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3章 騎士
3話
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「さて、そろそろ人が増えて来たかしらね?ほら行きなさい」
もう一度ニコルの外套等を直してやり、レイモンドは背中を押した。
「随分と早い支度でしたね」
「あら、ムサファ。えぇ、早めに支度をさせたからね。文句もなく着替えてくれたわよ?可愛い従者の門出だもの……ただ、ちょっとアタシの我儘ばっかり押し付けちゃったかしらねぇ?これから巣立って騎士になるって言うのに……あらいけない。ピアスを渡すのを忘れちゃったわ」
ムサファと並ぶように座ってから、ふとレイモンドは思い出した。
「……! マジか……」
一瞬ムサファは絶句し天井を仰ぎ見た。
「あ、違うのよ。アタシのじゃなくてニコルが誰かに渡すためのやつよ。あの子そうでも無ければ用意なんてしないかもしれないし……その前に説明をしておかなきゃいけなかったかしら……そのうち仲間内でそんな話をするだろうと思っていたアタシがいけなかったのかしら……」
レイモンドはゆっくりと足を組んで顎に手を当てた。
「ほら、いつかはお嫁に行くでしょう?ニコルはあんなに可愛いもの」
「待て、まさかまだお前あいつがΩだと思っているのか?」
ムサファがジト目でこちらを見ているのがわかって、レイモンドは苦笑した。
レイモンドの目から見たらどう見てもΩには見えない。
「もう一度属性を確認しましょって言ったのに、頑として首を縦に振らないのよ……その辺は頑固よね?」
レイモンドとしても、もう一度確認をしようと言ってニコルを連れていこうとしたが、断固として拒否をされた。
「でも、あの子……もし本当にΩなら、Ωしか居ない部隊に入るのよねぇ……まだ、ヒートは来てないみたいだし……薬も飲んでいるのかしら……」
ずっと一緒に居たのに、その辺を把握していなかったなと思いながらレイモンドは溜息を吐いた。
「確かにヒートが来てもいい年齢よね?元々軽いひともいると言うし……あぁ!ニコルにチョーカーを買ってあげるの忘れちゃったわ!ダメねぇアタシったら」
色々と与えて送り出してやらなければならなかったのにとレイモンドが項垂れていると、入場のラッパが鳴り、レイモンド達は一斉に立ち上がった。
騎士団長の入室である。
入団生の中央を滑るように歩く団長が、そのまま登壇する。
その威風堂々たる姿を見て、素敵ねと思いながら、レイモンドは騎士の礼をとった。
それは、この場にいる騎士たちは全て同じ事をしていた。
静かに団長の話が始まり、それが終わると入団の証として見習い代表であるニコルが前に出て団長から一振の剣を預けられる。
本来ならば国王陛下より賜り、騎士になるための口上を述べるのだが、いつしかそれを騎士団長が担うようになったらしい。
ニコルは剣を受けそして口上を述べる。
聞きなれた耳触りの良い声が室内に響き渡りそして閉会へと向かう。
何事もなく閉会を迎えてから、新騎士たちに配属の通知が配られる。
その騎士たちを小隊長は迎えに行くのだ。
「さて、今度のアタシの可愛い部下はどの子かしら」
レイモンドは小さく言葉にするとムサファと椅子から立ち上がり騎士たちを見回したのだった。
もう一度ニコルの外套等を直してやり、レイモンドは背中を押した。
「随分と早い支度でしたね」
「あら、ムサファ。えぇ、早めに支度をさせたからね。文句もなく着替えてくれたわよ?可愛い従者の門出だもの……ただ、ちょっとアタシの我儘ばっかり押し付けちゃったかしらねぇ?これから巣立って騎士になるって言うのに……あらいけない。ピアスを渡すのを忘れちゃったわ」
ムサファと並ぶように座ってから、ふとレイモンドは思い出した。
「……! マジか……」
一瞬ムサファは絶句し天井を仰ぎ見た。
「あ、違うのよ。アタシのじゃなくてニコルが誰かに渡すためのやつよ。あの子そうでも無ければ用意なんてしないかもしれないし……その前に説明をしておかなきゃいけなかったかしら……そのうち仲間内でそんな話をするだろうと思っていたアタシがいけなかったのかしら……」
レイモンドはゆっくりと足を組んで顎に手を当てた。
「ほら、いつかはお嫁に行くでしょう?ニコルはあんなに可愛いもの」
「待て、まさかまだお前あいつがΩだと思っているのか?」
ムサファがジト目でこちらを見ているのがわかって、レイモンドは苦笑した。
レイモンドの目から見たらどう見てもΩには見えない。
「もう一度属性を確認しましょって言ったのに、頑として首を縦に振らないのよ……その辺は頑固よね?」
レイモンドとしても、もう一度確認をしようと言ってニコルを連れていこうとしたが、断固として拒否をされた。
「でも、あの子……もし本当にΩなら、Ωしか居ない部隊に入るのよねぇ……まだ、ヒートは来てないみたいだし……薬も飲んでいるのかしら……」
ずっと一緒に居たのに、その辺を把握していなかったなと思いながらレイモンドは溜息を吐いた。
「確かにヒートが来てもいい年齢よね?元々軽いひともいると言うし……あぁ!ニコルにチョーカーを買ってあげるの忘れちゃったわ!ダメねぇアタシったら」
色々と与えて送り出してやらなければならなかったのにとレイモンドが項垂れていると、入場のラッパが鳴り、レイモンド達は一斉に立ち上がった。
騎士団長の入室である。
入団生の中央を滑るように歩く団長が、そのまま登壇する。
その威風堂々たる姿を見て、素敵ねと思いながら、レイモンドは騎士の礼をとった。
それは、この場にいる騎士たちは全て同じ事をしていた。
静かに団長の話が始まり、それが終わると入団の証として見習い代表であるニコルが前に出て団長から一振の剣を預けられる。
本来ならば国王陛下より賜り、騎士になるための口上を述べるのだが、いつしかそれを騎士団長が担うようになったらしい。
ニコルは剣を受けそして口上を述べる。
聞きなれた耳触りの良い声が室内に響き渡りそして閉会へと向かう。
何事もなく閉会を迎えてから、新騎士たちに配属の通知が配られる。
その騎士たちを小隊長は迎えに行くのだ。
「さて、今度のアタシの可愛い部下はどの子かしら」
レイモンドは小さく言葉にするとムサファと椅子から立ち上がり騎士たちを見回したのだった。
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