異世界から転生

omot

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昼飯

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ユーゴが作ってくれた昼食は、野菜炒めだった。
僕らは、無言で食べた。
「ごちそうさまでした。」
僕がご飯を食べ終わるのを見計らって、ユーゴが話始めた。
「俺も孤児だったんだ。産まれてすぐ、親に捨てられて施設で育った。」
僕はどう反応すればいいかわからず、黙っていた。
「だから、俺と同じ境遇の子供たちのためにこの町にいる。親のいない子供たちは、危険な組織に無理矢理入れられて、死ぬまでその組織に拘束されるんだ。この町では。俺は、そうならないように子供たちを守ってやるんだ。」
危険な組織ってなんだろう。
僕は思ったが、口には出さなかった。
「さっきの凶器を持ってた男たちは、組織の人間さ。たぶん。組織からすれば、使い勝手の良い子供たちを連れていくのに、俺は邪魔だからな。」
「そうなんだ。」
僕は、それ以上言葉が出なかった。
「でも今良いことをすれば、きっと来世では異世界に行ける。そして、チート級のスキルとかを貰って、めっちゃ可愛いエルフと出会って、幸せな家庭を築ける。」
えっ。
僕は、自分の耳を疑った。
「異世界に行きたいの?」
「うん。楽しそうだし。」
「そのために子供たちを助けてるの?」
「いや、そんなわけないだろ。とは、言い切れないけど。」
まじか、大丈夫かよ。このおっさん。
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