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序
しおりを挟む私、霧沢 奈緒美(24)はエステティシャン。
警部である父親に憧れ、幼い頃から柔道と空手と剣道に打ち込んでいた。
勿論、『柔道と空手と剣道を言い訳に勉強と踊りの稽古はサボるな』という条件付きでだ。
そのおかげで小学校から高校時代の成績は上から数えた方が早く、また柔道の全国大会では何度も優勝していたし、空手と剣道も有段者。
しかし身長が百八十センチ超えだからか、クラスの男子からは『大女』とか『ウドの大木』とか『メスゴリラ』呼ばわりされ、幼馴染みである男の娘の大江 陽一からは『奈緒美ちゃんは頭が良いだけではなく強いから僕を護ってね♡』と頼られていた。
そんな私も大学に入ってからは一応彼氏というものが出来たのだけど、その男も私が柔道の全国大会優勝者だから付き合っていたのであって、それがなければあんな大女に声を掛ける事なんてしなかった。
奈緒美って名前が可愛いだけじゃん!
あいつには『猪子』とか『熊子』とか『ゴリ子』っていう名前がピッタリじゃね?
親は何を思って奈緒美って名付けたのかね~?
という風に仲の良い男友達と嘲笑しながら語り合っていたのだ。
男なんてもう二度と信用しない!
一生独身を貫いてやる!
彼氏と別れた後、泣きはしなかったが馬鹿にされた悔しさで落ち込んでいた私を慰めてくれたのが陽一のお姉さんで、有名なブティックショップで働いている愛美さんだった。
「ダイヤの原石も磨かなければ、そこら辺に転がっている石コロでしかないの!!奈緒美ちゃんが努力して、自分を馬鹿にした男共を見返してやりなさい!!!」
顔は小さいし、顔立ちだって美人の部類に入る!
しかも幼い頃からおばさんに言われたとはいえ踊りの稽古とかしていたのでしょ!?
今の奈緒美ちゃんに足りないのは外見を磨く事と、身体の内側から綺麗になる事なの!!!
そう言った愛美さんは落ち込んでいた私に綺麗になる術を教えてくれた。
肌のお手入れからマッサージにメイク、ネイルにアロマ、自分に似合う服はどのような感じのものなのか等
挙げればキリはないけど、私は愛美さんに師事して自分を磨いていった。
半年後
愛美さんの言葉を借りれば『蛹が羽化して蝶になる』かのように、道行く人達が私を見て『海外で活躍する一流モデルなの!?』『すっげー美人・・・』『傾国の美女ってああいうのを言うのかね~?』と囁くぐらいの美女になっていた。
私を肴にしていた元カレは『今のお前とだったら付き合える!よりを戻そう!』何て言っていたけど、半年前から自分も愛美さんのように誰かを綺麗に磨く仕事に就きたい・・・エステティシャンになると決めていた私は、元カレの問いに対する答えがこれだと言わんばかりに背負い投げを食らわせてやった。
専門的な知識と技術を学びつつ最新の情報を仕入れたり、コミュニケーション能力を磨く為のバイトをしながら大学を卒業した私は規模がそこそこのエステティックサロンに入社した。
土日出勤に残業があるけど、それでも自分が担当したお客様に効果が出てくるのを見るのは嬉しいし、エステティシャンこそ天職だと思えるくらいに遣り甲斐がある。
今はまだ無理だけど何時かは自分も店を開きたいという夢を描きながら、自宅から電車と徒歩で三十分圏内の職場に向かっていたら、通学途中の数人の女子高生と擦れ違ったその時、眩いばかりの光を放つ魔法陣が出現した。
「な、何・・・?何なの!?もしかして映画かドラマで悪魔が出てくるシーンを撮影している最中だったの・・・!?」
知らなかったとはいえ、撮影の邪魔してしまったと思った私は急いで離れようとするのだけど、不思議な事に道行く人達は私達が魔法陣に吸い込まれているという現象に気付かないでいる。
魔法陣から逃げる事が出来なかった私は女子高生達と共に消えていった───。
※陽一はゴスロリやガーリーが似合う男の娘。奈緒美はマーメイドラインやチャイナドレスといったタイプにマスキュリンな服装が似合う女性です。
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