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第一章
二十話 悪行
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「……っ、ナガッチ」
きつく睨みつける雲斎にナガッチは薄ら笑いを浮かべる。学校で敵意を剥き出しにしてるその様子はとても珍しいものだった。拳を強く握りしめ対等する二人の開戦のスタートは、惜しくも嫌な方から開かれる。
「雲斎、貴方が誰かと来るなんて意外やな。あーし以外とはつるめない人間だと勝手な偏見を抱いていたことに謝らなあかんなあ」
限りなく嫌味っぽく告げるナガッチに、体が下に出てしまう雲斎。悔しそうにグッと視線を下げ彼女は後攻を開始する。
「御託はいい。それより、貴方がまだアタシに話しかけてくるなんて異様な光景ね」
「少し気になることがあってな」
そう言う彼女の視線は、俺に向いてきた。 こいつと話す内容なんて朝っぱらで終了している、そう判断する俺は不思議と顔を曇らせた。
「誰とでも喋れるのは一種の才能だと思うが、、西岡は知っとるか」
「……ああ?」
「そこにいるやつはな、私の友達にとんでもない行為を行ったんや!」
声に合わせて指差すナガッチの人差し指の先には、………キョトンとしてぼんやりと佇む篠崎さん。
ざわざわと外野がマークを付けだして、一斉に教室中が焦点を集める状況下の中、彼女だけは自分が傾注を拾っているのを看取しない。
俺が目先で促して、やっとワンテンポ遅れてそれっぽい動作を表した。
「ん、……私?」
「そうや!!」
めぼしい反応が得られなかったからか、幾ばくか覇気が抑えめになった。「なんか調子狂うな」と聞こえぬ程度呟くが、気にせず大袈裟に手振りをつけてこと顕す。
「篠崎さん。お前は最低な行いをしとる」
「まあ、どんな」
「ことをしたの、お嬢」
―――取り巻きうざい。確実にセリフを分けるないだろ。
俺のツッコミは届かない。彼女たち二人の声が聞けてホッとしたのか、仰々しくナガッチは口述する。
「あーしの親友、那覇士の家庭事情を散々馬鹿にした上泣かせたんや。残虐にも程がある!」
「ひどーい!!」
「人としてあるまじき行為ね!」
教室全体に響く声量で言った彼女たちの文言に、クラス中が困惑した空気に取り憑かれる。
「え、嘘。篠崎さんがそんなことするなんてー」
「マジかよ、いつもあんな静かな人が」
「でもあれじゃね、 ナガッチの言う話だし」
「確かにあり得ない話じゃないな。雲斎の時といい不運すぎるだろ」
「雲斎もそうだったからな。一緒に来てることだし篠崎さんだって嫌がらせでもしてるんじゃないか」
「篠崎さんサイテー、ナガッチと那覇士さん可哀想!」
じわじわと音波の如く広がるマイナス意見に俺は唖然とする。
―――まずい、このままじゃ、、
篠崎さんがクラスに馴染めなくなる。
『雲斎さんは長山グループで唯一まともな存在だよ。二年生に進級する付近で何かあったらしくて現状一人でいることが多いけど』
雲斎さんは訳あって友達が減ったと濁していた。中谷のこのセリフが鍵となるならナガッチ関係で何かしらの問題を生んだのではないだろうか。恐らく、その節もこうやってクラスメイトにばら撒いたのかもしれない。あれだけ、印象の良いナガッチのことだ、疑いなく大勢が信じるだろう。
「なるほど、見事な計略だな」
「……中谷」
耳元で優しく話すのは俺の一番の友人、中谷。おちゃらけな態度とは裏腹に頭は決して悪くない。
「ここで篠崎さんを潰し、付き従う理由の読めない雲斎さんをだしにして二人の一般的な好感度を格下げする。そうすることで、ライバルを減らす。なるほど、うまい具合の強硬手段だな」
「何の為にこんなことを…?」
「そりゃあ自分一人を見てほしいからなあ」
「誰に?」
「はぁ、だめだこりゃ」
両手でやれやれと形容する中谷に、俺は意味が分からないため一度視線を外す。強硬手段と言いつつ、中谷がナガッチに対して悪感情を抱いていないのも納得できない。
俺は未だに黙ったまま立ち尽くす一人の女子生徒に立ち寄る。
「大丈夫か…?」
「………うん」
泣きそうな篠崎さんの頭に手を置き、俺は深く息を吐く。
嘘八百もいいところ。那覇士の家庭事情を馬鹿にしたと言っていたが、知らなかっただけでそれに気付かず泣かせたのは仕方ないはずだ。それに謝る予定だってあったのに、此処でクラス大っぴらに暴露して誰が得をする?
面倒くさく拗らせただけ。って言うよりどうしてナガッチが知っているんだ。もしかして朝話してた辺り那覇士さんが言ったのか。
―――俺のせいか? 俺が篠崎さんと教室で会話したから、いやでも会話しただけでなんでこんなことになるんだ?
