異世界召喚に巻き込まれた女は男として生きる

白雪の雫

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7.翠耀さんの結婚相手は・・・-1-

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 鳳凰州の太守である翠耀さんには両親が決めた婚約者が居る。

 太守ですもの。

 婚約者が居るのも、政略結婚するのも当然だわ。

 二十一世紀の日本で生きていると政略結婚がピンとこないかも知れないけれど、能楽や歌舞伎といった伝統芸能の世界ではよくある事じゃないかしら?

 歌舞伎役者の奥さんになる人は梨園の世界で育った女性というのが基本という風にね。

 子供の頃から梨園の世界で育っていているから歌舞伎の世界がどういうものなのかを理解しているし、自分の役目をきちんと務める事が出来る。

 だから歌舞伎役者は梨園の世界で育った女性と結婚するのでしょうね。

 ・・・・・・生きている世界は違うけど、政略結婚しなければいけない翠耀さんも大変ね。

 私、自由恋愛かおひとり様が選択出来る庶民で良かった・・・。

 同僚達の話によると名前は周 玲鈴というご令嬢(男に令嬢というのはおかしいと分かっているけど額と腹部に花の痣があるから令嬢と呼ばれるのよ)なのだけど、翠耀さんには好きな人が居るらしいの。

 翠耀さんの好きな人が誰なのかが気になるけど、婚約者がどういう人なのかしら?

 そっちの方が遥かに興味あるわね。

 男の娘タイプかしら?

 母が十代の頃のBLって小柄・華奢・儚い・色白・純粋無垢な心の持ち主という言葉が似合う美少年が受けというのが定番だったから、そういう感じの人かしら?

 瓶底眼鏡が似合いそうな委員長タイプかしら?

 それとも・・・花の慶〇に出てきそうな筋骨隆々タイプなのかしら?

 想像するだけでも楽しい!

 ・・・・・・と思っていたのだけど、家族と友人達を思い出して泣いていた私を泣き止ませる為だと分かっているのに優しく触れていた翠耀さんの手が・・・自分以外の誰かに触れるのかと思うだけで胸が締め付けられるように苦しいの・・・。

「ホクト大哥?何かあったのですか?」

「えっ?」

「だって・・・ホクト大哥が泣いているから・・・」

「う、嘘!僕、泣いていたの!?」

 子供の頃に読んだ漫画をつい思い出してしまったから泣いてしまったと言い訳したのだけど・・・信じていないわね?

「近いうちに婚約者様が翠耀様に会いに来るからその時に出そうと思っているスイーツの新作の試食を頼むつもりだったのだが・・・」

「・・・・・・すんませんでした」

 肉体言語で下僕にした彼等は私が作る異世界のスイーツに夢中になっているからなのでしょうね。

 綺麗な土下座を披露してくれたわ。

「今から婚約者様にお出しするスイーツを作る。君達は試食をしてくれ」


 胸に何かが突き刺さったような痛みと、締め付けられるような苦しみを無視して私はロールケーキとパウンドケーキを作る事にしたの。









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