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1章 運命の出会い
第12話 お披露目パーティー、そして、決闘にすらならなかった…。
しおりを挟む結果、なんとか準備は間に合った。
だが、予想もしていなかった事が起こった。
なんと、番契約をしてから、私の体が急成長したのである。
今は侯爵家の屋敷にいて、お披露目パーティーの準備が終わったところだが、ここにくるまでの時間、ハラハラドキドキしっぱなしである。
まずドレスをなんとかギリギリまで調節し、髪型を体の年齢に合うように変えて、先程終了した。
まぁ、これでルドと並んだ時にお似合いに見えると思えば、よかったのかもしれない。
……実を言うと、まだこの姿になった事をルドに言っていない。
お互いに準備に忙しかったということもあるが、単純にビックリさせたくて精霊達にも伝えないようにお願いしている。
さて、そろそろルドが迎えにくる頃だろう。
どんな反応をするのか、楽しみである。
……コンコンコン。
「お嬢様、カイルラント侯爵がお越しです」
「今向かいます」
***
「ルド」
「フィ…ア…⁉︎」
ルドが振り向いて私を見た瞬間、目を見開いて驚愕している。
「どう…かしら」
体が急成長してから少し落ち着いたような声に変わった。身長と髪が伸び、体型も女性らしい丸みを帯びたものになり、落ち着いた雰囲気を纏っている。
「……とても…綺麗…だよ…。驚いて声がでないくらいに」
ルドが微笑みながら言った。
「ありがとう。ルドを驚かせたくて、黙ってたの。私自身も急に体が成長して驚いているわ」
「番契約をしたからかな?俺の歳に近い見た目になるように、成長したんだと思うよ」
「そうかもしれないわね。ルドと釣り合う見た目になれて嬉しいわ」
満面の笑みで言う。
「もう、そんな可愛いこと言って…。あー、今日のパーティー、フィアを他の男に見せたくないなぁ」
「ふふ、それは私もよ。こんなカッコいいルドを、他の人に見せたくないもの。今日は特にイケメンだわ」
「ふふ、ありがとう」
「もう、ここで話していてもしょうがないわ。早く会場に行きましょう?」
「そうだね。行こうか」
「他の令嬢に目移りしてはダメよ?」
これだけは言っておかなければならないと、ルドにお願いする。
「ふふ、それはフィアもだよ?」
お互いに微笑みながら、パーティーの開かれる王宮へ向かっていく。
***
一度そこに入れば、そこはまるで違う世界が広がっていた。
豪華なシャンデリアが光り輝き、会場には見事な装飾が施され、並んでいる料理は一流のシェフが作ったどれも美味しそうなもの。
デザートはキラキラと輝いている。
そして、そこにいる豪華な衣装を纏った貴族達……。
全てが夢のような世界だが、蓋を開けてみれば狐と狸のばかし合いである。
その中に今から入って行くのだと、深呼吸をし、気合いを入れ直す。
「ふふ、そんなに身構えなくても…」
「もう、そんなことじゃ貴族社会では生きていけないわよ?」
「精霊術で考えてること筒抜けだけどね」
「そうだけど、貴族的な駆け引きは負けられないわ。このくらいはルドに頼って欲しいもの」
「フィアにばかりまかせないけどね?とにかく今日は俺達のパーティーだ。せっかくだから、楽しんで行こう?」
「そうね、ルドと楽しくダンスが踊りたいもの」
そう言ってお互いに甘く微笑み合う。
***
私達が会場に入った瞬間、ものすごい視線の数が集まった。
《すごい見られているわね》
《予想はしてたけど、これほど見られるとは思ってなかったよ》
こういう時のことも考え、私達は念話の練習も少ししていた。
実際できると便利である。
なにせどこでも話をすることができるのだ。
そして国王陛下もお越しになり、ルドの功績が読み上げられた。
それについての褒賞も言い渡され、私達の婚約も発表された。
その後、私達はダンスを2曲ほど踊り、貴族達に挨拶をして回った。
挨拶にも一区切りがついたので、私は飲み物を取ってこようとルドの側を離れる。
***
フィアがルドの側へ戻ろうとすると、ルドの側に知らない令嬢がいて、令嬢がルドに話し掛けていた。
「ルド」
少々声が硬くなってしまった。
「……フィア‼︎やっと戻ってきた‼︎」
「ふふ、そんなに離れてないわよ?……ところで、そちらの御令嬢はどなた?」
冷たい視線をチラッと令嬢に向けると、
「……知らないよ?」
……まさかのルドも知らない人だった。
「……なっ‼︎失礼でしてよ⁉︎私は公爵令嬢ですのよ⁉︎」
「……だから?所詮公爵令嬢でしょ?自分が何か功績を残したわけでもないのに、何を偉そうに言っているの?」
「……なっ‼︎」
怒りで令嬢の顔が真っ赤になっている。
「クスッ……。淑女がみだりに大きな声を上げるべきではありませんわ。マナーがなっていないのではなくて?公爵令嬢様?」
少し挑発する様に言ってみる。
