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9話
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いつもの酒場のいつものカウンター席。
強めの雑穀酒を呑みながら、コウが言う。
「俺は汚れた服はカゴに入れておいて、何枚か溜まったら纏めて洗うことにしているんだが――」
うんうん、一人暮らしの洗濯事情なんて、そんなもんだろう。
「――今日の夕方、家に帰ってみたら、洗濯して畳んでおいてあった」
キタ、コウん家の怪奇現象。
「あと、部屋の中がなんだかいい匂いがした」
「それって、猫の仕業? それとも、見えないコウの嫁がやったの?」
「さあ?」
ドン引きな僕に、コウは無表情で首を傾げる。
「ってかさあ、嫌じゃないの? 勝手に室内を漁られて、洗濯物触られるなんて。僕には絶対無理なんだけど!」
至極真っ当な僕の主張に、コウは上目遣いに考えて、
「別に迷惑してない」
「はあぁぁ!?」
危機感のない傭兵の態度に憤慨する。
「コウ、正気なの? この異常事態をのうのうと受け入れるつもり!? だから得体の知れないモノに付け込まれるんだよ!」
「のうのうとしているわけではない。だから……」
叱り飛ばす僕に、コウはきっぱりと、
「『一方的に世話になるつもりはないぞ』という意思表示として、茹でたササミを供えてきた」
……。
「はぃ?」
僕は停止しそうになる思考をなんとか働かせ続ける。
「え? それは、洗濯への謝礼なの? 誰に? 猫に? 女の人に?」
「どちらかは分からんが、どちらにでも食べられそうな物をと思って」
「……」
……すでに相互扶助関係が成立してるじゃん……。
僕は許容範囲の広すぎる友人に脱力した。
後日、聞いた話によると。
ササミは綺麗に無くなっていて、お皿も洗ってあったそうな。
強めの雑穀酒を呑みながら、コウが言う。
「俺は汚れた服はカゴに入れておいて、何枚か溜まったら纏めて洗うことにしているんだが――」
うんうん、一人暮らしの洗濯事情なんて、そんなもんだろう。
「――今日の夕方、家に帰ってみたら、洗濯して畳んでおいてあった」
キタ、コウん家の怪奇現象。
「あと、部屋の中がなんだかいい匂いがした」
「それって、猫の仕業? それとも、見えないコウの嫁がやったの?」
「さあ?」
ドン引きな僕に、コウは無表情で首を傾げる。
「ってかさあ、嫌じゃないの? 勝手に室内を漁られて、洗濯物触られるなんて。僕には絶対無理なんだけど!」
至極真っ当な僕の主張に、コウは上目遣いに考えて、
「別に迷惑してない」
「はあぁぁ!?」
危機感のない傭兵の態度に憤慨する。
「コウ、正気なの? この異常事態をのうのうと受け入れるつもり!? だから得体の知れないモノに付け込まれるんだよ!」
「のうのうとしているわけではない。だから……」
叱り飛ばす僕に、コウはきっぱりと、
「『一方的に世話になるつもりはないぞ』という意思表示として、茹でたササミを供えてきた」
……。
「はぃ?」
僕は停止しそうになる思考をなんとか働かせ続ける。
「え? それは、洗濯への謝礼なの? 誰に? 猫に? 女の人に?」
「どちらかは分からんが、どちらにでも食べられそうな物をと思って」
「……」
……すでに相互扶助関係が成立してるじゃん……。
僕は許容範囲の広すぎる友人に脱力した。
後日、聞いた話によると。
ササミは綺麗に無くなっていて、お皿も洗ってあったそうな。
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