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図書館
今日は、冒険者ギルドで受けた図書館での本整理のクエストの日だった。
私たち3人は朝6時に起き、準備を始めた。といっても、服に着替えて朝食を済ませ、軽く部屋を掃除する程度なので7時過ぎには支度が整った。ここから図書館までは歩いて20分ほど。まだ少し早かったが、初めて行く道なので早めに出発することにした。
図書館は公園の中にあり、整えられた花壇や木々のほかにも広々とした芝生もあり、朝の散歩のようで歩いていても気持ちが良かった。20分ほど前に到着し、図書館の前で待っていると、一人の女性が私たちに向かって走ってきた。
「あなたたちが今日、手伝ってくれる子たち?」
リオがにこやかな笑顔で答えた。
「初めまして。本日はお世話になります。リオとマッド、そしてキャロルです。どうぞよろしくお願いします」
私とマッドも深く頭を下げてお辞儀をした。
「こちらこそよろしくね。さあ、中に入りましょうか」
お姉さんが図書館の鍵を開け、中へ招き入れてくれた。通路を渡った先に、大きな扉が見える。
「この扉の向こうが図書室よ。中に入ったら、私語は厳禁だから気をつけてね。食べ物や飲み物の持ち込みも禁止。とても貴重な本がたくさんあるから、本は丁寧に扱ってちょうだい。今から手袋を渡すから、はめてね」
そう言って渡されたのは、肌触りの良い薄手の手袋だった。
「お願いするのは、昨日返却された本を所定の場所に戻す作業よ」
そう言いながら、本棚の見取り図が書かれた用紙を手渡された。
「渡した用紙に本棚の記号番号が書いてあるでしょう?本の裏面に書かれた記号番号と同じ棚に、本を戻していくのよ」
まさに私たちが想像していた通りの仕事だった。
図書室の扉を開けて中に入った瞬間、私たちは思わず声を上げてしまい、すぐに怒られてしまった。声を出さずにはいられないほど、そこには壁一面にずらりと本棚が並び、本、本、本……。口を開けたまま天井近くに届く本棚を見上げていると、お姉さんが小声で話しかけてきた。
「上の方にある本は、貸し出しも持ち出しも不可の本だから、上に戻す必要のある本はないから安心して。昨日返却された本は『3A』の部屋にあるから、取ってきて始めてちょうだい。何か分からないことがあれば、『8A』の部屋にいるから聞きに来てね」
そう言うと、お姉さんは足早に去っていった。説明が少なすぎないかしら、と私は思った。
この作業は、私たちには向いていた。特に私は、こういった黙々と集中する作業が嫌いではない。むしろ好きな方だ。マッドもリオも苦手ではないようだった。
戻すべき本はかなりの量があったが、戻す場所は大体同じなので、意外と早く片付いた。棚がジャンル別に記号で分けられていたため、私が本を記号別に分類し、リオとマッドがそれぞれの棚に戻していく。私は分類を終えた後、二人が本を戻した棚を見回り、間違いがないかを確認し、もしあれば修正するという作業を行った。
12時には全ての作業が終わり、お姉さんに報告に行った。彼女は俯いたまま、私たちに指示を出した。
「そう。お昼に行っていいわよ。1時には戻ってきて、作業を再開してちょうだい」
私たちは公園の近くにある飲食店でサンドイッチを買い、公園のベンチで食べた。
「うわー、うまそう!」リオが包装紙を破りながら目を輝かせる。
「もう、リオったらそんなにお腹が空いていたの?」
そう言って笑った私だったが、自分も一口大きく頬張ると思わず笑みを浮かべてしまった。
公園を吹き抜ける風が心地よく、隣で談笑するリオとマッドの声が、心を穏やかにしてくれる。
昼休憩も終わり、図書室へ戻ると、お姉さんが駆け寄ってきた。
