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マクミラン伯爵への挨拶
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次の日の昼過ぎ、お父様、お母様、そして私たち三人でマクミラン伯爵のお店へ向かった。店に到着すると、お爺さんとマルクさんがすぐに出迎えてくれた。
お爺さんは私たちの顔を見るなり、満面の笑みを浮かべて言ってくださった。
「良かった、良かった、もう安心だ。これからは儂のことを本当の家族だと思ってくれ」
そんなに私たちは危ない状況だったのだろうか?不思議に思って首を傾げていると、マルクさんが諦めたようにため息をつきながら言った。
「どうやらあまり自覚がないようだね」
サロンでお茶をいただくことになり、案内されると、お婆様が迎えてくれた。以前と変わらず、優しい笑顔で私たちを可愛がってくださり、とても嬉しかった。
まずは、前回私とリオが作った作品について、マルクさんが話してくれた。
「あの鳥のパーティーバッグと巾着型リュックサック、それに木箱二個は、店に並べるとすぐに売れてしまったよ。驚くほどの人気で、問い合わせも多くてね。可能であれば、またお願いしたいと思っている。売上の七割は君たちの共用口座に振り込もうと思ったんだが、君たちが作成者だと分からないように、ブライトン侯爵様と相談して架空口座を作らせてもらったので、そちらに振込済だ。後で確認しておいてくれ」
そう言って、売上明細と振込口座の紙を渡してくれた。マッドが代表して用紙に署名をする。
自分たちの作ったものが売れたという事実が信じられないほど嬉しくて、私の心は何度も飛び跳ねた。舞い上がってしまい、思わず笑顔がこぼれてしまう。
すると、お父様がマルクさんに話し始めた。
「この子たちの作品を販売する際は、今後も絶対に名前を明かさないでもらいたい。あとは、この子たちが将来店舗を構えたいと思った時、その手助けをしてやってほしい」
「俺からもいいですか?」
マッドが、少し真剣な顔で口を開いた。
「俺たちは、これからたくさんのことを学んでいかなければなりません。ですので、定期的に作品を納品するのは難しいと思いますが、出来上がって気に入っていただけたなら、こちらのお店で販売させていただけたら嬉しく思います。将来のことはまだ分かりませんが、父さんの言うようにご指導いただけたらと思っています」
「ありがとう、嬉しく思うよ」
マルクさんは心から感心したようにそう言ってくれた。
契約内容について細かく取り決めをしていると、そこにマーカスさんがやってきて、お父様に話しかけた。
「お、カルロにミラン。それに三人もいるからちょうどいい。親父、部屋借りるぞ」
何やら話があるようなので、私たちは再び席に戻り、マーカスさんの用件を聞くことになった。
「昨日の図書館の件だが、あの後、クエストを受けた二人が暴行を受けたんだ。すぐに自警団が駆けつけたおかげで大した怪我はなかったが、どうやら襲うように指示したのは例の司書見習いのようだ」
マーカスさんが司書見習いについて詳しく教えてくれた。
司書見習いの名前はエイド。彼の父親はピエールと言い、グラン伯爵代理を務めているそうだ。十年前、グラン伯爵夫妻が事故で亡くなり、御子息が七歳だったため、叔父であるピエールが伯爵代理として、御子息が十八歳になるまで家督を一時的に引き継いだらしい。
このドレスデン国では、このような場合の伯爵代理の妻や子は貴族とは認められていない。そのため、ピエールの妻も息子のエイドも平民だという。半年もすれば、当時七歳だった御子息も十八歳になり正式にグラン伯爵となるので、ピエールも平民に戻るそうだ。
「エイドがなぜあんな横柄な態度を取れるのか気になって、先ほど会ってきたんだ」
「それでマーカスは何か突き止めたのか?」
お父様が尋ねると、マーカスさんは首を横に振った。
「いや、全く分からなかった。あいつはもしかしたら、自分が平民だと知らないんじゃないかと思うんだ」
「マーカス、それが話したかったのか?」
「いや、カルロに密かに鑑定をしてもらえないかと聞きに来たんだよ。今度ミシェランで夜会があるだろう?そこにグラン伯爵代理も来るらしいからな。頼めないか?」
「何か気になることでもあるのか?」
「ああ、ちょっとな」
マーカスさんが帰り際、お父様に奴隷市の話を始めた。
明後日、ミシェランの郊外にあるリバープスで、二年に一度開かれる奴隷市を私たちも見に行く予定だ。マーカスさんも行くらしく、購入の際は力を貸してほしいと、お父様にお願いをしているようだ。マーカスさんとお父様は、子供の頃からとても仲がいいらしい。
リオがマーカスさんに、「どうして奴隷が欲しいの?」と尋ねた。
「実はな、娘が魔法学院に行きたがっていると以前話しただろう。まだどうなるかは分からんが、貴族学校以外の学校に行くんであれば、王都のタウンハウスから通うのは難しい。だから、娘の身の安全のために奴隷をつけようと思ってるんだ」
「マーカス、どうして魔法学院に行きたいのか、きちんと聞いたか?」
お父様が聞くと、マーカスさんが少し困った顔をして答えた。
「ああ、マリアンと比較されるのが嫌みたいなんだ。同じ年の従妹なのもあって、何かと比べられて育ったからな。今ではこの店にも寄り付かず、距離を取っている」
お父様の質問にマーカスさんが答えると、お母様が話し出した。
「そうかしら。あの子はそんなことは全く気にしないと思うわ。明後日はマリーも一緒なの?」
