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4章覚醒
4話
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「では、ちょっとお話をしようかしらね?」
ニコルにいれてもらったお茶を口にしてからレイモンドはそう告げた。
ニコルの肩がビクッと見て分かるほど小刻みに震えたのが見え、レイモンドは目を伏せる。
「そんなに固くならなくていいわよ」
レイモンドはカップを置いて無意識に足を組んだ。
「……で、ニコルは結果を聞いたの?」
不安を与えないよう務めて明るい声を作る。
レイモンドの問い掛けにニコルは左右に頭を振った。
「そう、それなら不安だったわね……アタシから内容を伝えてもいい?それとも連隊長からとか……結果は団長もご存知らしいから、そちらの方から伝えて貰うこともできるわよ?」
自分のことが信用できるかどうか。そこまで重大な事なのだが、ニコルは大丈夫ですと、小さな声で呟いた。
「ニコル、結論から言うわ。αだったのよ」
そうレイモンドは言ったが特に驚くような反応は無かった。
レイモンドはその事に逆に驚くも、ゆっくりと手を組む。じっとりと緊張からか汗をかいているような気がした。
「それに、ただのαではなく誰とでも番えるαのようだと書いてあったわ」
「誰とでも?」
「えぇ、貴方の持つフェロモンで、αやβも発情させることができるらしいの。まだ、らしいだけで本当かどうかはわからないけれど……あの時、アタシがそうなったのはニコルのフェロモンに当たったからだと思うわ
アタシが連隊長から聞いたのはそれだけだけれど、これから話すことはまだ確定では無いけれどβと番えるのなら王族のβと番う事もできるその意味がわかるかしら?」
「!」
ニコルの顔が上がる。
「貴方は望めば貴族や王族になれるのよ」
「望みません、俺……」
「貴方が望むにしろ望まないにしろそれを決めるのは貴方ではないのよ」
ニコルには互いに思い合って番って欲しいと思う。
だが、それを許されないこともある。
貴族の世界を知らない元奴隷のα。
騎士の世界で生きていくのであれば上司の命令は絶対な縦社会。
「貴方は貴族ではないけれど、貴方は特別な存在なの……騎士で居るのなら団長の言葉は絶対よ」
「レイモンド様、俺は……」
「隣国へ帰る?それでなければ貴方はこの国の法に縛られるわ、まだ騎士になりたてだから騎士の誓いは立ててしまったけれど、どうにかするわ」
良い考えは浮かばない。だが、この可愛い従者をどうにか導いてやりたいとレイモンドは思う。
「俺は、レイモンド様のお傍で……」
「ありがとうニコル、貴方の気持ちは嬉しいのよ?でもね、βがαを従える訳にはいかないの」
「なら、性別確認なんてどうしてさせたのですか!俺は……Ωで、良かったのに」
絞り出すようなニコルの声。
大きなアンバーの瞳からはポロポロと涙が零れていた。
ニコルにいれてもらったお茶を口にしてからレイモンドはそう告げた。
ニコルの肩がビクッと見て分かるほど小刻みに震えたのが見え、レイモンドは目を伏せる。
「そんなに固くならなくていいわよ」
レイモンドはカップを置いて無意識に足を組んだ。
「……で、ニコルは結果を聞いたの?」
不安を与えないよう務めて明るい声を作る。
レイモンドの問い掛けにニコルは左右に頭を振った。
「そう、それなら不安だったわね……アタシから内容を伝えてもいい?それとも連隊長からとか……結果は団長もご存知らしいから、そちらの方から伝えて貰うこともできるわよ?」
自分のことが信用できるかどうか。そこまで重大な事なのだが、ニコルは大丈夫ですと、小さな声で呟いた。
「ニコル、結論から言うわ。αだったのよ」
そうレイモンドは言ったが特に驚くような反応は無かった。
レイモンドはその事に逆に驚くも、ゆっくりと手を組む。じっとりと緊張からか汗をかいているような気がした。
「それに、ただのαではなく誰とでも番えるαのようだと書いてあったわ」
「誰とでも?」
「えぇ、貴方の持つフェロモンで、αやβも発情させることができるらしいの。まだ、らしいだけで本当かどうかはわからないけれど……あの時、アタシがそうなったのはニコルのフェロモンに当たったからだと思うわ
アタシが連隊長から聞いたのはそれだけだけれど、これから話すことはまだ確定では無いけれどβと番えるのなら王族のβと番う事もできるその意味がわかるかしら?」
「!」
ニコルの顔が上がる。
「貴方は望めば貴族や王族になれるのよ」
「望みません、俺……」
「貴方が望むにしろ望まないにしろそれを決めるのは貴方ではないのよ」
ニコルには互いに思い合って番って欲しいと思う。
だが、それを許されないこともある。
貴族の世界を知らない元奴隷のα。
騎士の世界で生きていくのであれば上司の命令は絶対な縦社会。
「貴方は貴族ではないけれど、貴方は特別な存在なの……騎士で居るのなら団長の言葉は絶対よ」
「レイモンド様、俺は……」
「隣国へ帰る?それでなければ貴方はこの国の法に縛られるわ、まだ騎士になりたてだから騎士の誓いは立ててしまったけれど、どうにかするわ」
良い考えは浮かばない。だが、この可愛い従者をどうにか導いてやりたいとレイモンドは思う。
「俺は、レイモンド様のお傍で……」
「ありがとうニコル、貴方の気持ちは嬉しいのよ?でもね、βがαを従える訳にはいかないの」
「なら、性別確認なんてどうしてさせたのですか!俺は……Ωで、良かったのに」
絞り出すようなニコルの声。
大きなアンバーの瞳からはポロポロと涙が零れていた。
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