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王妃になった男爵令嬢-8-
しおりを挟むあのスピカ=クラウンが全教科満点を取ったですって!?
嘘でしょ!?
信じられないわ!
先生にテストに出る問題を教えて貰う対価を身体で払ったのではありませんこと?
身体で払ったとは・・・まるで娼婦そのものですわね!
娼婦は殿方に一夜の夢を与える為に、生活の為に身体を張っているのです
首席を取る為に先生に迫ったスピカ=クラウンと一緒にしては娼婦に対して失礼というものですわよ
学園のテストで全教科満点を取ったにも関わらず、スピカは自分と同じクラスの生徒のみならず他のクラスと上級生達からも懐疑的な目で見られ陰口を叩かれていた。
のだが、それはランチタイムや午後の実技授業であるダンスとマナーによって覆される事になる。
どうした事でしょう・・・
あのスピカ=クラウンの立ち居振る舞いの一つ一つが貴族令嬢に相応しいものとなっていますわ
何時もは音を立ててお茶やスープを口にしていたというのに今日は音を立てていない。
淑女の挨拶の定番とでも言うべきカーテシーは勿論だが、歩き方に言葉遣いにダンス等が完璧に貴族令嬢・・・それも下位貴族ではなく高位貴族のものとなっていたのだ。
スピカに何があったのだろう?と彼女と同じクラスの生徒達は首を傾げると同時に、先生は先生で『ようやく自分の言っている事が分かってくれた』と涙していた。
学園の中で評価を上げていくスピカとは対照的にヴィンフリーデはというと、学園の成績が下がっただけではなく幼い頃から未来の王太子妃として身に付けて来た礼儀作法や立ち居振る舞い等が一切出来なくなったいた。
今のヴィンフリーデは躾のなっていない獣そのものと化していたのだ。
教師だけではなく婚約者のアーデルベルト、そして教師から話を聞いた両親からも責められ、未来の王太子妃としても公爵令嬢としても失格の烙印を押されたヴィンフリーデは両親によって学園を退学させられた後は戒律の厳しい修道院に送られる事となった。
「ヴィンフリーデ・・・」
「アーデルベルト王太子殿下・・・」
努力家で、驕らず国を背負う者としての義務を理解していた婚約者の余りの変貌ぶりにショックを受けているアーデルベルトに、スピカが静かに寄り添う。
「恐れ多い事ですが、私はアーデルベルト王太子殿下をお慕い申しておりました・・・」
「スピカ嬢・・・?」
「私がヴィンフリーデ様に代わってアーデルベルト王太子殿下をお支えしとうございます!」
一言で言い表すとすれば今までのスピカは理性のない獣だった。
他人に見られない場所で必死に努力していたのだろう。
今のスピカは全てを兼ね備えた貴族令嬢となっていた。
そんな彼女が自分を支えてくれると言ってくれている。
「スピカ嬢。私の妃となり、何れは王となる私を支えて欲しい・・・」
「はい。アーデルベルト王太子殿下・・・」
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