「いや、奴隷市だからな。ご令嬢は見ない方がいいだろう」
私は見てもいいのかしら……。そんなことをぼんやり考えた。
お爺さんは私たちの顔を見るなり、満面の笑みを浮かべて言ってくださった。
「良かった、良かった、もう安心だ。これからは儂のことを本当の家族だと思ってくれ」
そんなに私たちは危ない状況だったのだろうか?不思議に思って首を傾げていると、マルクさんが諦めたようにため息をつきながら言った。
「どうやらあまり自覚がないようだね」
サロンでお茶をいただくことになり、案内されると、お婆様が迎えてくれた。以前と変わらず、優しい笑顔で私たちを可愛がってくださり、とても嬉しかった。
まずは、前回私とリオが作った作品について、マルクさんが話してくれた。
「あの鳥のパーティーバッグと巾着型リュックサック、それに木箱二個は、店に並べるとすぐに売れてしまったよ。驚くほどの人気で、問い合わせも多くてね。可能であれば、またお願いしたいと思っている。売上の七割は君たちの共用口座に振り込もうと思ったんだが、君たちが作成者だと分からないように、ブライトン侯爵様と相談して架空口座を作らせてもらったので、そちらに振込済だ。後で確認しておいてくれ」
そう言って、売上明細と振込口座の紙を渡してくれた。マッドが代表して用紙に署名をする。
自分たちの作ったものが売れたという事実が信じられないほど嬉しくて、私の心は何度も飛び跳ねた。舞い上がってしまい、思わず笑顔がこぼれてしまう。
すると、お父様がマルクさんに話し始めた。
「この子たちの作品を販売する際は、今後も絶対に名前を明かさないでもらいたい。あとは、この子たちが将来店舗を構えたいと思った時、その手助けをしてやってほしい」
「俺からもいいですか?」
マッドが、少し真剣な顔で口を開いた。
「俺たちは、これからたくさんのことを学んでいかなければなりません。ですので、定期的に作品を納品するのは難しいと思いますが、出来上がって気に入っていただけたなら、こちらのお店で販売させていただけたら嬉しく思います。将来のことはまだ分かりませんが、父さんの言うようにご指導いただけたらと思っています」
「ありがとう、嬉しく思うよ」
マルクさんは心から感心したようにそう言ってくれた。
契約内容について細かく取り決めをしていると、そこにマーカスさんがやってきて、お父様に話しかけた。
「お、カルロにミラン。それに三人もいるからちょうどいい。親父、部屋借りるぞ」
何やら話があるようなので、私たちは再び席に戻り、マーカスさんの用件を聞くことになった。
「昨日の図書館の件だが、あの後、クエストを受けた二人が暴行を受けたんだ。すぐに自警団が駆けつけたおかげで大した怪我はなかったが、どうやら襲うように指示したのは例の司書見習いのようだ」
マーカスさんが司書見習いについて詳しく教えてくれた。
司書見習いの名前はエイド。彼の父親はピエールと言い、グラン伯爵代理を務めているそうだ。十年前、グラン伯爵夫妻が事故で亡くなり、御子息が七歳だったため、叔父であるピエールが伯爵代理として、御子息が十八歳になるまで家督を一時的に引き継いだらしい。
このドレスデン国では、このような場合の伯爵代理の妻や子は貴族とは認められていない。そのため、ピエールの妻も息子のエイドも平民だという。半年もすれば、当時七歳だった御子息も十八歳になり正式にグラン伯爵となるので、ピエールも平民に戻るそうだ。
「エイドがなぜあんな横柄な態度を取れるのか気になって、先ほど会ってきたんだ」
「それでマーカスは何か突き止めたのか?」
お父様が尋ねると、マーカスさんは首を横に振った。
「いや、全く分からなかった。あいつはもしかしたら、自分が平民だと知らないんじゃないかと思うんだ」
「マーカス、それが話したかったのか?」
「いや、カルロに密かに鑑定をしてもらえないかと聞きに来たんだよ。今度ミシェランで夜会があるだろう?そこにグラン伯爵代理も来るらしいからな。頼めないか?」
「何か気になることでもあるのか?」
「ああ、ちょっとな」
マーカスさんが帰り際、お父様に奴隷市の話を始めた。
明後日、ミシェランの郊外にあるリバープスで、二年に一度開かれる奴隷市を私たちも見に行く予定だ。マーカスさんも行くらしく、購入の際は力を貸してほしいと、お父様にお願いをしているようだ。マーカスさんとお父様は、子供の頃からとても仲がいいらしい。
リオがマーカスさんに、「どうして奴隷が欲しいの?」と尋ねた。
「実はな、娘が魔法学院に行きたがっていると以前話しただろう。まだどうなるかは分からんが、貴族学校以外の学校に行くんであれば、王都のタウンハウスから通うのは難しい。だから、娘の身の安全のために奴隷をつけようと思ってるんだ」
「マーカス、どうして魔法学院に行きたいのか、きちんと聞いたか?」
お父様が聞くと、マーカスさんが少し困った顔をして答えた。
「ああ、マリアンと比較されるのが嫌みたいなんだ。同じ年の従妹なのもあって、何かと比べられて育ったからな。今ではこの店にも寄り付かず、距離を取っている」
お父様の質問にマーカスさんが答えると、お母様が話し出した。
「そうかしら。あの子はそんなことは全く気にしないと思うわ。明後日はマリーも一緒なの?」
「いや、奴隷市だからな。ご令嬢は見ない方がいいだろう」
私は見てもいいのかしら……。そんなことをぼんやり考えた。
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