「あなたたち、本当に全ての作業を終わらせたのね!驚いたわ、すごいわね!こんなに早く終わるなんて思っていなかったから、つい素っ気ない態度を取ってしまってごめんなさい。今日はこれで終わりよ。ありがとう、本当に助かったわ。図書館の本を読みたければ、好きなだけ読んで構わないからね。入館料も必要ないわ。また今度、依頼させてもらうから、その時もよろしくね」
そう言うと、お姉さんは足早に仕事に戻っていった。
今日の私たちの予定は図書館三昧だったので、閉館時間である夕方5時までは、各自好きな本を読むことにした。あと4時間もある。
私はこの先、この世界で生きていくのに必要な知識を得るため、それぞれの大陸の特徴や身体能力の違いについて書かれた本を何冊か手に取り、読み始めた。
人種によって肌や髪の色の特徴はあるが、中には魔力が肌や髪の色に影響する者もいるらしい。
大陸と人々の特徴
* 北方大陸
雪と氷の大地で、昼は短く夜が長い。魔力に長けている者が多いと言われている。
北方大陸の者たちはノーステリア人と呼ばれており、色素が薄く、白い肌、薄茶色の髪が多い。また王族は金髪で水色の瞳をしていたと言われており、疫病により滅亡したと言われている。
* 南方大陸
荒野と砂漠の大地で、昼間は灼熱の暑さだが夜は気温が下がり、寒暖差が激しい。作物は育たず、主食は魔獣や虫、サボテンになる。身体能力に優れている者が多い。
南方大陸の者たちはサースランド人と呼ばれており、浅黒い肌、黒や焦茶色の髪、筋肉質で大柄の者が多い。
* 東方大陸
山もあり川もある、四季のある土地。主食は米。
東方大陸の者たちはイースキャロン人と呼ばれており、肌色、黒や焦茶色の髪と瞳で、小柄な者が多い。
* 西方大陸
湿気が強く草木がよく育つ熱帯雨林。四季はなく乾季と雨季がある。
西方大陸の者たちはウエスニール人と呼ばれており、やや浅黒い肌、茶系の髪をしている者が多い。
* 中央大陸
穏やかな四季があり、多種類の作物が育っている。千年前は大地が枯れ果て、人が住める環境ではなかったが、偉大な魔法使いによって蘇ったとされる大陸。
中央大陸の者たちはイミグラント人と呼ばれており、今では混血が多い。
私たち3人は朝6時に起き、準備を始めた。といっても、服に着替えて朝食を済ませ、軽く部屋を掃除する程度なので7時過ぎには支度が整った。ここから図書館までは歩いて20分ほど。まだ少し早かったが、初めて行く道なので早めに出発することにした。
図書館は公園の中にあり、整えられた花壇や木々のほかにも広々とした芝生もあり、朝の散歩のようで歩いていても気持ちが良かった。20分ほど前に到着し、図書館の前で待っていると、一人の女性が私たちに向かって走ってきた。
「あなたたちが今日、手伝ってくれる子たち?」
リオがにこやかな笑顔で答えた。
「初めまして。本日はお世話になります。リオとマッド、そしてキャロルです。どうぞよろしくお願いします」
私とマッドも深く頭を下げてお辞儀をした。
「こちらこそよろしくね。さあ、中に入りましょうか」
お姉さんが図書館の鍵を開け、中へ招き入れてくれた。通路を渡った先に、大きな扉が見える。
「この扉の向こうが図書室よ。中に入ったら、私語は厳禁だから気をつけてね。食べ物や飲み物の持ち込みも禁止。とても貴重な本がたくさんあるから、本は丁寧に扱ってちょうだい。今から手袋を渡すから、はめてね」
そう言って渡されたのは、肌触りの良い薄手の手袋だった。
「お願いするのは、昨日返却された本を所定の場所に戻す作業よ」
そう言いながら、本棚の見取り図が書かれた用紙を手渡された。
「渡した用紙に本棚の記号番号が書いてあるでしょう?本の裏面に書かれた記号番号と同じ棚に、本を戻していくのよ」
まさに私たちが想像していた通りの仕事だった。
図書室の扉を開けて中に入った瞬間、私たちは思わず声を上げてしまい、すぐに怒られてしまった。声を出さずにはいられないほど、そこには壁一面にずらりと本棚が並び、本、本、本……。口を開けたまま天井近くに届く本棚を見上げていると、お姉さんが小声で話しかけてきた。
