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第14話
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協会の巡回は基本四人一組で行われる。技術・知識・戦闘・医療から各一人ずつだ。村々を周り知識や技術を教え、けがや病気を治し、異変が無いか確認する。
滞在期間は数週間で、決まった地域を周っている。そのため、リリアン先生やガロッゾ先生もアレクスたちが幼いころからの付き合いだ。
技術を教えてくれるのはイリアム先生。ガロッゾ先生より少し年上で黒髪短髪、無精ひげで無口な先生だ。
主に建物の作り方や道具の手入れの方法、畑の耕し方なども教えてくれる。
医療協会からはエイトリン先生。三十才ぐらいで大きな帽子をかぶり腰の辺りまで黒色の髪が伸びている。少しミステリアスな雰囲気があるが、よくお菓子をくれので子供たちに人気がある。
傷の手当から薬草の見分け方と取り方、調合の方法などを教えてくれる。意外なところで料理のレシピも教えてくれる。食事の栄養バランスの大事さを唱えてのことだ。
技術・知識・戦闘・医療、この厳しい世界で生きていく術の多くの事を協会から学ぶ。その多くは危険を回避するためだったのだが、アレクスは先生たちの話を聞くのが大好きだった。
ここじゃない場所の話や見た事が無い動物の話、新しい技術の話、魔物を退治する話なんか聞くと興奮して夜眠れなくなったりした。自分でも見てみた、そう思うようになるのは自然な事だった。
自分の冒険の思いを両親に告げたアレクスは、なんとか許可をもらうことが出来た。しかし、いきなり「はい。行ってらっしゃい」とはさすがにならなかった。
「条件が二つある。一つ目はキチンと勉強してから行く事」
「うん、わかった。勉強はちゃんとやるよ。もう一つは? 」
「もう一つは冒険の練習をしてもらう。隣の村までお使いに行ってもらう」
「オムタ村まで? アンリおばさんとこ行けばいいの? 」
「ああ。手紙を渡して来てくれ。それを何回かやってもらう」
隣村オムタ。馬車で朝出発すれば夜には着く距離、徒歩なら次の日の昼に着く距離にあり、父親アルバートの妹アンリおばさんが住んでいる。
何度か父親が運転する馬車に乗って行った事があるので、行き方は知っているが一人で行くのは始めてだ。
隣村と言っても自分の意志で行く初めての冒険に、楽しみ半分興奮半分の不安なんてどこ吹く風かといった顔をしている。
次の日には冒険の準備に取り掛かったアレクスにどこからか噂を聞きつけたルナがやって来た。
「オムタ村まで行くんですって? 」
「ああ。冒険の第一歩だ! って言っても練習だからすぐに帰って来るけどな。それを何回もやって、冒険に出ていいか考えてくれるって」
「ふーん、そうなんだ。ところで私との約束覚えている? 」
ルナとの約束。幼馴染であるルナとは昔から一緒に居る事が多く、よく遊んだ。しかし約束はあんまりした事が無い。
「また明日も遊ぼう」「一緒にご飯食べよう」せいぜいその程度だ。だから昔した”あの約束”はよく覚えてる。
「ああ。もちろん。忘れるわけ無いだろ」
アレクスは準備をする手を止め、立ち上がってルナの方に振り向いた。
何気ない会話の中の約束だった。あの約束を果たす時が来た。
「ルナ! 一緒に冒険に行こう! 二人ならきっと楽しい冒険になる! 」
アレスクはルナに向けて手を伸ばした。教室でしたあの約束は鮮明に覚えている。
ルナは嬉しくて涙目になった。平静を装っていたが、もし忘れていたらどうしようと、気が気じゃなかった。
「うん! 私も行く! 」
アレクスの手を取り笑顔になるルナ。アレクスも笑顔で返した。
滞在期間は数週間で、決まった地域を周っている。そのため、リリアン先生やガロッゾ先生もアレクスたちが幼いころからの付き合いだ。
技術を教えてくれるのはイリアム先生。ガロッゾ先生より少し年上で黒髪短髪、無精ひげで無口な先生だ。
主に建物の作り方や道具の手入れの方法、畑の耕し方なども教えてくれる。
医療協会からはエイトリン先生。三十才ぐらいで大きな帽子をかぶり腰の辺りまで黒色の髪が伸びている。少しミステリアスな雰囲気があるが、よくお菓子をくれので子供たちに人気がある。
傷の手当から薬草の見分け方と取り方、調合の方法などを教えてくれる。意外なところで料理のレシピも教えてくれる。食事の栄養バランスの大事さを唱えてのことだ。
技術・知識・戦闘・医療、この厳しい世界で生きていく術の多くの事を協会から学ぶ。その多くは危険を回避するためだったのだが、アレクスは先生たちの話を聞くのが大好きだった。
ここじゃない場所の話や見た事が無い動物の話、新しい技術の話、魔物を退治する話なんか聞くと興奮して夜眠れなくなったりした。自分でも見てみた、そう思うようになるのは自然な事だった。
自分の冒険の思いを両親に告げたアレクスは、なんとか許可をもらうことが出来た。しかし、いきなり「はい。行ってらっしゃい」とはさすがにならなかった。
「条件が二つある。一つ目はキチンと勉強してから行く事」
「うん、わかった。勉強はちゃんとやるよ。もう一つは? 」
「もう一つは冒険の練習をしてもらう。隣の村までお使いに行ってもらう」
「オムタ村まで? アンリおばさんとこ行けばいいの? 」
「ああ。手紙を渡して来てくれ。それを何回かやってもらう」
隣村オムタ。馬車で朝出発すれば夜には着く距離、徒歩なら次の日の昼に着く距離にあり、父親アルバートの妹アンリおばさんが住んでいる。
何度か父親が運転する馬車に乗って行った事があるので、行き方は知っているが一人で行くのは始めてだ。
隣村と言っても自分の意志で行く初めての冒険に、楽しみ半分興奮半分の不安なんてどこ吹く風かといった顔をしている。
次の日には冒険の準備に取り掛かったアレクスにどこからか噂を聞きつけたルナがやって来た。
「オムタ村まで行くんですって? 」
「ああ。冒険の第一歩だ! って言っても練習だからすぐに帰って来るけどな。それを何回もやって、冒険に出ていいか考えてくれるって」
「ふーん、そうなんだ。ところで私との約束覚えている? 」
ルナとの約束。幼馴染であるルナとは昔から一緒に居る事が多く、よく遊んだ。しかし約束はあんまりした事が無い。
「また明日も遊ぼう」「一緒にご飯食べよう」せいぜいその程度だ。だから昔した”あの約束”はよく覚えてる。
「ああ。もちろん。忘れるわけ無いだろ」
アレクスは準備をする手を止め、立ち上がってルナの方に振り向いた。
何気ない会話の中の約束だった。あの約束を果たす時が来た。
「ルナ! 一緒に冒険に行こう! 二人ならきっと楽しい冒険になる! 」
アレスクはルナに向けて手を伸ばした。教室でしたあの約束は鮮明に覚えている。
ルナは嬉しくて涙目になった。平静を装っていたが、もし忘れていたらどうしようと、気が気じゃなかった。
「うん! 私も行く! 」
アレクスの手を取り笑顔になるルナ。アレクスも笑顔で返した。
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