「~~~~~~ッ‼︎貴女だって侯爵令嬢でしょう?」
開き直って偉そうに言い放つ。
だが、私には精霊魔法という武器がある。
「ふふ、貴女は私に精霊魔法で勝つことができるのですか?」
「そんなの決まっているでしょう。私が勝つに決まっているわ‼︎」
「余程自身があるのですね」
「私は火の上級精霊から祝福を受けているのよ‼︎」
胸を張ってドヤ顔で言った。
「私は精霊の愛し子なの‼︎負けを認めなさい‼︎」
「でしたらやってみましょう?」
精霊の愛し子についての知識が足りていないようだ。
というか、精霊が重要な役割を果たしているこの世界で、常識であることを何故この国の人間達は知らないのか。
……本当に滅びそうだわ。
貴族がこれならば、貴族制度をなくした方がいいのではないか。
「いいわ!私が勝ったら私がドレッド様の婚約者になるわ!」
「何故急にそのような条件が出るのでしょう?それでは私が勝ったら私達に二度と関わらないでくださいませ」
「いいわ!今から始めましょう!」
「今から、ですの?」
「何か問題があって?」
「今はパーティー中で……」
「魔法の対決だし、結界を張れば建物に被害はないわ」
「分かりましたわ。それでは始めましょう」
公爵令嬢が国王陛下に許可を取りに行き、結界を張っている。
「フィア!なんであんな勝負なんか受けたの⁈」
「ルド、私は怒っているのよ。」
「えっ…」
「私のルドなのに…」
「もう!可愛いすぎ!怪我だけはしないでね?」
「わかったわ」
そして全ての準備が終わり、試合が開始される。
「ルールは、どちらかが戦闘を続けられない、または攻撃ができないと判断されるまでよ!審判は国王陛下にしていただけるわ!準備はよろしくて?」
「いつでもどうぞ」
辺りは鎮まり……。
「それでは開始!」
公爵令嬢が魔法を作り出す!……が、
「なっ…なんでよ!なんで魔法が発動されないのよ⁈」
「それは、私が精霊の愛し子だからですわ」
「何ですって⁈でも私も精霊の愛し子よ!」
公爵令嬢が喚き散らす。
辺りの貴族達も頷いているが、一つ勘違いをしている。
「皆様頷いていますが、精霊の愛し子の定義をご存知ですか?」
「そんなの、上級精霊以上からの祝福を貰った人に決まっているでしょう?」
「いいえ、違いますわ。下級精霊、中級精霊、上級精霊から祝福を貰う人はそんなに珍しくありませんのよ」
「そんなっ……。でもこの国には私を合わせて5人くらいしか上級精霊の祝福持ちはいないわよ⁉︎」
「ええ、そうでしょう。なにせ人間の国ですから。人間はあまり精霊から好かれないのですよ。……あまりにも内面が醜くて」
「それなら他の国は違うというの⁉︎」
「ええ、獣人の国では下級精霊の祝福を貰う人の方が少ないですし、竜族に限っては上級精霊以上の祝福を貰うのが当たり前みたいなものですからね」
「そういう貴女はどうなのよ!貴女はどの精霊から祝福を貰っているの⁈」
「私は……精霊王からですわ」
「はぁ⁉︎嘘でしょう⁉︎人間が精霊王から祝福を貰えるわけがないわ!」
「そう言われても…貰っているものは貰っているものですし…」
「じゃあ、見せてみなさいよ!」
「はぁ、しょうがないですね」
面倒臭いことこの上ないが、今後ルドにちょっかいを掛けてくる人を減らすためにはしょうがないか…。
「精霊王の皆様、私の声にお応えください」
すると辺りが光り輝き、6人の精霊王が現れた。
『あれ、サフィーちゃんどうしたの?』
光の精霊王の質問に対し、
「精霊王から祝福を貰っている証拠を見せろと言われましたの」
『それはまた…面倒臭い目に遭っているのぅ』
『なんでそんなことになるんだ?』
火の精霊王からの質問に、ここに至るまでの経緯を話した。
『サフィーが精霊王から祝福を貰っていることをこの国の者達は知らなかったのか?俺にはそっちの方が驚きなんだが』
「私が誰にも言わなかったからですわ。…誰にも聞かれなかったものですから…」
私が微笑みながら、少し寂しそうに言うと…。
「フィアのせいじゃないでしょ?侯爵がフィアに関わろうとしなかったからだよ。フィアは気にしなくていいんだよ」
ルドが優しく慰めてくれる。
「というか、精霊王から祝福を貰っていたら、普通にわかるしね」
「………?」
私が小首を傾げていると…。
「……ッ可愛い。っと、精霊王や大精霊から祝福を貰ってれば、必然的に魔力が高くなるし、見ようと思えば色が違うことが分かるんだよ」
「……色?」
「うん、フィアは白っぽい虹色だよ。6属性の精霊王から祝福を貰ってるからね。その中でも光属性が強いんじゃないかな」
「……凄いわね。流石ルド」
満面の笑みで褒めると…。
「~~~ッ反則!可愛いすぎ!」
「ふふ、大好きよ?」
「俺も大好きだよ」
辺り一帯に甘い空気が立ち込めた。
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