私と運命の番との物語

星屑

文字の大きさ
3 / 36
1章 運命の出会い

第1話 転生

しおりを挟む





朝起きたら、前世の記憶が蘇っていた。


それでは私の自己紹介を。


サーフィリア・ルナ・アイラック侯爵令嬢

サラサラな銀髪にブルーダイアモンド、サファイアのような深い輝きのある青色の右目とキラキラと輝くような金色の左目のオッドアイ。

瞳は大きく、うっすらピンクに色づいた唇と頬は可愛らしい。肌は透明感のある色白。

まさに絶世の10歳の美少女。


これが今世の私よ。


私は前世でOLをしていたの。

ただ、ブラックな企業に就職してしまって、残業も多かったわ。

ある日、深夜遅くに自宅へ帰っていたら、車に後ろから衝突されてそのまま死んでしまったみたいなの。正直、車にはねられた時に、やっとこれで解放されると思ってしまったわ。

疲労も凄かったし、毎日がいっぱいいっぱいでいつか破綻するってずっと思っていたの。でも、会社を辞めるわけにはいかなかった。

辞めてしまったら、私の居場所が無くなると思い込んでいたから…。
ただ、人に必要とされたかっただけなのよ。

仕事を押しつけられても、その人が頼ってくれた、私は必要とされている、私はいらない人間じゃないって思い込みたかっただけなの。

自分で自己満足に浸って、本当は必要とされているわけではなく、面倒事を押しつけられる、便利なヤツだと思われていることから目を背けていただけ。

自分で自分の価値を下げていたのよね。


今思えば、ということはたくさんあるけれど、転生することができたし、また新しい人生を穏やかに、幸せに過ごすことができれば良いと思っているわ。



……思い出したくは無かったけれど、思い出してしまったならしょうがないわ。

前世の記憶と共に、乙女ゲームのことも思い出したの。

この世界は乙女ゲームの世界、または類似した世界だと思うわ。

『あなたに永遠の愛を誓う』という名前の乙女ゲーム。

主なストーリーは、ヒロインが学園で王太子や騎士見習い、宰相の息子、侯爵令息、グランキール国の留学生達と触れ合って、笑いあり、涙あり、冒険ありの末に運命の人と結ばれるという流れになっているわ。

ちなみに、私が転生してしまったのは悪役令嬢。


何故よりにもよって悪役令嬢なのかしら?

この悪役令嬢、破滅エンドしかないのよ⁉︎

どのルートにいっても必ず断罪されて死ぬんだもの。


ヒロインが選択するルートによって、攻略対象の婚約者だったり幼馴染だったりするわ。

ヒロインを虐めたり、攻略の邪魔をするのよね。今の私はまったくそんなことをしようとは思っていないけれど。

どうぞご自由に、という感じだわ。

普通に寿命で死にたいわね。

ストーリーが進んでいくと必ず邪竜が現れて、その邪竜をヒロインが愛の力(笑)で浄化するの。


設定が壮大過ぎて笑ってしまったわ。

乙女ゲームにありがちなご都合主義よね。

……愛の力で浄化とか意味わからないもの。

そんなことができるなら、始めから邪竜が生まれていないはずよね。


それで、そのヒロインというのが私の異母妹なの。

リーフェ・ローナ・アイラック

ふわふわのローズピンクの髪にエメラルドのような透き通った緑色の目をした可愛らしさを詰め込んだような容姿。儚さもあり、守ってあげたくなる、らしい。

これは乙女ゲームの情報。

成長すれば変わるかもしれないけれど、今のリーフェは思い込みの激しい子よ。

頑固。

本当に頑固だし、儚さはわからないけれど、明るい性格をしているわ。

ポジティブ思考なのよね。


私とリーフェは異母姉妹。

お父様が浮気をしてできたのがリーフェ。

私とリーフェの誕生日は半年しか違わない。

それが意味することは、お父様とお母様が愛し合っていたのと同時期にお父様は他の女性とも愛し合っていたということ。


酷い裏切りよね。

お父様とお母様は恋愛結婚だった筈なのに。


その後、お母様はお父様のことが信じられなくなり、部屋に篭ったわ。10年間、お父様とは会っていないの。


……私にはマナーや教養を教えるために会ってくださっているけれど。


それも、お父様を見返すため。


貴方が浮気してできた子より私の子の方が賢いのよ、って示すため。


お父様はお母様と会うのが気まずくなり、仕事に逃げたわ。

私と会うのも気まずいのか、お父様とはあまり会わないの。


リーフェが生まれて我が家を訪ねてきたお父様の浮気相手は、第2夫人になったわ。

今は我が家で暮らしているの。

名前は、

ロアナ・ローズ・アイラック

ふわふわのワインレッド色の髪にブラウン色の瞳をしていて、ボンッキュッボンみたいな体型をしているわ。


侯爵家の女主人ではないのに、さも自分が女主人だというような態度でいるわ。

顔を合わせるたびに何か嫌味ったらしく言ってくるし、性格は傲慢でプライドが高く、私が自分の思い通りにならないと私の頬を打ってくるのよ。


……本当に嫌い。


私のお父様の名前は、

ロナウド・ロード・アイラック

ブラウン色の髪にエメラルド色の瞳をしているわ。

10年生きていて、ほとんど会っていないから性格はよくわからないわね。


お父様は竜人と人間のハーフで、お母様は狐族と豹族のハーフ。獣人の血が濃いから私は獣化することができるわ。

私は狐族の血が濃いのか、獣化すると銀の毛色の狐になるの。光に反射してキラキラするからとても綺麗よ。

普通は竜人の血が入っていても竜族の特徴は現れないのだけど、私は先祖返りみたいで、首元に銀色の鱗も生えてくるわ。

竜人なら特徴が出るけど、竜人とのハーフだと特徴が出ないの。

血が薄すぎるのよね。

私はクォーターだからより血が薄い筈なのだけど、先祖返りのおかげで魔力量も多いし、竜族の特徴も出てるの。

と言っても獣化した時は毛が長すぎて鱗は見えないのだけどね。


第2夫人は人間だから、異母妹のリーフェは竜人と人間、人間のハーフよ。人間の血が濃すぎるし、獣人の血が入っているわけでもないから獣化はできないわ。


精霊の愛し子ってわかるかしら?

