転生者の物語

omot

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最終章

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「おーい。」
後ろから声が聞こえた。
聞きなれた懐かしい声だった。
「父さん?」
僕は後ろを振り返った。
そこには、この世界の父さんと母さんそして、兄さんがいた。
父さんと母さんは昔と全く変わっていなかった。
兄さんは、昔の記憶が曖昧なのもあるが別の人になったみたいで、昔の意地悪な兄さんの面影の無い穏やかな顔つきになっていた。
そうだよな、あれからもう数十年経ったもんな。
僕はしみじみと昔のことを思い出した。
三人は僕の傍に駆け寄ると無言で僕を抱きしめた。
少しの間そうしていた。
その後三人は僕から離れると、僕の目をじっと見つめた。
また沈黙が続いた。
「ごめん。」
その沈黙を破ったのは兄さんだった。
「お前は知らなかったかもしれないけど、お前がいなくなる前に国から徴兵令が出ていたんだ。魔王を倒すための兵士を集めるために。お前は成績もよくていい子だったから、このままだと戦いに行かされる、そう思って色々したんだ。でも、俺がお前に嫌われるよりも、お前が戦いに行って死んでしまうほうが俺は嫌だったから...ごめん。」
兄さんは僕から視線をそらした。
「ははは。」
僕は思わず笑ってしまった。
頬に生暖かい水が触れた。
僕は無意識に涙を流していた。
僕は、幸せ者だったんだな。
こんなに僕のことを思ってくれている人が傍にいたんだな。
父さんが僕の頭を無言で撫でてくれた。
母さんは僕の頬に伝う涙を拭ってくれた。
そうか、僕は、僕の家族はこの人たちなんだ。
「記憶操作。」
今なら大地の言っていたことが理解できる。
僕はもう前に進まないと。

僕は、前世の記憶を全て消し去った。
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