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side・神無月シュウゴ
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「よっ」
毎度毎度、鍵のかかった西館の屋上を得意のピッキングで入って歌姫に声をかける。
これが最近のマイブーム。
梅雨時期も終わり、季節は夏に向かっていく。
雨が降らない限りは歌姫は学園にくるから、ようやく毎日会えるって事だ。
「、、、何で開けられるの?」
いつも通り、寝転がりながら音楽を聴いていた歌姫は不満そうな声を漏らした。
「さあ?何ででしょうねぇ?」
通い詰めたり、フレカーを元に情報を集めたりしていて歌姫について分かった事がある。
〆◼️〆◼️〆◼️〆
【雪村ユウ】
・元天才ハリウッド子役
(3年ほど前に日本でのドラマ撮影中に事故)
・第1回定期テスト学年1位
(ただし、授業は1度も受けてはいない。別室受験)
・歌のジャンルは何でも聞く。
(気にいると、歌う)
・天気のいい日は丸一日屋上にいる。
(悪い日は学園に来ない)
〆◼️〆◼️〆◼️〆
こんな感じか?
調べれば調べるほど、こいつがどんなに凄いやつなのかは理解出来た。
3年以上も前だから、ほとんどのやつはこいつの事は忘れてるだろう。
でも、名前を聞けば思い出す。
決して、無名ではなかったから。
俺だってこいつの出てた映画やドラマは見た事がある。
事故ってニュースで流れた時、そのドラマを楽しみにしてたからがっかりしたぐらいだからな。
怪我が治ったら復帰すると思ってた。
実際はそうじゃなくて、【雪村ユウ】は芸能界から姿を消した。
でも、何でだ?
理由はわからないけど、会ってみて分かった。
こいつは、怯えてる。
怖がってる。恐れている。
何に対してかは知らない。
知らねぇけど、1人で怖がってるやつをほっとける程俺は人でなしじゃなかったから。
、、、こいつのいろんな表情を見てみたかったから。
だから、毎日通ってんだよ。
〆◼️〆◼️〆◼️〆
「なあ、お姫さん」
「姫じゃない」
「いいだろ別に。放課後、暇?」
「何で?」
「さっきから“何で”ばっかりだな」
「うるさい」
フードを深くかぶってるから表情は見えなかった。
「どうせ暇だろ。迎えに来るから逃げんじゃねぇよ。逃げたらここの事、バラしてやるよ」
もう、だいぶバレてるけどな。
ま、幽霊騒ぎで来るやついないけど。
こいつが屋上を気に入ってる事は見てわかるから、保険としてこの場所を人質にとっておく。
「サイテー」
冷たく、静かに。
それは俺に向かって放たれた。
真正面から、な。
僅かにのぞいたその顔はやっぱり綺麗だった。
「知ってるぜ、ユウ」
ヒラヒラと手を振って俺は屋上を後にした。
〆◼️〆◼️〆◼️〆
放課後、大人しく屋上にいた歌姫もといユウを第6音楽室に連れて行った。途中、ユウの足が止まってしまったので無理矢理担いで。
170くらいはあるだろうが、それにしては軽かった。
「お前ら、連れてきたぞ」
中で練習していた3人に声をかける。ユウはびっくりしたように身を硬くした。
「ヘェ~。こいつがあの歌姫か。それにしても、ダセェ格好だな」
「ヒビキ!初対面でその言い方はないだろう!」
「へいへい。相変わらずお堅いな、カズヤ坊ちゃんは」
「バカにしているのかい?」
「まさか、褒めているのさ」
白熱する2人に溜息をついているとフワフワの茶髪が視界に入ってきた。
「どうした、ヒカル?」
ヒカルは俺の後ろに回ってユウのフードの中を覗き込んだ。
「ほわぁ、綺麗な顔、、、」
「は?」
「勿体無いよ。フードで隠しちゃうなんて」
純真無垢。
この言葉はヒカルの為にあると言ってもいい。
嘘をつく事をしない、正直者。
流石のユウも悪気のないヒカルに何も言えなくなっていた。
「そう言えば、シュウゴ。いつまで担いでいるつもりだい?」
「おお、そうだな」
カズヤに言われてようやくユウを下ろす。逃げ出さないように腕は掴んだままで。
「離せ」
「嫌だね。話したら逃げんだろ」
「、、、じゃ、に、げないから。離せよ」
「本当か?」
「に、げたら、どうせ、バラす。そうでしよ」
冷ややかだな。
よく分かっていらっしゃる。
「そこで座って聴いてろよ。あれだったら歌ってもいいぜ」
ユウは大人しく指で指した椅子に移動して座った。
「うっし、んじゃ練習するぞ」
「今日のアップ、どうするの?」
「激しめにしようぜ。最近訛ってる気がするからよ」
「アップで疲れたら意味ないだろう。せっかく今日はお客さんがいるんだからリクエストでも聴いてみたらどうだい?」
「お、それいいな」
カズヤの案に賛成して、俺はユウに聞いた。
「なんか聴きたい曲、あるか?」
ユウは、少し首を傾げて、でも、考えて、口を開いた。
「、、、[ROCK]INFINITY]
毎度毎度、鍵のかかった西館の屋上を得意のピッキングで入って歌姫に声をかける。
これが最近のマイブーム。
梅雨時期も終わり、季節は夏に向かっていく。
雨が降らない限りは歌姫は学園にくるから、ようやく毎日会えるって事だ。
「、、、何で開けられるの?」
いつも通り、寝転がりながら音楽を聴いていた歌姫は不満そうな声を漏らした。
「さあ?何ででしょうねぇ?」
通い詰めたり、フレカーを元に情報を集めたりしていて歌姫について分かった事がある。
〆◼️〆◼️〆◼️〆
【雪村ユウ】
・元天才ハリウッド子役
(3年ほど前に日本でのドラマ撮影中に事故)
・第1回定期テスト学年1位
(ただし、授業は1度も受けてはいない。別室受験)
・歌のジャンルは何でも聞く。
(気にいると、歌う)
・天気のいい日は丸一日屋上にいる。
(悪い日は学園に来ない)
〆◼️〆◼️〆◼️〆
こんな感じか?
