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こうして振り回されることも、どこかで悪くないと思っている自分がいた
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「テレポート機能を、なくしませんか……」
とある運命の日。
生界で死した愛し子の天使の一人である、オッドアイの女の子は来るなり言って来た。
「……理由を聞こうかカリナ?」
「聞いてくださいます!?」
「聞かないと対処のしようもないからね」
今日死んだことを疑いたくなるほどその子はずかずかと歩いてきて、ボクの目の前に腰を下ろす。
「キュンキュンするようなことが起きなくなってしまっているのですよ!!」
「ほう?」
「雨の日なんて恋人急接近の一大イベントでしょう!? それなのにリアスはテレポートするんですよ!?」
「クリスティアの反応は?」
「いつも通り”またねー”と手を振って帰っていきましたわ!!」
「本人同士が納得してるならいいじゃない」
「二人のちょっとしたどぎまぎを見たいのにっ」
ついにはわっと床にひれ伏す始末。
これは重症だなと苦笑いをしつつ。まぁ昔のように、運命の日に膝を抱えてしゃべらないよりはましかと思ってしまう。
苦笑いの中に、安堵があるのは見せないようにして。
「リアスに相談してみなよ」
「私が言ったら却下されますわ……。お願いします主様……」
「そのつっぷした状態から土下座に入るのか……」
よほどその”いちゃいちゃ”というものを見たいらしい。
上で見てるとリアスとクリスティアは結構仲睦まじいと思うけどな? あぁ、それを家とか室内だけじゃなくて外でも見たいという話なのか。
「ひとまず、言ってはみるよ。勝手になくすのはさすがに良くないからね」
「お願いします!」
ぱっと嬉しそうな顔をしたカリナに笑う。
まぁボクが言ったところでオッケーを出すとも思えないけれど。長年の付き合いで勝手がわかっているそのヒトを思い、笑いが苦笑いになったのを感じながら。
なおも続くカリナの話を聞きつつ、そっと、意識をリアスの方へと向けていった。
♦
「っていう話が出てるんだけど」
「……苦労をかけるな……」
リアスのもとへやってきて、カリナとの話を伝えたら。思いのほか、最初の回答は予想外なものだった。
「一発目で却下って言葉が出ると思ったんだけど」
「まぁテレポート全体の話となると却下ではあるんだが。カリナのその勢いというかわけのわからんというか、そういう気持ちをぶつける対象になったことに同情する」
「どうも」
笑って返して。
「相合傘っていうんだっけ? してあげればいいんじゃないの」
「テレポートで帰った方が早いだろう。危険もない」
「それを見たいという要望があるけれど」
「見せるための物じゃないだろう」
それは確かにそう。
しかも見世物という感覚をこの愛し子は大層嫌う。
さて、どうしたものか。
「……クリスティアがしたいって言ったら、してあげるの?」
「それはまぁ。場合によっては家の付近だけにはなると思うが」
当然では? という顔に、一度顎に手を当てて考える。
リアスがテレポートを使うのは、ただ単にクリスティアを危険にしたくないからという理由でだけ。
それがなければ、この愛し子は恋人の要望を叶えてくれる。
それならば、することはひとつ。
「クリスティアの気持ちを聞いてみようか」
そう言えば、基本的にこういったことに関して諦めているリアスは一度溜息をついて。
「お好きにどうぞ」
と許可をくれたので。
今度は、クリスティアのところへと意識を向けていった。
♦
「相合傘…」
「うん」
「カリナがごめんね…」
「揃って言うんだねキミたちは」
それに笑って。
一人、広げた画用紙に絵を描いているクリスティアの目の前でしゃがみ、首を傾げる。
「したい? 相合傘」