少し離れた席に方向を一致させる。クラスメイトがひそひそと情報を共有する取り組み最中、那覇士はポツンと単独で、頭を俯けていた。
ナガッチは篠崎さんと俺を拝見しながら不機嫌そうに留まっている。
「どうして……」
キンコーン、カンコーン。
ホームルームのチャイムが長い間、耳にこびり付いていた。
*****
〈謎の二人組〉
「あの空間、…少々厄介じゃな」
「人を貶めることに使ってる時点でもう確保していいんじゃない?」
「これ以上行動を起こすのならのぉ。今日の下校あたりにでも持ちかけるか」
「強硬手段は?」
「…上からの指示がないからのぉ」
きつく睨みつける雲斎にナガッチは薄ら笑いを浮かべる。学校で敵意を剥き出しにしてるその様子はとても珍しいものだった。拳を強く握りしめ対等する二人の開戦のスタートは、惜しくも嫌な方から開かれる。
「雲斎、貴方が誰かと来るなんて意外やな。あーし以外とはつるめない人間だと勝手な偏見を抱いていたことに謝らなあかんなあ」
限りなく嫌味っぽく告げるナガッチに、体が下に出てしまう雲斎。悔しそうにグッと視線を下げ彼女は後攻を開始する。
「御託はいい。それより、貴方がまだアタシに話しかけてくるなんて異様な光景ね」
「少し気になることがあってな」
そう言う彼女の視線は、俺に向いてきた。 こいつと話す内容なんて朝っぱらで終了している、そう判断する俺は不思議と顔を曇らせた。
「誰とでも喋れるのは一種の才能だと思うが、、西岡は知っとるか」
「……ああ?」
「そこにいるやつはな、私の友達にとんでもない行為を行ったんや!」
声に合わせて指差すナガッチの人差し指の先には、………キョトンとしてぼんやりと佇む篠崎さん。
ざわざわと外野がマークを付けだして、一斉に教室中が焦点を集める状況下の中、彼女だけは自分が傾注を拾っているのを看取しない。
俺が目先で促して、やっとワンテンポ遅れてそれっぽい動作を表した。
「ん、……私?」
「そうや!!」
めぼしい反応が得られなかったからか、幾ばくか覇気が抑えめになった。「なんか調子狂うな」と聞こえぬ程度呟くが、気にせず大袈裟に手振りをつけてこと顕す。
「篠崎さん。お前は最低な行いをしとる」
「まあ、どんな」
「ことをしたの、お嬢」
―――取り巻きうざい。確実にセリフを分けるないだろ。
俺のツッコミは届かない。彼女たち二人の声が聞けてホッとしたのか、仰々しくナガッチは口述する。
「あーしの親友、那覇士の家庭事情を散々馬鹿にした上泣かせたんや。残虐にも程がある!」
「ひどーい!!」
「人としてあるまじき行為ね!」
教室全体に響く声量で言った彼女たちの文言に、クラス中が困惑した空気に取り憑かれる。
「え、嘘。篠崎さんがそんなことするなんてー」
「マジかよ、いつもあんな静かな人が」
「でもあれじゃね、 ナガッチの言う話だし」
「確かにあり得ない話じゃないな。雲斎の時といい不運すぎるだろ」
「雲斎もそうだったからな。一緒に来てることだし篠崎さんだって嫌がらせでもしてるんじゃないか」
「篠崎さんサイテー、ナガッチと那覇士さん可哀想!」
じわじわと音波の如く広がるマイナス意見に俺は唖然とする。
―――まずい、このままじゃ、、
篠崎さんがクラスに馴染めなくなる。
『雲斎さんは長山グループで唯一まともな存在だよ。二年生に進級する付近で何かあったらしくて現状一人でいることが多いけど』
雲斎さんは訳あって友達が減ったと濁していた。中谷のこのセリフが鍵となるならナガッチ関係で何かしらの問題を生んだのではないだろうか。恐らく、その節もこうやってクラスメイトにばら撒いたのかもしれない。あれだけ、印象の良いナガッチのことだ、疑いなく大勢が信じるだろう。
「なるほど、見事な計略だな」
「……中谷」
耳元で優しく話すのは俺の一番の友人、中谷。おちゃらけな態度とは裏腹に頭は決して悪くない。
「ここで篠崎さんを潰し、付き従う理由の読めない雲斎さんをだしにして二人の一般的な好感度を格下げする。そうすることで、ライバルを減らす。なるほど、うまい具合の強硬手段だな」
「何の為にこんなことを…?」
「そりゃあ自分一人を見てほしいからなあ」
「誰に?」
「はぁ、だめだこりゃ」
両手でやれやれと形容する中谷に、俺は意味が分からないため一度視線を外す。強硬手段と言いつつ、中谷がナガッチに対して悪感情を抱いていないのも納得できない。
俺は未だに黙ったまま立ち尽くす一人の女子生徒に立ち寄る。
「大丈夫か…?」
「………うん」
泣きそうな篠崎さんの頭に手を置き、俺は深く息を吐く。
嘘八百もいいところ。那覇士の家庭事情を馬鹿にしたと言っていたが、知らなかっただけでそれに気付かず泣かせたのは仕方ないはずだ。それに謝る予定だってあったのに、此処でクラス大っぴらに暴露して誰が得をする?
面倒くさく拗らせただけ。って言うよりどうしてナガッチが知っているんだ。もしかして朝話してた辺り那覇士さんが言ったのか。
―――俺のせいか? 俺が篠崎さんと教室で会話したから、いやでも会話しただけでなんでこんなことになるんだ?
少し離れた席に方向を一致させる。クラスメイトがひそひそと情報を共有する取り組み最中、那覇士はポツンと単独で、頭を俯けていた。
ナガッチは篠崎さんと俺を拝見しながら不機嫌そうに留まっている。
「どうして……」
キンコーン、カンコーン。
ホームルームのチャイムが長い間、耳にこびり付いていた。
*****
〈謎の二人組〉
「あの空間、…少々厄介じゃな」
「人を貶めることに使ってる時点でもう確保していいんじゃない?」
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