ときめき部~無気力な日々が変るまで~

オリオン

文字の大きさ
5 / 23
第1章、ときめきを探そう

憂鬱な月曜日

しおりを挟む
ときめき部の休日活動は土曜日だけらしい、日曜日に召集はなかったからな。
俺は日曜日の間、やることなんか無いから部屋でボーッとしていた。
そして、月曜日、またクソみたいな学校が始まる。

「・・・・はぁ」

俺は席に座り、退屈ながら黒板を見た、でも、ただ見るだけだ。
勉強をしようとは一切思わない、興味がないからな。
なんせ勉強なんぞ殆ど無価値だ、基本さえ知っていれば生きていくことは出来る。
正直、理科、英語、歴史は何の価値も無いんじゃないか? と思っている。
他にも無駄に難しい数学とか、漢文とか生きていくのに必要の無い物ばかりだ。
そんな物を真剣に習うつもりにはならない。

「陽志、随分と暇そうじゃないか」
「うっさい」

俺の後ろに居る幼馴染みの高志こうしの奴が話しかけてきた。
こいつは何かと俺に話しかけてくる、いつも無視しているのによ。

「全くよ、相変わらず連れないな、そんなんじゃ、彼女出来ねぇぞ?」
「はん、他人の心配してる場合か? お前も彼女いないのによ」
「うぐ、相変わらずお前は平気で傷口を抉ってくるな」
「こら、そこ! 話してるんじゃあない!」

あぁ、何か知らないがチョークが飛んできた、普通投げるか?
全く、この先生は無駄なところばかり力を入れてやがる。

「はぁ」

俺はそのチョークを少しだけ顔を動かし回避した。

「は!? うっつぁ!」

俺が回避したチョークは当然後ろの方で座っていた間抜けに当たる。
回避も出来なかったようだ、これ位回避できるだろうに。

「ちぃ、外したか!」
「いや、直撃でしたけど・・・・おー、痛ぇ」
「あははは!」

教室中に大きな笑い声がこだました、周りの生徒にはこの状況が面白かったようだ。
俺としては面倒くさいだけなんだけど、分からないな。

「静かにしろ! ほら! 授業の続きをするぞ!」
「はい」

先生はそのまま授業を再開した、まぁ、金を貰ってるんだからな
これ以上脱線する訳にはいかないのかねぇ。

「せめて、謝って欲しかったんだけどなぁ」
「避けられなかったお前が悪いんだ」
「相変わらず優しさの欠片も無いな」
「誰かに掛ける優しさなんざ持ち合わせちゃいねー」
「また食らいたいのか!」
「いえ! 滅相もありません!」

チョークを握った先生に怯えた高志が大きな声で答えた。
俺は一切声を出さない、面倒くさいし。
そして、そんな調子で授業が終わる、昼食の時間だ。

「飯か」

俺は今日の昼食、菓子パンを鞄から出した。
俺は弁当とかはない、母さんが病気だからな、弁当なんて作れないって。
まぁ、食堂に行けば良いのだろうが、金も掛るからな。
別に父さんがいないとか、そんなんじゃないが、食べ物に無駄に金を掛けるのは無駄だからな。
別に菓子パンで腹も膨れるし、それだけで十分だ。

「今日もパンか? 食堂行こうぜ?」
「いやだね、金掛けるの面倒だし」
「たまには美味いもん食った方が良いんじゃね?」
「必要ない、腹が膨れればそれで良い、それだけで十分だからな」
「・・・・・・そうか」

高志はそう言って、教室から出て行った。
何だかんだであいつも世話焼きだな、俺の事なんざどうでも良いだろうに。
赤の他人をそんなに気に掛けるなんざ無意味だって言うのにさ。
俺はそのまま菓子パンを教室で食べることにした。
そして、菓子パンももう少しで食べ終わると思った頃だった。

「ほらよ」
「あ?」

購買から帰ってきたらしい高志が俺に焼きそばパンを渡してきた。

「何だよ」
「たまには贅沢しろよな、ま、安心しろよおごりだから」
「お前は世話焼きだな、俺の事なんてどうでも良いじゃないか」
「はぁ、お前ってあれだよな、馬鹿だよな」
「馬鹿で結構」