「んー」
彼女はクレヨンを走らせながら悩んで。
「どっちでも…」
なんて言うから、思わず「そうなの?」と聞いた。それには頷いて。
「リアスといっしょなら、なんでもうれし」
「つまりはリアスがしたいならする、みたいな?」
「んー…?」
そういうわけでもないらしい。
本人も首を傾げてしまうので、ここから答えを出すのは難しいか。
「とりあえず、クリスティアからしたら相合傘はどっちでもいいと」
「うん…。やらなきゃ死んじゃうとかはないかな…」
別に相合傘でしかくっつけないわけじゃない、とその子はクレヨンを走らせながら言う。
それに「そっか」、と言って。
「クリスからしたらテレポートは?」
「なくてもだいじょうぶかなとは思う…」
新たな問いには、すぐに返答が返ってきた。それに首を傾げて答えを促すと。
「リアスが死んじゃいそうだけど…」
「まぁ、緊急時はそうだね……」
「でも、歩くから」
その答えに、きょとんとしていれば。クレヨンで空を描きながら彼女はこぼす。
「歩いてたら、思い出いっぱいできるから」
だから、なくても別に困らないよ。
それだけ言って、彼女はまた絵の中に意識を戻してしまった。
それを眺めながら、そっかとまた返して。
ここまで来たなら、と。意識を最後の一人へと向けてみる。
クリスティアにはまたねとあいさつをして、その場を後にした。
♦
「で、俺のとこに来たって?」
「うん」
「とりあえず、カリナがごめんね」
「みんな言うね」
「ことの発端はあいつだから」
笑って言う、ことの発端の双子の兄の隣へと腰を下ろして。
「なんかテレポートの話から相合傘の話になってきてる気がするけど」
「カリナがすごい押すんだよ、その話」
今も向こうでしてるよと言ったら、その兄は笑った。
「まぁカップルとかの話になるならおいしいイベントだもんね。近くにいてどきどき、みたいな」
「クリスティアはそんな風じゃなかったみたいだけど」
「あの二人ずっとくっついてるからね」
レグナは立てた膝に腕をついて。
「相合傘云々じゃなくて、テレポートの話なら」
「うん」
「俺もリアスと同意見で、なくすのは反対かな」
その答えは、少し意外だった。
この愛し子は、割と周りに合わせる一面がある。決して適当ではなく、周りがそれで良い方向に行くならいいんじゃないというスタンスで。この長い付き合いでも、彼の中で譲れないものじゃない限り、あまり反対することはなかったから。
「意外だね」
「そう?」
素直に頷くと、肩を竦めてから。
「テレポートあると便利だし」
「まぁね」
「割と手助け的な面でもぱっと行けるから、あとちょっとでダメだったっていうのが無くて好きかな」
あぁ、それは確かに。
ならやっぱりテレポートは再検討はせずに、と。
考えたところで。
「すぐに背後取れるのもいい点だよね」
なんて言うから、さっきの言葉は自分の中でいったんなしにすることにした。
「……レグナ」
「あ、別にそれで悪いことはしてないよ。もう」
「最後の一言がいらなかったかな。また禊増やしたい?」
「カリナみたいにテレポートでシャッターチャンスの場所まで行くよりましじゃない?」
「カリナのが普通のシャッターチャンスなら明らかにキミに軍配が上がるけど」
「盗撮に決まってるでしょ、妹のは」
「じゃあもう同罪だよ」
ボクが与えた能力でなんてことしてるんだこの兄妹は。
「ほんとにテレポートの廃止考えようかな……」
「それだとリアスが大変でしょ」
「少しくらい歩いてクリスティアと思い出作ればいいんじゃない」
「いや、そうじゃなくて」
「?」
首を傾げたら、にっこりと笑って。
「テレポートできずにクリスティアが傷ついたなんてなったら、たぶん生界はリアスの怒りでボロボロじゃない?」
なんて言うから。
「キミら本当にそろそろ生界に行くのやめない??」
どっちに転んでも面倒しかない愛し子たちに、深く深くため息を吐いた。