「上の方にある本は、貸し出しも持ち出しも不可の本だから、上に戻す必要のある本はないから安心して。昨日返却された本は『3A』の部屋にあるから、取ってきて始めてちょうだい。何か分からないことがあれば、『8A』の部屋にいるから聞きに来てね」
そう言うと、お姉さんは足早に去っていった。説明が少なすぎないかしら、と私は思った。
この作業は、私たちには向いていた。特に私は、こういった黙々と集中する作業が嫌いではない。むしろ好きな方だ。マッドもリオも苦手ではないようだった。
戻すべき本はかなりの量があったが、戻す場所は大体同じなので、意外と早く片付いた。棚がジャンル別に記号で分けられていたため、私が本を記号別に分類し、リオとマッドがそれぞれの棚に戻していく。私は分類を終えた後、二人が本を戻した棚を見回り、間違いがないかを確認し、もしあれば修正するという作業を行った。
12時には全ての作業が終わり、お姉さんに報告に行った。彼女は俯いたまま、私たちに指示を出した。
「そう。お昼に行っていいわよ。1時には戻ってきて、作業を再開してちょうだい」
私たちは公園の近くにある飲食店でサンドイッチを買い、公園のベンチで食べた。
「うわー、うまそう!」リオが包装紙を破りながら目を輝かせる。
「もう、リオったらそんなにお腹が空いていたの?」
そう言って笑った私だったが、自分も一口大きく頬張ると思わず笑みを浮かべてしまった。
公園を吹き抜ける風が心地よく、隣で談笑するリオとマッドの声が、心を穏やかにしてくれる。
昼休憩も終わり、図書室へ戻ると、お姉さんが駆け寄ってきた。
「あなたたち、本当に全ての作業を終わらせたのね!驚いたわ、すごいわね!こんなに早く終わるなんて思っていなかったから、つい素っ気ない態度を取ってしまってごめんなさい。今日はこれで終わりよ。ありがとう、本当に助かったわ。図書館の本を読みたければ、好きなだけ読んで構わないからね。入館料も必要ないわ。また今度、依頼させてもらうから、その時もよろしくね」
そう言うと、お姉さんは足早に仕事に戻っていった。
今日の私たちの予定は図書館三昧だったので、閉館時間である夕方5時までは、各自好きな本を読むことにした。あと4時間もある。
私はこの先、この世界で生きていくのに必要な知識を得るため、それぞれの大陸の特徴や身体能力の違いについて書かれた本を何冊か手に取り、読み始めた。
人種によって肌や髪の色の特徴はあるが、中には魔力が肌や髪の色に影響する者もいるらしい。
大陸と人々の特徴
* 北方大陸
雪と氷の大地で、昼は短く夜が長い。魔力に長けている者が多いと言われている。
北方大陸の者たちはノーステリア人と呼ばれており、色素が薄く、白い肌、薄茶色の髪が多い。また王族は金髪で水色の瞳をしていたと言われており、疫病により滅亡したと言われている。
* 南方大陸
荒野と砂漠の大地で、昼間は灼熱の暑さだが夜は気温が下がり、寒暖差が激しい。作物は育たず、主食は魔獣や虫、サボテンになる。身体能力に優れている者が多い。
南方大陸の者たちはサースランド人と呼ばれており、浅黒い肌、黒や焦茶色の髪、筋肉質で大柄の者が多い。
* 東方大陸
山もあり川もある、四季のある土地。主食は米。
東方大陸の者たちはイースキャロン人と呼ばれており、肌色、黒や焦茶色の髪と瞳で、小柄な者が多い。
* 西方大陸
湿気が強く草木がよく育つ熱帯雨林。四季はなく乾季と雨季がある。
西方大陸の者たちはウエスニール人と呼ばれており、やや浅黒い肌、茶系の髪をしている者が多い。
* 中央大陸
穏やかな四季があり、多種類の作物が育っている。千年前は大地が枯れ果て、人が住める環境ではなかったが、偉大な魔法使いによって蘇ったとされる大陸。
中央大陸の者たちはイミグラント人と呼ばれており、今では混血が多い。
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