様!私は⁉︎」
「ああ、リーフェも一緒だ」
「わーい!楽しみ!」
……元気で何よりだ。
「それでは私はこれで失礼します」
早急に立ち去るのが吉だろう。
***
自分の部屋へ戻ってきた。
ソファーへ座り、やっと一息つける。
「はぁ~」
明日が憂鬱である。憂鬱でしかない。
確か明日のガーデンパーティーが一番初めのイベントだった気がする。
王太子とヒロインの一番初めの出会いイベントで、庭園で話して恋に落ちるんじゃなかったかしら?
でもお互いに誰だか分からないまま立ち去ってしまうのよね。
王太子が呼ばれて、名乗る前に立ち去ってしまうはず。
なんで始めに挨拶するのに分からないのかしら?
……明日、何か起こるのかもしれないわね。
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俺様で自分勝手なキャラだったから好きじゃなかったの。
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顔は整っていてイケメンだとは思うけれど、私が好きなのは爽やかな青年、という感じの人なのよ。
シナリオではサフィーが王太子に一目惚れして、我儘を言って婚約者になるみたいだけど……私は絶対王太子の婚約者になんてなりたくないわ。
……どうにかしないといけないわね。
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