ちなみにテレポート機能をなくすには体の作り変えが必要ということで、今までの記憶に不備が出る可能性があり、取りやめることに決定した。
『こうして振り回されることも、どこかで悪くないと思っている自分がいた』/セイレン
とある運命の日。
生界で死した愛し子の天使の一人である、オッドアイの女の子は来るなり言って来た。
「……理由を聞こうかカリナ?」
「聞いてくださいます!?」
「聞かないと対処のしようもないからね」
今日死んだことを疑いたくなるほどその子はずかずかと歩いてきて、ボクの目の前に腰を下ろす。
「キュンキュンするようなことが起きなくなってしまっているのですよ!!」
「ほう?」
「雨の日なんて恋人急接近の一大イベントでしょう!? それなのにリアスはテレポートするんですよ!?」
「クリスティアの反応は?」
「いつも通り”またねー”と手を振って帰っていきましたわ!!」
「本人同士が納得してるならいいじゃない」
「二人のちょっとしたどぎまぎを見たいのにっ」
ついにはわっと床にひれ伏す始末。
これは重症だなと苦笑いをしつつ。まぁ昔のように、運命の日に膝を抱えてしゃべらないよりはましかと思ってしまう。
苦笑いの中に、安堵があるのは見せないようにして。
「リアスに相談してみなよ」
「私が言ったら却下されますわ……。お願いします主様……」
「そのつっぷした状態から土下座に入るのか……」
よほどその”いちゃいちゃ”というものを見たいらしい。
上で見てるとリアスとクリスティアは結構仲睦まじいと思うけどな? あぁ、それを家とか室内だけじゃなくて外でも見たいという話なのか。
「ひとまず、言ってはみるよ。勝手になくすのはさすがに良くないからね」
「お願いします!」
ぱっと嬉しそうな顔をしたカリナに笑う。
まぁボクが言ったところでオッケーを出すとも思えないけれど。長年の付き合いで勝手がわかっているそのヒトを思い、笑いが苦笑いになったのを感じながら。
なおも続くカリナの話を聞きつつ、そっと、意識をリアスの方へと向けていった。
♦
「っていう話が出てるんだけど」
「……苦労をかけるな……」
リアスのもとへやってきて、カリナとの話を伝えたら。思いのほか、最初の回答は予想外なものだった。
「一発目で却下って言葉が出ると思ったんだけど」
「まぁテレポート全体の話となると却下ではあるんだが。カリナのその勢いというかわけのわからんというか、そういう気持ちをぶつける対象になったことに同情する」
「どうも」
笑って返して。
「相合傘っていうんだっけ? してあげればいいんじゃないの」
「テレポートで帰った方が早いだろう。危険もない」
「それを見たいという要望があるけれど」
「見せるための物じゃないだろう」
それは確かにそう。
しかも見世物という感覚をこの愛し子は大層嫌う。
さて、どうしたものか。
「……クリスティアがしたいって言ったら、してあげるの?」
「それはまぁ。場合によっては家の付近だけにはなると思うが」
当然では? という顔に、一度顎に手を当てて考える。
リアスがテレポートを使うのは、ただ単にクリスティアを危険にしたくないからという理由でだけ。
それがなければ、この愛し子は恋人の要望を叶えてくれる。
それならば、することはひとつ。
「クリスティアの気持ちを聞いてみようか」
そう言えば、基本的にこういったことに関して諦めているリアスは一度溜息をついて。
「お好きにどうぞ」
と許可をくれたので。
今度は、クリスティアのところへと意識を向けていった。
♦
「相合傘…」
「うん」
「カリナがごめんね…」
「揃って言うんだねキミたちは」
それに笑って。
一人、広げた画用紙に絵を描いているクリスティアの目の前でしゃがみ、首を傾げる。
「したい? 相合傘」
「んー」
彼女はクレヨンを走らせながら悩んで。
「どっちでも…」
なんて言うから、思わず「そうなの?」と聞いた。それには頷いて。