調べれば調べるほど、こいつがどんなに凄いやつなのかは理解出来た。
3年以上も前だから、ほとんどのやつはこいつの事は忘れてるだろう。
でも、名前を聞けば思い出す。
決して、無名ではなかったから。
俺だってこいつの出てた映画やドラマは見た事がある。
事故ってニュースで流れた時、そのドラマを楽しみにしてたからがっかりしたぐらいだからな。
怪我が治ったら復帰すると思ってた。
実際はそうじゃなくて、【雪村ユウ】は芸能界から姿を消した。
でも、何でだ?
理由はわからないけど、会ってみて分かった。
こいつは、怯えてる。
怖がってる。恐れている。
何に対してかは知らない。
知らねぇけど、1人で怖がってるやつをほっとける程俺は人でなしじゃなかったから。
、、、こいつのいろんな表情を見てみたかったから。
だから、毎日通ってんだよ。
〆◼️〆◼️〆◼️〆
「なあ、お姫さん」
「姫じゃない」
「いいだろ別に。放課後、暇?」
「何で?」
「さっきから“何で”ばっかりだな」
「うるさい」
フードを深くかぶってるから表情は見えなかった。
「どうせ暇だろ。迎えに来るから逃げんじゃねぇよ。逃げたらここの事、バラしてやるよ」
もう、だいぶバレてるけどな。
ま、幽霊騒ぎで来るやついないけど。
こいつが屋上を気に入ってる事は見てわかるから、保険としてこの場所を人質にとっておく。
「サイテー」
冷たく、静かに。
それは俺に向かって放たれた。
真正面から、な。
僅かにのぞいたその顔はやっぱり綺麗だった。
「知ってるぜ、ユウ」
ヒラヒラと手を振って俺は屋上を後にした。
〆◼️〆◼️〆◼️〆
放課後、大人しく屋上にいた歌姫もといユウを第6音楽室に連れて行った。途中、ユウの足が止まってしまったので無理矢理担いで。
170くらいはあるだろうが、それにしては軽かった。
「お前ら、連れてきたぞ」
中で練習していた3人に声をかける。ユウはびっくりしたように身を硬くした。
「ヘェ~。こいつがあの歌姫か。それにしても、ダセェ格好だな」
「ヒビキ!初対面でその言い方はないだろう!」
「へいへい。相変わらずお堅いな、カズヤ坊ちゃんは」
「バカにしているのかい?」
「まさか、褒めているのさ」
白熱する2人に溜息をついているとフワフワの茶髪が視界に入ってきた。
「どうした、ヒカル?」
ヒカルは俺の後ろに回ってユウのフードの中を覗き込んだ。
「ほわぁ、綺麗な顔、、、」
「は?」
「勿体無いよ。フードで隠しちゃうなんて」
純真無垢。
この言葉はヒカルの為にあると言ってもいい。
嘘をつく事をしない、正直者。
流石のユウも悪気のないヒカルに何も言えなくなっていた。
「そう言えば、シュウゴ。いつまで担いでいるつもりだい?」
「おお、そうだな」
カズヤに言われてようやくユウを下ろす。逃げ出さないように腕は掴んだままで。
「離せ」
「嫌だね。話したら逃げんだろ」
「、、、じゃ、に、げないから。離せよ」
「本当か?」
「に、げたら、どうせ、バラす。そうでしよ」
冷ややかだな。
よく分かっていらっしゃる。
「そこで座って聴いてろよ。あれだったら歌ってもいいぜ」
ユウは大人しく指で指した椅子に移動して座った。
「うっし、んじゃ練習するぞ」
「今日のアップ、どうするの?」
「激しめにしようぜ。最近訛ってる気がするからよ」
「アップで疲れたら意味ないだろう。せっかく今日はお客さんがいるんだからリクエストでも聴いてみたらどうだい?」
「お、それいいな」
カズヤの案に賛成して、俺はユウに聞いた。
「なんか聴きたい曲、あるか?」
ユウは、少し首を傾げて、でも、考えて、口を開いた。
「、、、[ROCK]INFINITY]
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