俺の返事にあいつは頭を抱え、ため息をついた。
全く、余計なお世話ばかり焼きやがる。

「まぁ、食えよ、折角買ってやったんだからよ」
「分かったよ、折角貰ったんだからな」

仕方ない、渡された以上は食うか。
・・・・あ、美味いな、こんな感覚、俺は前に1度体験したっけ。
土曜日、初めてクレープを食ったときと同じ感覚だな。
どうでも良いと思っていた物が意外と美味しいって。

「ほれ、美味いだろ? ここは焼きそばパンは異常に美味しいからな」
「そうだな」
「どうだ? たまには贅沢するのも良いんじゃね?」
「・・・・そうでもない、贅沢なんて無意味だ」
「無意味って良く言うよな、お前は」
「本当の事だ」
「やれやれ、少しは意味を考えりゃ良いのに」
「興味無いんだ、興味が無い物を考えるのは面倒くさい」
「はぁ、そうかい」

やはり最後にそう言いのこし、あいつは自分の焼きそばパンを一気に食べた。
そして、その日の放課後、普段なら速攻で帰るのだが。

「やっほ、陽志君、来たね」
「一応来ますよ」

例え面倒でも、やると決まったことはやらないといけない。
俺の親父の言葉だ、面倒でも決めた以上はやれ、くだらないとは思うが
自分で選んだことはやらないとな。

「それじゃあ、今日は良い報告があります!」
「何ですか?」
「はい! 何と部員が増えます!」
「ど、どうも」

部室には昨日の女の子が座っていた、そう言えば後輩だったな。
何だ、結局あの後入る事にしたのか、物好きだな。
こんなときめきを探そうなどと言う訳が分からない部活に参加する何てよ。

「はい! 今日から恋ちゃんも部員! いやぁ、賑やかになったね!
 最初は3人だけだったのに、今では5人! いやぁ、嬉しい物だねぇ」
「喜ぶ要素なんてあるんですか?」
「同じ目標を一緒に追いかける人が増えるって嬉しいじゃん?」
「そうですか? 全くくだらないと思うんですけど」
「ふふふ、そんな事を言えるのも今のうち、絶対に理解して貰うんだからね!」

そう簡単にこの人の思想を理解できるとは思わないがな。
完全に俺とは性格も違うし、物事の捉え方も違う。
俺は何かを楽しいとは思わないが、この人は全てを楽しいに昇華してそうだし。

「まぁ、どうでも良いんですけど、とりあえず平日の活動ってどうするんですか?」
「そうだなぁ、月曜日は日曜日に何をしたかをお互い話し合うの
 そうすればさ、楽しい事を共有できるからね!」

あぁ、だから日曜日は部活がないのか、話の種を作るための日だから。

「因みに私は! 散歩をしていたら躓いて大きな犬にダイブしたよ!
 そして、追いかけ回されて、また転けて危うく車に轢かれそうになったけど
 何とか車が止まってくれて大事には至らなかったよ、いやぁ、運が良いよね」

う、運が良い? いやいや、どう考えても超不運じゃないか。
散歩をしていただけで犬に追いかけ回されて車に轢かれ掛けた?
ど、どんな休日だよ、それを最後に運が良かったって、どんだけだよ!

「え、えっと、それは運が良いと言うより、運が悪いでしょう?」

俺と同じ事をあの後輩の女の子も思っていたようだった。
そりゃあ、どう考えてもそう思うだろうよ。

「そうかな? 事故に遭わなかっただけ運が良かったと思うよ?」
「どんだけポジティブなんですか」

ここまで前向きだと絶対に生きていくのが楽しいだろうな。
どんな不運だろうと幸運と思える能力って凄いし。

「まぁ、それはいつもの事だ、次は私だな、私はそうだな
 日曜日は家の弓道室で弓道をしていた、3本中2本は真ん中に当たったんだ
 もう少し精進しないとな」
「い、家の弓道室?」

しれっととんでもない事を言ったぞ、何だよ家の弓道室って!

