追放された聖女はペットと一緒に田舎でスローライフを送る

白雪の雫

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1.トレイシアサイド-2-

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 修道院を出て宿屋で身体を休めた次の日

 私とワタアメはゴールドフィナンシェ王国を目指したの。

 道中で冒険者や商人と出会い彼等と一緒に旅をし、遭遇したオークやコカトリスといった魔物を倒したり、戦いで負傷した彼等を魔法で治療したり、魔物に肉に舌鼓を打ったり、立ち寄った村の市場で買い物をしたり、冒険者として登録したり───ゴールドフィナンシェ王国への旅は七歳から修道院で過ごしていた私にとって楽しいものだったわ。

 レモンチーズケーキ王国を出て三週間後

 ゴールドフィナンシェ王国に到着した私は一人と一匹で暮らしするのに最適な家を買う為、ワタアメと一緒に薬草採取といった雑用系クエストから討伐系クエストをこなしていったの。





 世の中、金!

 お金は大事!

 お金は幾らあってもいいものだからね!





『世の中、金じゃーーーっ!!!金、金、金!!!』を合言葉に働いた結果、世界遺産に登録されていそうな、長閑な田園風景と自然が美しい田舎に一軒家を買う事が出来たの。

 どこかの企業の会社員だった前世の私では若くして一軒家を、しかもローンを組まずに買うなんて考えられない事だったわ!

「シアちゃん、何時も大量に買ってくれてありがとね。形は悪いけどキャロットをおまけしとくよ」

「ありがとうございます♡」

「シアちゃん。売れ残りで悪いけど、そこのワンちゃん用としてオーク肉をおまけでしとくよ」

「ありがとうございます♡ワタアメ、今日の夕食はオーク肉のカツにするわね」

「キャン!」

「シアちゃん、うちのかみさんに料理を教えてやってくれないか」

「それでしたら、来週にでも集会所に村の女性達を募集して私の故郷の料理を教えましょうか?」







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 村人達と心温まる交流をしつつ、ペットとの田舎でのスローライフを楽しんでいた私だったのだけど───。

 私がゴールドフィナンシェ王国の田舎で暮らすようになってから一年経った頃かな?

 月のものがこなくなったり、胸の辺りのサイズがきつくなっていたり、胸がムカムカしたり、食べ物の好みが変わってしまったという風に体調の異変に気付いたの。

「・・・何かの病気にでも罹ったのかしら?」

(まさか、ね・・・)

 とある可能性を考えてしまったけど、実は私には恋人と呼べる存在なんていないわ。

 彼氏いない歴=実年齢(18)。

 つまり・・・私には男性経験がないの。

 心当たりがない私は村で唯一にして自分の職場でもある診療所の先生に診て貰う事にしたわ。

「シアちゃん・・・子供が出来ているね」

(えっ?あっ?えっ?)

「私、誰とも付き合っていない干物女なのに?子供が出来ている!?何で!?」

 先生の診断結果に驚くしかなかったわよ!!!

 だって!

 子供が出来たのよ!?

 寝ている時は戸締りしているし、念の為に魔法で強固な結界を張っているもの!!

 そんな私の家に侵入してくるなんて不可能だわ!!!

 結婚はしたくないけど子供は欲しいという理由で人工授精か体外受精したのなら、今回の体調不良も納得出来るわよ!

 人工授精も体外受精もしていないのに・・・どうして子供が出来たのかしら?

「もしかして・・・・・・これは処女受胎、だったりする?或いは宇宙人による交配実験?」

 考えてみれば私の転生先は、神話や物語、ゲームや漫画とかでしか見る事が出来ない魔物や幻獣が当たり前のように存在している剣と魔法のファンタジーな異世界。

 神様や精霊の息吹というものが身近に、肌で感じる事が出来るもの。

 処女受胎しても不思議ではない?かも・・・知れない、わね。

 異世界でホラーを体験するなんて夢にも思っていなかったわ。

「ワタアメ。実は・・・私ね、赤ちゃんが出来たのですって!!!」

 我が家に戻った私は唯一の家族であるワタアメに報告したの。

「キャン!キャン!キャン!」

 ワタアメ・・・物凄く喜んでくれただけではなく、まだ膨らんでもいないお腹に頬を摺り寄せたわ。

 まるでワタアメが父親みたい。

「ワタアメ?・・・・・・まさか、ね」

 ワタアメは某永遠の五歳児が主役の漫画に出てくる白い小犬そのものだし、ファンタジーな異世界であっても獣人でない限り、人間との間に子供が出来るはずがないわ。

「ワタアメは・・・獣人、なの?そんなはずがないわね」

 獣人は身体能力が高いけど、魔力は一切持たないから初歩的な魔法も使えない種族。

 魔法が使えないから人間に変身する事も、動物に変身する事も出来ないし、何よりワタアメから魔力を感じないもの。

 普通であれば子供が出来た事に恐怖するしかないけど、聖女として生きてきた私は結婚と家族を作る事を諦めていたから、これも何かの縁。

 というよりここは異世界だから何があっても不思議ではないと、深く考える事を拒否して我が身に起こった事を受け入れる事にしたわ。











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