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マリーローズside②
しおりを挟む「この場面って確か王太子であるナルキスによる婚約者の断罪から聖女にして王太子妃誕生へと続くシーンじゃないのーーーっ!!!」
異世界転生ってネット小説とかで見るけど、我が身にそれが起こるなど夢にも思わなかった。
空が夜の帳に覆われている深夜
目を覚ましたと同時に前世を思い出し、ゲームではマリーローズと呼ばれていた少女は頭を抱えながら絶叫するしかなかった。
どうやら自分は学生時代に暇潰しでプレイしていた【聖なる箱庭】という18禁な乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生してしまったらしいのだ!
「転生するならマリーローズではなく、逆ハーでイケメン達に愛される日々を送るというエンドが確定しているライムミントが良かった・・・」
ヒップバーム伯爵令嬢にしてヒロインのライムミントの髪の色は穀物を象徴する淡い金色、水と氷を象徴する水色の瞳に自然の恵みを象徴する緑色の瞳を持つオッドアイ。女であれば夢見る女性らしい理想的なプロポーション。
そして聖女である事を示すかのように全ての属性に適性があるだけではなく膨大で聖なる力を感じさせる魔力。
ライムミントの聖なる魔力のおかげでガニメデス王国は豊穣で水が枯渇する事もない。
正にチート!
そんなヒロインに転生したかったと心の底から思っているマリーローズの前世は竹下 美和子という。
両親に甘やかされて育った彼女は親ガチャに恵まれていたと言ってもいいだろう。
一代で企業を成長させ巨万の富を築いた父親は一人娘が入学した大学に近い場所に建つタワーマンションの家賃とは別に月百万円の生活費を負担してくれた。(学費は父親が負担であり、自身の高校時代の成績も良くなかったので裏口入学でもある)
美和子が身に纏っていた洋服にアクセサリー、バッグに化粧品は全て高級ブランドだ。それに綺麗でいる為にはエステに通わなければならないし、家事は家政婦に料理はケータリングかウーバーイーツに頼んでいる。
(月百万円!?たったこれだけで生活をしろだなんて無理に決まっているじゃない!!!)
美和子は父親に抗議したが、父親は娘の言い分に耳を傾けず『これ以上の我が儘を言うのであれば勘当する!』とまで言い切ったのだ。
ATMを怒らせたら今の生活が出来ない事を知っている美和子はマッチングアプリでお金を出してくれそうな───年収数千万円の男を探す事にした。
男達は若くて綺麗な女子大生の美和子の言いなりになって彼女が望むままに貢ぎ、それと引き換えに美和子は身体を差し出して男達を悦ばせた。パパ活である。
そんな美和子も大学を卒業した後は就職し、父親が勧めた相手と結婚して専業主婦になった。但し、独身時代と同じように掃除洗濯は家政婦、料理はケータリングとウーバーイーツだったので時間が余っていた美和子は大学時代に知り合った男達とのパパ活を続けていたが。
夫となった男はエリートであったが、一言で言えばケチだった。
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