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EX. 悪役令嬢の濡れ衣を着せられた私の執事は前世からの恋人で、婚約破棄をした王子はその親友。
しおりを挟む私の名前は澄原由子。
ひょんな事で見知らぬ異世界に飛ばされてしまいました。
とは言っても、多くの世界を経験しました。それもひょんな理由で。
「はぁ・・・」
目を開け溜息を吐くと、そこは病院だった。これも何故かいつもの事、気が付いた時にはいつも病院や何かの事故にあってこうしてベッドの上にいる。
もちろんこの世界での記憶は持ってる、私は貴族の令嬢として生まれた。
妙な感覚に毎晩悩まされ続けいたが、その原因もようやく解消された。
前世の記憶。
正確に言うなれば多くの世界を渡り歩いてきた記憶が再び今の身体に宿ったというのが正しいと思う。
そう、私には・・・私達には目的がある。
その為に多くの世界を渡り歩く事になったのだ。
「お目覚めですか、お嬢様」
私が目を覚ました事に執事が声を掛ける。
執事、ではあるが執事では無い。今の私ならそれがわかる。
「そう・・・あなた、透だったのね」
「おぉ、"お前も"取り戻したか。お互い難儀だよな、ほぼ死に直面しないと記憶を取り戻せないって」
私の専属だった執事の透もまた記憶を取り戻したようで椅子に座って耽っていた。
私もまた同じ様に記憶の整理に勤しむ。
まず考える一番の事は、なんで私達はこんな死にそうになったかだった。
それは、私の行いが原因だと言われていた。
『ご令嬢よ! あなたの悪行、我々にはお見通しですぞ! 王子の婚約者だという事を利用し犯し続けた非道の数々。恥を知れぇい!! そうですよね王子!?』
私の婚約者、親の力で勝手に取り付けられた婚約。その相手は一国の第3王子、彼との結婚で貴族としての地位を更なるモノ、王族へと取り繕うとしていたのが発端。
そしてその王子の側近が言うように、私にはそんな極悪非道のような行いをしたという罪状を突き付けられたのであった。当然それはただの濡れ衣であるのは明らかだった。
だけど、当然のように私の話を聞く耳を持つ者は誰も居なかった、実の家族でさえ口を揃えて「姉の方が・・・」と死んだ姉を引き合いに出していた。
そんな中、唯一の私の味方だったのは言うまでも無く透・・・執事だった。
拘束されそうになった私を庇って救ってくれたのは記憶を取り戻す前の透だった。
お互い致命傷にまで
「指名手配・・・されってけど、これどうすんだよ」
「そんなの決まってるでしょ!!」
私達の目的は変わらないし、変えられない。きっとそれは透も同じだ。
綺麗なドレスに身を包む以前では考えられないような格好していても変わらない、それはタキシードのような正装。透のスラッとした身長に付きの良い筋肉、顔をキリッと整っており正直凄くカッコいいし凄く凛々しいし凄く・・・。
「ヤバいヤバい、この世界での私の変な妄想癖が出てしまってる」
「それって別にいつも通りじゃ」
「うっさいわね!!」
いつまでもベッドの上にいる訳にはいかない。
布団を退けてベッドから飛び降りる、地面に足が付いた途端に激痛が全身に走るが気合いで我慢する。
涙目になっている私を見て透は口に手を当てて笑い出す。
「で、よ。透、あの王子なんだけど」
「あぁ、俺もそう思う。お前の元婚約者・・・あれが恐らくそうだろう」
透は遠くを見つめるように窓の外を見上げる。私も透の隣で同じ空を見上げる。
そこに広がっているのは明るくて青い綺麗な空。
どの世界に言っても基本的には変わらない空。それは私達の願いと同じだと大それたことを感じてしまった。
それくらいの気持ち、という事だとも思う。
あの時の私はあまりにも弱かった。力も心も全てが弱かった。
生まれ変わったら"二人"と肩を並べられるくらい強くなりたいと思った。その為に今をしっかり噛み締めながら懸命に努力する。
きっとどれだけの世界を巡っても、どれだけ過酷な事があろうと。
私は、もう間違いない。間違ってはいけないと思うから。
「それじゃあ、あの馬鹿王子の目を覚まさせるか」
「うん、行こう」
そうして私達は再び歩む。
願いを叶える為に。
「待ってなさいよ!! 刻越!!!」
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