乙女ゲームに転生した男の人生

白雪の雫

文字の大きさ
49 / 58

⑬ヒロインの末路-7-

しおりを挟む










 「女神?妃?ピンク頭、貴様の耳は自分に都合の悪い事は聞こえないのか?この世界はゲームとやらではなく現実。そして、テメェが風俗嬢になる事は決定事項だ!」

 もし、この世界がゲームだとすれば、ピンク頭を含める生きとし生ける全てのものが喜怒哀楽を表したり、傷ついたら血を流したり、暑さや寒さを感じたり、喉が渇いたり腹が減ったりしないんじゃないのか?

 「この世界は、現実?・・・嘘よ!だって、ここは、あたしが・・・ヒロインが、幸せになる為だけに作られた世界、だもの・・・」

 アイドネウスの指摘に今更ながら当たり前の事に気付いたのか、ここが現実であるという事実にショックを受けたカサンドラはその場に座り込む。

 「ミストレイン、大丈夫か?」

 アイドネウスがミストレインに触れると、カサンドラの暴行で受けた傷が一瞬にして癒える。

 「ありがとう、アイドネウス」

 「お前だったら背負落とかで簡単にピンク頭を倒せたはずだ」

 「でも、ヒロインって受け身を取れないでしょ?最悪の場合、ヒロインが死んでしまったらどうなると思う?私が正当防衛を訴えても、メンタルがあの店で売っているプリンよりも柔い馬鹿カルロスはヒロインの下僕と化しているから問答無用で投獄されてしまうもの」

 「その可能性は否定しない。だがな、無茶はするな」

 「・・・反省してます」

 (´・ω・`)な顔をしているミストレインを咎めるアイドネウスは呆れているが、先程までとは違い彼の周囲は柔らかい雰囲気で包まれている。

 「ところでミストレイン。産みの母親が自分の母より身分が高いという理由だけでお前の妹に嫉妬していただけではなく、濡れ衣を着せて処刑しようとしていた馬鹿皇帝共とピンク頭をどのような目に遭わせたいという希望があるか?」

 ((((お、お姉さん!どうか、ご慈悲を!!))))

 カサンドラを売り飛ばせば全て解決だと思っていたカルロス達は内心アイドネウスの問いかけに、自分達はどうなってしまうのかという恐怖を抱く。

 「馬鹿皇帝共に関しては皇太后と両親と婚約者に任せた方がいいのでは?それとヒロインを自称するピンク頭についてだけど・・・私から一つだけ希望を言ってもいいかしら?」

 「ああ」

 ミストレインは告げる。

 カサンドラから卵巣と子宮を奪って欲しいと。

 「彼女はアイドネウスの希望で生まれ変わる度に風俗嬢になる事が決まっているのよね?淫乱ビッチで男好きにとってその二つは不要だと思うのだけど・・・。そういう風に転生させるのって可能なのかしら?」

 「爺に頼めば可能だ」

 ((((む、惨い!でも、あの男スキーに母性というものがなさそうだからそれがいいのかも知れない!!))))

 ミストレインの提案は女性の尊厳を奪う残酷なものであると言える。だが、相手がカサンドラであれば話は別。

 この世界を現実だと認識していないカサンドラであれば、子供を産んだとしても産みっぱなし。母親として我が子に接したりはしないだろう。

 寧ろ、邪魔者扱いするのが目に見えているので、不幸な子供を増やさない意味でミストレインの願いは理に適ったものであるとも言えると、フローラ、エレクトラ、アルティミシア、キャロラインはそんな事を考えていた。

 「そこの俺の子孫を自称する馬鹿皇帝!ピンク頭の本性を知って落ち込んでいる暇があるのなら、さっさとピンク頭を歓楽街に売り飛ばせ!!」

 「へ、兵士共!今すぐカサンドラを後宮から追放しろ!!」






 あたしはヒロインなの・・・

 ヒロインだからアイドネウス様の妃になるのは当然なの・・・





 カルロスの命令を受けた兵士達は、その場に座り込んで何やら呟いているカサンドラを縛り荷馬車に乗せると、支柱引き回しよろしく歓楽街へと向かう。







※カサンドラは村娘・金持ちの娘・貴族令嬢・王女という風にランダムで転生を繰り返しますが、アイドネウスの要望を受け入れたティフォーネによって泡姫になる事が運命づけられています。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

転生メイドは貞操の危機!

早桃 氷魚(さもも ひお)
恋愛
クララは乙女ゲームの世界に転生した、モブのメイド。 最推しキャラの公爵令息、ロルフのメイドとして、不幸フラグを折りながら、天使のように愛らしい推しを守ってきた。 ロルフはクララに懐き、魔法学園に入学するときも、離ればなれになるのを嫌がるほど。 「帰ってきたら、ずっと一緒だからね?」 ロルフとそう約束してから三年後。 魔法学園を卒業したロルフが、ついに屋敷へ戻ってきた! だが、クララの前に現れたのは、 かつての天使ではなく、超イケメンの男だった! 「クララ、愛している」 え!? あの天使はどこへ行ったの!? そして推し!! いま何て言った!? 混乱するクララを、ロルフはベッドに押し倒してきて……!? ----- Kindle配信のTL小説 『転生メイドは推しを甘やかしまくった結果、貞操の危機です!』 こちらは番外編です! 本編よりずっと前の、推しがまだ天使だった頃のお話です。 本編を知らなくても読めます。

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。

汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。 元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。 与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。 本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。 人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。 そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。 「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」 戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。 誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。 やわらかな人肌と、眠れない心。 静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。 [こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

ルンルン気分な悪役令嬢、パンをくわえた騎士と曲がり角でぶつかる。

待鳥園子
恋愛
婚約者である王太子デニスから聖女エリカに嫌がらせした悪事で婚約破棄され、それを粛々と受け入れたスカーレット公爵令嬢アンジェラ。 しかし、アンジェラは既にデニスの両親と自分の両親へすべての事情を説明済で、これから罰せられるのはデニス側となった。 アンジェラはルンルン気分で卒業式会場から出て、パンをくわえた騎士リアムと曲がり角でぶつかって!?

【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?

きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

処理中です...