「あぁ、瑠衣ちゃんは超が付くくらいのお金持ちなの」
「そ、そうなんですか!?」
「そうそう、家もとっても大きいしね、あ、お父さんはどんなお仕事だっけ?」
「えっと、馬主? いや、夜須菜財閥の会長か? いや、違うな
 ・・・・あぁ、そうだそうだ、農家だな、いつも家で畑仕事をしているからな」
「は? 馬主? 会長? え!?」

えっと、他の2つは恐ろしくヤバそうなのに、最後の農家って何だ!?
一気にグレードが下がったぞ!? 何で農家!? いやまて
そもそも、そんなお嬢様がどうしてこんな高校に!?

「瑠衣ちゃんのお父さんは農家が本業らしいんだ、財閥の会長さんと馬主さんは趣味だって
 前に話した事があるけど、そんな事を言ってたよ」
「え!? い、いや、そもそも、そんなお嬢様がどうしてこんな高校に!?」
「それはだな、私がお嬢様高校なんて堅苦しい場所に行きたくなかったからだ
 まぁ、この高校も窮屈だったがな、先生も同級生も固まってな
 だが、香苗と小菜だけは普通に接してくれたんだ、それが嬉しくてな」
「どうしてそんなお嬢様に気安く話せるんですか!?」
「え? 同じ学年の子に遠慮する必要ってあるの?」

あぁ、そういう感じの奴か、そう言うお嬢様とかそう言った物に無関心なタイプだ。
社会に出たりしたら上司とかに文句言われそうな考え方をしているな。

「まぁ、正直お金があるから偉いとか、そんな事思ってないし~
 大切なのはお金じゃなくてどれだけ凄いことをしたかだし~
 て言うか、同じ人間相手に遠慮するなんて馬鹿らしいし~
 あ、でも、流石に先輩には敬語を使ってるよ、下手な敬語ってよく言われてたけどね!」

香苗先輩は両手を組んで、ドヤ顔でそう言い放った。
何処で自慢げになったんだ? 敬語を使ってるって所か?
そんな当たり前の事で得意げにされても困るんだけどな。

「それじゃあ、今度は小菜ちゃん、何かあった?」
「えっと、私はね、新メニューに挑戦したんだけど、失敗しちゃって」
「どう失敗したの?」
「えっと、塩の蓋が開いてドボッと掛っちゃって、しょっぱくなっちゃったんだ」
「蓋をしっかりと確認しなかったからだね」
「うん、気を付けるよ」

小菜先輩は意外とドジな所があるんだな、予想外だ。

「じゃあ、今度は陽志君! 日曜日何した!?」
「寝てただけです」
「え? そ、それだけ? 何かゲームやったとかは?」
「ありません、ただ寝てただけです」
「・・・・よ、よく寝れた?」
「はい、グッスリでした」

日曜日はいつも以上によく寝れたからな、体もしっかり休まった。

「じゃあ、恋ちゃんは?」
「お家で勉強してました」
「えっと、それだけかな?」
「あ、あと、ネットサーフィンをして、楽な死に方と言うサイトを見付けました」
「えぇ!? ど、どういうことかな!?」
「練炭自殺って楽に死ねるらしいです」
「い、いや、どうせ死ぬなら、孫に囲まれて安らかな顔で死んだらどうかな?」
「そもそも、練炭自殺が楽だと言うのは迷信だ、苦しいらしいぞ」
「なんでそんな事知ってるのかな!?」
「じゃあ、やっぱり飛び降りが楽なのでしょうか」
「だからさ! 孫に囲まれて天寿全うしてから安らかに死のうって!」
「「いや、長いし」」

おぉ、不思議なことにこの子とハモったぞ。

「・・・・ふふ、し、仕方ないね、こうなったら! 私がまとめて救ってみせるからね!
 その歪んだ考え、私が正してあげる! 死んじゃうことじゃなくて
 ときめきを探す事や楽しい事を考えるようにしてみせる!」

どうしてか知らないが香苗先輩の闘志に火が付いたようだった。
どうしてこの人がこんなにやる気を出しているんだ? 訳が分からない。

「さて、それじゃあ、日曜日の話はお終い、それじゃあ、活動を始めるよ!」

そして、すぐに切り替え、活動開始の合図を俺達に送った。
平日は何をするのか、それは分からないが、まぁ、やるかな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...