下級精霊、中級精霊、上級精霊、大精霊、精霊王がいる中で、大精霊以上から祝福を貰っているとそう呼ばれるの。

私は6属性の精霊王から祝福を貰っているわ。

乙女ゲームの中には私が精霊の愛し子だという設定はなかった気がしたのだけど。


やっぱり乙女ゲームの世界ではなくて、類似した世界なのかしら?







………コンコンコン。



「お嬢様、朝食の時間でございます」



そこでハッと我に返る。

今朝急に思い出したことを考えていたら、いつの間にか朝食の時間になっていたようだ。


……早く着替えて朝食を食べにいきましょう。





***




朝食の席に向かえば、お母様以外の全員が揃っていて、すぐに朝食が運ばれてくる。



「おはよう御座います。お父様、ロアナ様、リーフェ」

「ああ、おはよう」

「おはよう御座います!お義姉様!」

「……おはよう御座います。随分と遅い起床でしたのね。一体何をしていたのかしら?」



遅いと言ってもほんの数分遅れただけである。

わざわざ大袈裟にしないで頂きたいわ。

まぁ、言い返せば面倒くさいことになりそうだから何も言わないが。



「……申し訳ありませんわ。ロアナ様」

「……ふん。……これだからあの女の娘は」



最後の言葉は小声で言ったようだが、しっかり周りに聞こえている。

……自分の声量を考えないのだろうか?


それを聞いてお父様は………何も言わないわね。眉をしかめるくらいだわ。

……期待もしていないけれど。いつからか諦めたのよね。もうなんとも思わないわ。



それからは黙々と朝食を食べた。

リーフェは積極的にお父様と第2夫人に話しかけ、和気藹々わきあいあいと朝食を食べている。

私が朝食を食べ終えて部屋に戻ろうと立ち上がりかけたところで……。



「ああ、そういえばサフィー、そろそろ運命のつがいの匂いがわかるようになる時期だな」

「ええ、そうですわね」



そう、10歳と半年が経つと運命のつがいの匂いがわかるようになるのだ。

まぁ、ある一定の範囲にいなければわからないのだが。



「いいですね!私も運命のつがいに会いたいです!」

「そうね。リーフェはつい最近誕生日が来たから、あと半年よね」

「はい!楽しみです!」



相変わらず前向きな思考だが、運命のつがいに出会える確率はとても低い。

リーフェの話は軽くスルーして、今度こそ自分の部屋へ戻ろうと思ったところで……。



「ああ、サフィー。明日王宮でガーデンパーティーが王太子主催開かれる。それに参加するから準備しておきなさい」



お父様が珍しくいると思ったら、それが理由だったのか。

本当は行きたくない。

だが、しょうがない。行くしかない。



「……わかりました」

「お父様!私は⁉︎」

「ああ、リーフェも一緒だ」

「わーい!楽しみ!」



……元気で何よりだ。



「それでは私はこれで失礼します」



早急に立ち去るのが吉だろう。




***




自分の部屋へ戻ってきた。

ソファーへ座り、やっと一息つける。



「はぁ~」



明日が憂鬱である。憂鬱でしかない。


確か明日のガーデンパーティーが一番初めのイベントだった気がする。

王太子とヒロインの一番初めの出会いイベントで、庭園で話して恋に落ちるんじゃなかったかしら?

でもお互いに誰だか分からないまま立ち去ってしまうのよね。

王太子が呼ばれて、名乗る前に立ち去ってしまうはず。

なんで始めに挨拶するのに分からないのかしら?

……明日、何か起こるのかもしれないわね。


正直言って、王太子は興味ないわ。

俺様で自分勝手なキャラだったから好きじゃなかったの。

金髪碧眼のザ、王子様という見た目をしていたから、好みじゃなかったのよね。

顔は整っていてイケメンだとは思うけれど、私が好きなのは爽やかな青年、という感じの人なのよ。

シナリオではサフィーが王太子に一目惚れして、我儘を言って婚約者になるみたいだけど……私は絶対王太子の婚約者になんてなりたくないわ。


……どうにかしないといけないわね。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】地下牢同棲は、溺愛のはじまりでした〜ざまぁ後の優雅な幽閉ライフのつもりが、裏切り者が押しかけてきた〜

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
悪役令嬢の役割を終えて、優雅な幽閉ライフの始まりだ!! と思ったら、なぜか隣の牢との間の壁が崩壊した。 その先にいたのは、悪役令嬢時代に私を裏切った男──ナザトだった。 一緒に脱獄しようと誘われるけど、やっと手に入れた投獄スローライフを手放す気はない。 断れば、ナザトは「一緒に逃げようかと思ったけど、それが嫌なら同棲だな」と言い、問答無用で幽閉先の地下牢で同棲が開始されたのだった。 全4話です。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。 女神『はい、あなた、転生ね』 雪『へっ?』 これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。 雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』 無事に完結しました! 続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。 よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

処理中です...