「リアスといっしょなら、なんでもうれし」
「つまりはリアスがしたいならする、みたいな?」
「んー…?」
そういうわけでもないらしい。
本人も首を傾げてしまうので、ここから答えを出すのは難しいか。
「とりあえず、クリスティアからしたら相合傘はどっちでもいいと」
「うん…。やらなきゃ死んじゃうとかはないかな…」
別に相合傘でしかくっつけないわけじゃない、とその子はクレヨンを走らせながら言う。
それに「そっか」、と言って。
「クリスからしたらテレポートは?」
「なくてもだいじょうぶかなとは思う…」
新たな問いには、すぐに返答が返ってきた。それに首を傾げて答えを促すと。
「リアスが死んじゃいそうだけど…」
「まぁ、緊急時はそうだね……」
「でも、歩くから」
その答えに、きょとんとしていれば。クレヨンで空を描きながら彼女はこぼす。
「歩いてたら、思い出いっぱいできるから」
だから、なくても別に困らないよ。
それだけ言って、彼女はまた絵の中に意識を戻してしまった。
それを眺めながら、そっかとまた返して。
ここまで来たなら、と。意識を最後の一人へと向けてみる。
クリスティアにはまたねとあいさつをして、その場を後にした。
♦
「で、俺のとこに来たって?」
「うん」
「とりあえず、カリナがごめんね」
「みんな言うね」
「ことの発端はあいつだから」
笑って言う、ことの発端の双子の兄の隣へと腰を下ろして。
「なんかテレポートの話から相合傘の話になってきてる気がするけど」
「カリナがすごい押すんだよ、その話」
今も向こうでしてるよと言ったら、その兄は笑った。
「まぁカップルとかの話になるならおいしいイベントだもんね。近くにいてどきどき、みたいな」
「クリスティアはそんな風じゃなかったみたいだけど」
「あの二人ずっとくっついてるからね」
レグナは立てた膝に腕をついて。
「相合傘云々じゃなくて、テレポートの話なら」
「うん」
「俺もリアスと同意見で、なくすのは反対かな」
その答えは、少し意外だった。
この愛し子は、割と周りに合わせる一面がある。決して適当ではなく、周りがそれで良い方向に行くならいいんじゃないというスタンスで。この長い付き合いでも、彼の中で譲れないものじゃない限り、あまり反対することはなかったから。
「意外だね」
「そう?」
素直に頷くと、肩を竦めてから。
「テレポートあると便利だし」
「まぁね」
「割と手助け的な面でもぱっと行けるから、あとちょっとでダメだったっていうのが無くて好きかな」
あぁ、それは確かに。
ならやっぱりテレポートは再検討はせずに、と。
考えたところで。
「すぐに背後取れるのもいい点だよね」
なんて言うから、さっきの言葉は自分の中でいったんなしにすることにした。
「……レグナ」
「あ、別にそれで悪いことはしてないよ。もう」
「最後の一言がいらなかったかな。また禊増やしたい?」
「カリナみたいにテレポートでシャッターチャンスの場所まで行くよりましじゃない?」
「カリナのが普通のシャッターチャンスなら明らかにキミに軍配が上がるけど」
「盗撮に決まってるでしょ、妹のは」
「じゃあもう同罪だよ」
ボクが与えた能力でなんてことしてるんだこの兄妹は。
「ほんとにテレポートの廃止考えようかな……」
「それだとリアスが大変でしょ」
「少しくらい歩いてクリスティアと思い出作ればいいんじゃない」
「いや、そうじゃなくて」
「?」
首を傾げたら、にっこりと笑って。
「テレポートできずにクリスティアが傷ついたなんてなったら、たぶん生界はリアスの怒りでボロボロじゃない?」
なんて言うから。
「キミら本当にそろそろ生界に行くのやめない??」
どっちに転んでも面倒しかない愛し子たちに、深く深くため息を吐いた。
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