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8話
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「……らしい。って、なんでそんなに冷静なの!?」
顔色一つ変えないコウに、僕は爆発する。
「出入りしてるってことは、合鍵持ってるってこと? コウにはその『女の子』に心当たりはないの? 元カノとか家族とか親戚とか!」
矢継ぎ早な僕の問いに、コウは上目遣いに考えて、
「ないな」
「じゃあ、その人誰なんだよ? なんで今まで気づかなかったんだよ!?」
耳元で叫ぶ僕に、コウはちょっと煩そうに眉を顰めた。
「気配がなかったから」
「え?」
「俺がいる時には、家の中には一体だけ……『猫』の気配しか感じなかった。だからもう一人の存在には気づかなかった」
淡々と言う彼に、僕は唾を飲み込む。
コウは一匹狼の傭兵だけあって、索敵能力が高い。彼が感知できない存在が潜んでいるということは……。背中を冷たいものが伝う。
「もしかして、幽霊? コウの家、悪霊に取り憑かれてたりするの!?」
「いや、亡霊系の気配なら判る」
あっさり否定された。コウは対魔物戦の経験豊富だ。
「それじゃあ、女の子はコウのいない時間にだけ家に侵入してるのか。それって、普通に空き巣じゃない?」
「特に盗まれた物はない」
うーん、侵入者の目的が読めない。
「いっそのこと引っ越しちゃえば? ゴロツキを倒す猫とか正体不明の嫁とか。コウの家、明らかにお化け屋敷じゃん。そんな家で暮らすの怖くない?」
露骨に怯える僕に、コウは首を振る。
「今より良い物件を見つけるのは難しいからな」
フリーランスの傭兵は収入が安定しない上、仕事中に命を落とす危険も高い。賃貸人としては家を貸したくない相手だ。そういう事情は解るけど、
「だったら対策を立てないと。これ以上増えたらどうするの。自分の家を乗っ取られるのは嫌だろう?」
今こそ、自分の城を取り戻す時だ!
鼓舞する僕に、
「対策か……」
コウは暫し伏し目がちに思案して……不意に閃いたとばかりに顔を上げた。
「家賃を何割か負担させるのはどうだろう?」
「……」
なんで謎の存在と共生する方向で調整しようとしてんだよ?
顔色一つ変えないコウに、僕は爆発する。
「出入りしてるってことは、合鍵持ってるってこと? コウにはその『女の子』に心当たりはないの? 元カノとか家族とか親戚とか!」
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「ないな」
「じゃあ、その人誰なんだよ? なんで今まで気づかなかったんだよ!?」
耳元で叫ぶ僕に、コウはちょっと煩そうに眉を顰めた。
「気配がなかったから」
「え?」
「俺がいる時には、家の中には一体だけ……『猫』の気配しか感じなかった。だからもう一人の存在には気づかなかった」
淡々と言う彼に、僕は唾を飲み込む。
コウは一匹狼の傭兵だけあって、索敵能力が高い。彼が感知できない存在が潜んでいるということは……。背中を冷たいものが伝う。
「もしかして、幽霊? コウの家、悪霊に取り憑かれてたりするの!?」
「いや、亡霊系の気配なら判る」
あっさり否定された。コウは対魔物戦の経験豊富だ。
「それじゃあ、女の子はコウのいない時間にだけ家に侵入してるのか。それって、普通に空き巣じゃない?」
「特に盗まれた物はない」
うーん、侵入者の目的が読めない。
「いっそのこと引っ越しちゃえば? ゴロツキを倒す猫とか正体不明の嫁とか。コウの家、明らかにお化け屋敷じゃん。そんな家で暮らすの怖くない?」
露骨に怯える僕に、コウは首を振る。
「今より良い物件を見つけるのは難しいからな」
フリーランスの傭兵は収入が安定しない上、仕事中に命を落とす危険も高い。賃貸人としては家を貸したくない相手だ。そういう事情は解るけど、
「だったら対策を立てないと。これ以上増えたらどうするの。自分の家を乗っ取られるのは嫌だろう?」
今こそ、自分の城を取り戻す時だ!
鼓舞する僕に、
「対策か……」
コウは暫し伏し目がちに思案して……不意に閃いたとばかりに顔を上げた。
「家賃を何割か負担させるのはどうだろう?」
「……」
なんで謎の存在と共生する方向で調整しようとしてんだよ?
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