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隻眼の俺と黄昏時からの距離
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「うわあ、凄い凄い!」
手を強く握るシエロに引っ張られて続く坂道を見渡すと、土産物や食べ歩きできそうな食べ物が並んでいる。坂道の中央には源泉が流れているようで、湯気がもうもうと立ち込めている。
「なんか京都と草津を足したような町だな……」
もう二十年近く昔の事なので、記憶はあやふやだが修学旅行が京都だったのは思い出した。
「あのときは木刀とか買ったっけ」
何故か知らないけど、修学旅行に行くと木刀を買う奴がいるんだよな。結局木刀は家で眠る事になるし。
「そうじろう、あのお店みたい!」
はしゃぐシエロが指さしたのは、小さな雑貨屋だった。シエロに続いて店に入ると民芸品の竹細工の他にかんざしの様なアクセサリーも売っている。
「ねえねえ、そうじろう、これ似合う?」
「ん?」
振り返るとそこには色付きサングラスをしているシエロの姿があった。
「凄いな、思ったより違和感ない」
「ほんと? じゃこれは!」
嬉しそうに眼鏡をはずして、次は麦わら帽子を被る。
「もしかしてシエロ、何でも似合うんじゃないのか」
「ほ、ほんと? そ、そうかなあ。えへへ」
麦わら帽子を壁に戻しながら、もじもじと身体をくねらせる。
「しかし何でもあるな、異世界といっても素材がアジア風だから似てんのかな」
「そうじろう、あっちのお店も見てみよう!」
その場で小さくジャンプして、シエロは店を出る。アルデバランではこんなにはしゃいでなかったけど、小物が好きなところを見るとやっぱり女の子なんだなあと思う。
俺は何となしにカウンターのかんざしを手にして、親父に金を払ってすぐにシエロを追う。
その後も似たような取り扱いの雑貨屋を見て回ったり、串団子を食べたり、椅子に座って飲み物を飲んだりと、久しぶりにのんびりしながら坂道を登って行った。
坂道を登りきる頃には、すっかり夕方になろうとしていた。
トゥリズモスの街の中央である丘の頂上には、綺麗に整備された広場があり、中央には街のシンボルである日時計が置かれている。
手を強く握るシエロに引っ張られて続く坂道を見渡すと、土産物や食べ歩きできそうな食べ物が並んでいる。坂道の中央には源泉が流れているようで、湯気がもうもうと立ち込めている。
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「ねえねえ、そうじろう、これ似合う?」
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「ほんと? じゃこれは!」
嬉しそうに眼鏡をはずして、次は麦わら帽子を被る。
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「しかし何でもあるな、異世界といっても素材がアジア風だから似てんのかな」
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